カメラ付き携帯電話+ソーシャルメディアという組み合わせにより、あらゆる事件や事故が、発生した瞬間に・発生した現場から報じられるということが当たり前の時代となっています。ではその次には何が起きるのか、バンクーバーで起きた次の事件が示しているのではないでしょうか:
■ Facebook, Twitter Assist in Vancouver Riot Aftermath (Mobiledia)
バンクーバーでアイスホッケーの試合が行われ、残念ながら地元チームが敗退。それに怒ったファンが街へ繰り出し、暴徒となって暴れ回ったという事件が起きました。その様子を伝えるメッセージや、画像・映像がソーシャルメディア上で出回り、それをマスメディアが集約して報じるまでの事態になったのだとか。
実際に「バンクーバー」「暴動」でリアルタイム検索し、さらに結果を「画像付きのみ」に限定してみると、大量の投稿があることが分かります:
で、ここまでの話であれば最近では特に珍しいことではありません。問題はさらにその後。暴動が終息した後、FacebookやTwitter上に関連ページやアカウントが設立され、「バンクーバーに秩序を取り戻そう」的な動きが市民の間に生まれたのだそうです。
例えばFacebookページ"Post Riot Clean-up- Let's Help Vancouver" は、その名の通り暴動によって散らかった街をキレイにしようという活動で、現時点で"Like"しているのは約1万6,000人。実際に時間をあわせて集合し、清掃活動を行った様子などが写真で公開されています。このグループはTwitterアカウント"@vancouverclean"も立ち上げており、こちらは現時点で3,000人以上がフォローしています。
そして物議を醸しそうなのがこちらのTumblr:
■ Vancouver 2011 Riot Criminal List
こちらもタイトルで明確に示されていますが、暴動に参加して騒ぎを起こした犯人達を告発しようというもの。警察が彼らを逮捕することを支援しているそうなのですが、実はバンクーバー警察自らTwitter上で写真や映像の提供を呼びかけており、ある意味で当局の要請に基づいたもの。上手く犯人逮捕と行けば良いのですが、Gawkerの記事によれば、(意図的かどうかは分かりませんが)無実の人々が名指しされてしまうというケースも発生しているようです。
実は今日、他にこんなニュースもありました:
■ NY troopers try Facebook to help ID dead woman (Wall Street Journal)
ニューヨーク州で身元不明の女性の遺体が見つかり、誰のものかを調べるため、州警察がFacebook上に専用ページを開設したというニュース。ちなみにそのページは"Homicide Investigation - James Baird State Park"というのですが、遺体にあった刺青の写真(全身ではなく腰の一部)や各種遺留品の写真が掲載されているため、グロテスクではありませんが閲覧には注意して下さい。
現場にいる人々がソーシャルメディアによってつながり、大きな力を生む。それは東日本大震災でも見られたように、他の方法では得ることのできない価値を生み出す原動力となるかもしれません。従って上記のケースのように、当局が犯罪の捜査に使おうという流れもある意味で当然でしょう。しかしその一方で、中国の「人肉検索」ではありませんが、適切なトレーニングを受けたわけでもない人々が捜査活動に加わることのリスクについても、十分に議論や検討を行っておく必要があるのではないでしょうか。
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