ということで、米国ではオバマ大統領による一般教書演説が行われました。米連邦政府による特集サイトが非常に良くできていることについてはシロクマ日報の方で触れましたが、メディアによる解説ページの中にも工夫されているものが数多くあります。中でもお馴染みNew York Times紙の特集ページが、今回もいろいろと嗜好を凝らしているのでご紹介しましょう:
■ Obama's State of the Union Speech (New York Times)
まずは演説の映像と、全文テキスト。単にテキストが載せてあるのではなく、映像に合わせて自動でスクロールしてくれます。さらにキーワードで検索して、ヒットした箇所から映像を再生することも可能。この辺は以前からNew York Timesのマルチメディアコンテンツに触れたことがある方にはお馴染みの仕掛けでしょう。
テキストが表示されている欄にはいくつかタブがありますが、"CHECK POINT"というタブをクリックすると、New York Times紙の記者による演説解説を読むことができます。これも映像とリンクしていて、該当箇所に来たタイミングで、関連する解説が読めるという仕組み。
そしてその横にある"REACTION"というタブが、文字通り読者のリアクションを把握できるという機能。TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアに投稿されたコメントを集めて表示してくれます(オリジナルの投稿を確認することも可能)。これも映像と連動していて、タブを開いていれば、該当箇所で関連するコメントを読むことができます。ソーシャルメディア時代には当たり前のように感じられる機能かもしれませんが、専門家による解説だけでなく一般の反応も同時に確認できるという点で、重要な工夫ではないでしょうか。
そしてもう1つ。こんなコンテンツも設けられています:
■ Patterns of Speech: 75 Years of the State of the Union Addresses (New York Times)
過去75年間の一般教書演説において、あるキーワードがどの程度触れられたかを一目で確認できるというインフォグラフ。残念ながらキーワードはNew York Timesがあらかじめ選んだもの(17個)しかありませんが、大統領や時代による傾向が窺える結果となっています。
例えば「敵(enemies)」というキーワード:
第2次世界大戦中のルーズベルト大統領が頻繁に使っているのは当然ですが、戦後はそれほど登場せず、唯一の例外がブッシュ(子)大統領というのが象徴的ですね。2007年の演説では、14回も登場しています(グラフの上にカーソルを置くことで、具体的な数字を確認することが可能)。
そして今回のオバマ大統領の一般教書演説の中で、注目されたポイントの1つである「イノベーション」。米国の大統領による演説なのだから、さぞや過去にも頻繁に登場しているだろうと思いきや、意外にも今回のスピーチにおける11回が特出していることが分かります。「イノベーション」という言葉が象徴的に使われるようになったのが最近になってからという理由もあるかもしれませんが、これはちょっと面白い結果ですね。
ということで、様々な工夫を凝らして「一般教書演説を理解してもらおう」という姿勢が感じられるコンテンツたち。日本においても、また政治以外の分野でも、いろいろと参考にできる部分があるのではないでしょうか。
はじめまして、これって面白いですよね。私もよくアメリカのニュースをウェブで見る時、利用しています。MSNBSなどもこの方法をとって、ウェッブニュースをながしてくれるので非常にかいつまんでニュースが見られるし、もう一度聞き逃したところなんかを探しやすい。過去のスピーチやビデオと比較もできるなんて、どんどんニュース番組も進化して来ますね。リンクさせていただいて、また遊びに来ます。
投稿情報: モンタギュー | 2011/01/29 11:42