シロクマ日報の方で、英ガーディアン紙取材チームが書き下ろしたウィキリークス本『ウィキリークス WikiLeaks アサンジの戦争』を紹介したのですが、その中に「チャーナリズム(Churnalism)」という言葉が登場します。この言葉は「時間とコスト節約のために裏取り作業を怠り、プレスリリースやあらかじめ用意された資料をそのまま垂れ流す」ジャーナリズムと表現されているのですが、要は(締め切りに追われているなど様々な理由があるにせよ)言われたことをコピペして伝えるだけの三流ジャーナリズムということですね。
そんな「チャーナリズム」がいかに蔓延しているかを確認できるサイト"Churnalism.com"がオープンしたそうです:
■ Churnalism or news? How PRs have taken over the media (The Gurdian)
The website, churnalism.com, created by charity the Media Standards Trust, allows readers to paste press releases into a "churn engine". It then compares the text with a constantly updated database of more than 3m articles. The results, which give articles a "churn rating", show the percentage of any given article that has been reproduced from publicity material.
Media Standards Trustのチャリティによって作成されたサイト"Churnalism.com"では、ユーザーがプレスリリースの文章を貼り付けて「チャーン・エンジン」を実行することができる。実行されると、チャーン・エンジンは300万件以上の記事が集められたデータベース(常に最新状態に更新されている)を検索し、入力された文章と比較。その結果を「チャーン率」、つまり個々の記事が公開されている資料をどの程度再利用して作成されたものかを示してくれる。
ということで、記事中に紹介されている事例を実行してみました。まずはコピペの元となったプレスリリースがこちら:
今年1月29日に出されたリリースで、内容は「英国人女性は健康関係に対する出費よりも、美容関係に対する出費の方が多い」というもの。なかなかキャッチーな情報ですが、この内容で「チャーン・エンジン」を起動させてみると……
5件がチャーナリズムの疑いアリ、ということになりました。特に一番上のThe Daily Mail紙(Mail Online)の記事が「98%コピペ」と判定されています。以下はその詳細画面を表示させたところ:
黄色がオリジナル文章と完全一致している部分。また一致していないところも、"The typical female forks"(原文)を"The typical woman forks"(Mail Onlineの記事)と類義語で言い換えただけというものが多く目に付きます。文句なしのチャーン率3(最高)をゲット!
……と楽しんでいてはいけないですね。流石にこれは例外中の例外と思いたいですが、ぜひ日本版も作成して、何紙かチェックしてみたいところ。日本でも「コピペ論文」を見破る「コピペルナー」というソフトが開発されているのですから、対象をマスコミサイトの記事にするのは簡単なはず、ですよね?
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