ソーシャルメディア界隈に興味がある人であれば、「6次の隔たり(six degrees of separation)」という言葉をご存知でしょう。とはいえ説明するのが面倒なので(笑)、Wikipediaの解説を引用してしまうと:
六次の隔たり(ろくじのへだたり、Six Degrees of Separation)とは、人は自分の知り合いを6人以上介すと世界中の人々と間接的な知り合いになれる、という仮説で、多くの人数からなる世界が比較的少ない人数を介して繋がるスモール・ワールド現象の一例とされる。SNSに代表されるいくつかのネットワークサービスはこの仮説が下地になっている。
そうそう、そんな話でした。米国の社会心理学者スタンレー・ミルグラムが1967年に行った実験(無作為に選んだ被験者に特定の人物へ手紙を送るよう依頼したところ、平均して5.83人を介して手紙が届いたというもの)が元となり、その後紆余曲折を経ながらも、様々な類似実験で「6」に近い値が「世界の誰かにつながる際の隔たり」として結論づけられています。
では文字通り「誰かとつながる」サービスであるSNSの場合はどうなのか。既に様々なサービスで検証されていて、例えばマイクロソフトが2008年に行った調査では、対象となったチャットユーザー280万人が平均6.6人の隔たりでつながっていたとのこと(参考記事)。また昨年は、Twitterユーザーの大部分が「5次以内の隔たり」でつながっているという調査結果も出ています(Sysomos、「6次の隔たり」理論をTwitterで検証)。
それではFacebookではどうなのか?ということで、Facebookからこんな公式発表がありました:
■ Anatomy of Facebook (Facebook Data Team)
それによると、Facebookユーザー全体で見た場合、「隔たり」の平均は4.74人であったとのこと。また米国内限定で見た場合、この値はさらに減少し、4.37人だったそうです。
また面白いのは、時間が経つにつれて「隔たり」が小さくなってきているという点。提供されているグラフが小さいので分かりにくいのですが、2010年1月頃から目立って減少傾向にあるようです:
この結果(Facebookの方が「隔たり」が小さい、あるいは最近になるにつれて「隔たり」が小さくなる傾向にある)をどう考えるか、様々な解釈が可能でしょう。そもそも「つながること」がソーシャルメディアの本質であれば、時間と共にユーザー間のつながりが密になることは不思議でも何でもない、と言えるかもしれません(Twitterでも「6次」より小さい「5次」だったわけですし)。また「隔たり」が小さくなることが社会にとってプラスになるのか(コミュニケーションが促されて相互理解が生まれる?)、あるいはマイナスになるのか(情報が瞬時に共有されるのでプライバシーを守ることが一層困難に?)、その影響についてもこれから考察が進むのではないかと思います。
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