ソーシャルメディアとGPS付き端末の普及により、地理空間情報を持つ行動データが増加しつつあるわけですが、それを利用した研究やアプリケーションもいろいろと登場してきています。カーネギーメロン大学のモバイルコマース・ラボから発表されたこちらの研究結果も、なかなか面白い取り組みです:
よく「行動範囲」なんて言い方がありますが、距離的には近くても行かない場所、あるいは遠くてもつい通ってしまう場所というのは誰にでもあるのではないでしょうか。そんな「心理的な区割り」を明らかにしようというのがこのプロジェクトです。
元となったのは、位置情報系サービスの代表格であるFoursquareのチェックインデータ。このデータを分析して、同じユーザが頻繁にチェックインしている場所を地図上で同じ色で示す、という可視化を行っています。現在公開されているのはニューヨーク・サンフランシスコ・ピッツバーグの3都市なのですが、例えばニューヨークのLivehoodsを見てみると:
こんな感じ。ニューヨークの土地勘がないとなんじゃらほいという感じになってしまいますが、確かにまったくの地続きであるにも関わらず、一定の規模で色のかたまりができていることが分かります。大通りという明確な境界線があることもあれば、それらしき目印がないこともあるというのが面白いところ。おそらく実際に住んでいる人であれば、何かしらの理由を感じることができるのでしょう。
また面白いのは、ちょっとした統計情報も確認できる点。例えば以下はサンフランシスコ、ノースビーチ地区周辺のエリアなのですが、土日にチェックインが多く、さらに飲食店へのチェックインが非常に多い(実に全体の49.1%)であることが分かります。そしてこの地区で最もチェックインされているのが、観光スポットとしても有名なピア39。このように簡単なデータですが、地区の特徴を感じ取ることができるかも:
こうした情報は、都市計画に携わる人々や、また商業施設の出店に関与する人々にとって貴重なものとなるでしょう。またスナップショットを利用するだけでなく、経年変化を見てゆくといった長期的な利用法も考えられるのではないでしょうか。個人的には東京でも試してみて欲しいのですが、こちらのFacebookアンケートから次に対象として欲しい都市を投票できるそうなので、ご興味のある方はぜひ。
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