お馴染み米小売大手のウォルマートが新しいiPhoneアプリをリリースしたそうで、GigaOMで紹介記事が出ています:
■ Walmart iPhone app adds shopping lists, budgeting tools, coupons (GigaOM)
どうも米国限定のようで、手元のiPhoneからは確認できなかったのですが、念のためApp Storeのリンクはこちら。お店を探す、クーポンを受け取るといった一般的な機能に加え、バーコードやQRコードを読み込んで商品の詳細情報を確認するといった機能もあるようですね。
で、個人的に面白いと思ったのがこちらの「お買い物リスト作成機能」:
検索やバーコード読み込み、音声入力などを通じて商品を追加、簡単にお買い物リストが作成できるというものですが、もちろんそれだけはありません。実はウォルマートのデータベースからリアルタイムに価格情報を読み込み、トータルでいくらになるのかが分かるようになっているとのこと。「じゃ今日は途中でお金おろさなくても大丈夫かなー」などといった行動が可能なわけですね。
このリアルタイム価格照会機能、お店にとってはセール価格をお知らせできることになり、喩えるなら「店頭でのPRをお客さまの手元で展開できる」といったメリットがあると考えられるでしょう。しかしそれ以上に、このデータを解析することで、店舗側でよりきめ細やかな需給調整ができるようになる可能性があるのではないでしょうか。
例えば「お買い物リスト」内の品物登録状況を分析するだけでも、数時間後に店舗側でどんな商品が買い求められるようになるかを把握することができるでしょう。もちろんお店に来るお客全員が買い物リストを登録しているという状況になる可能性は低いですが、サンプルとして十分なユーザーを獲得できれば問題ありません。またリアルタイムで価格情報が更新されるということは、価格を上下することで需要(買い物リストへの登録状況)がどの程度変化するのか把握することも可能になります。ちょうど電力分野で言うところの「デマンドレスポンス」のようなアイデアを実現できるかもしれません。
まあそこまで極端な目標を追わなかったとしても、お客さまが買い物前にどんな思いを抱いているのか、それと実際の店舗売り上げがどう関係しているか等々、様々な分析が可能になりそうです。ウォルマートはリテールリンクの構築など、情報システムやデータ分析に力を入れる企業として有名ですから、こうしたアプリ活用の裏側や成果といった話が数年後に聞けるかもしれませんね。
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