情報技術の発達によって、現実の世界をデジタルデータに置き換えるということがごく簡単にできるようになりつつあります。そしてそのデータを何らかの形で解析できれば、様々なことが把握できるわけですね。例えば先日シロクマ日報の方で、パーキンソン病の進行状況を把握するアプリを紹介しましたが、これはスマートフォンに搭載された加速度センサーによって、パーキンソン病の症状である「揺れ」を把握するというものでした。それから昨日ご紹介したDARPRの画像解析技術についても、デジタルに置き換えられた世界を解析して危険を把握しようという試みと言うことができるでしょう。
しかしスマートフォンのような高度な端末や、画像解析のような高度な技術が無くても、RFIDを活用することで家畜の病気を診断することができるのではという研究が進められているそうです:
■ RFID technology helps farmers identify sick cows (Springwise)
英国のニューキャッスル大学で行われている研究について。人間でも大量の被験者に位置測定端末を持ってもらい、その行動記録を解析して様々な状況を把握する(社員間のコミュニケーションや非常時の行動パターンなど)という実験が行われていますが、こちらで被験者となるのは乳牛。同大学の牧場で放牧されている乳牛たちにRFID内蔵の耳タグをつけ、さらに飼い葉桶にアンテナを立てておくことで、食事のためにいつ・どの程度時間を費やしたかが(間接的ですが)把握できるようになっています。さらに牛たちには万歩計もセットされており、個々の個体がどの程度活発に行動しているかが分かると。で、両方のデータを組み合わせてイレギュラーな動きを見せている牛をピックアップすれば、何か健康障害が出ていないかいち早く把握できるというわけですね。
最近スマートフォンで位置情報が勝手に収集されるなんて事件が糾弾されていますが、意外と「同性・同世代のユーザーから割り出された平均から逸脱する行動パターンが見られた場合に、健康障害の可能性を警告してくれるサービス」につなげれば理解を得られるかも……なんて可能性は低いか。しかしGPSと加速度センサー、ジャイロ等を組み合わせてデータ解析すれば、持ち主がどのような状態にあるか(立っているか、横になっているか、自動車や電車に乗っているか)はある程度性格に把握できるそうですから、個人的にはそんなサービス(当然ながら個人の同意を得た上で開始されるもの)があれば参加してみたいかもなどと思ってみたり。
はぁ、そんなサービスが無くても運動不足は重々承知しているので、ちゃんと運動しなければいけないのですが……。
位置情報ビジネス ~「位置ゲー」が火をつけた新しいマーケット~ (マイコミ新書) 佐野 正弘 毎日コミュニケーションズ 2011-05-24 売り上げランキング : 27152 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
コメント