民主主義の国であるはずなのに、自分たちの声が政治に反映されない――そんな思いが各国でデモ活動が盛んに行われるようになっている一因なわけですが、一方で選挙という制度を少しでも機能させるためには、投票率を上昇させる努力も引き続き行わる必要があるでしょう。それには従来以上に選挙を身近なものにしてゆかなければなりませんが、ヴァージン・アメリカ航空がこんな試みを行ったとのこと:
■ Virgin America offers voter registration at 35,000 feet (Springwise)
米国では18歳以上の市民が大統領選挙での投票権を持っていますが、投票するためには事前に「有権者登録」を済ませておかなければなりません。登録はオンラインでも可能なものの、人間は本質的にグズな存在ですから、やろうやろうと思っていても結局やらないことが多いもの――ということでヴァージン・アメリカ航空では、同社がサンフランシスコ―ワシントンD.C.便を就航させたことの記念イベントとして、機内のエンターテイメントシステム+スマートフォンを通じて有権者登録を受け付けたそうです。
上の画像がその様子(こちらの公式ページで提供されているもの)。エンターテイメントシステムの画面に表示されているQRコードを読み込むと、専用ページへのリンクが得られるので、機内Wi-Fiサービスに接続してジャンプ。表示された専用ページで有権者登録が行える、という仕組みになっていたとのこと。若干まわりくどいですが、何かと手持ち無沙汰になる空の上で登録を促すというのは、なかなか効果的ではないでしょうか。
ちなみに同じ有権者登録という話では、先日こんなニュースもありました:
■ フェイスブックで有権者登録可能に、米ワシントン州が初導入 (ロイター)
米ワシントン州は、全米で初めて、フェイスブックを通じた有権者登録を認める州となる見通し。同州州務長官の報道官ブライアン・ジルストラ氏が18日明らかにした。
インターネット上のオンライン有権者登録は2008年から行われてきたが、ユーザー数の多いフェイスブックを窓口にすることで、投票率を上げようというのが狙い。フェイスブック利用者は、同社がマイクロソフトが無償で共同開発したアプリケーションを通じ、有権者登録を済ませることができるようになるという。
というわけで、先ほどのヴァージン・アメリカ空港が「有権者がヒマな時間に呼びかける」という発想なら、こちらは「有権者がいるところに出かけていって呼びかける」という発想でしょうか。いずれにしても、「選挙に行くのが当然だ」と有権者の意識向上をただ待つのではなく、新たなアプローチ方法を考えるというのは大切な姿勢だと思います。
日本でもようやく選挙の気配がしてきたということで、次の選挙では(ネットを直接的に選挙活動に用いることは禁じられているにせよ)様々なアイデアで情報技術が活用されることを期待しています。洋上からの不在者投票(洋上投票)が可能なら、国際線の乗客相手に「機上投票」なんて制度があっても面白いと思うんだけど……。
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