POLAR BEAR BLOG

マイクロソフトが数独をデザインしたら？

週末なので軽いネタで。久しぶりに Creating Passionate Users を読んでいたら、「マイクロソフトが数独をデザインしたらどうなるか？」というエントリがありました：

■ If Tech Companies Made Sudoku (Creating Passionate Users)

数独のシンプルさを評価した上で、もしマイクロソフトのような会社がデザインしたらこんな風にダメにしてしまう・・・というネタなのですが、「ダメにする方法」がなかなか面白いです。

記事は「マイクロソフト社内で数独の商品化企画が提出され、それに対してコメントが返された」という形式になっています。挙げられているコメントは以下の通り：

• アニメーション効果は付いているの？
• ランダムに数字が消えるようにしては？
• フォントが退屈過ぎ。変えるように。
• 3Dにしよう！
• カスタマイズ可能なアバターを付けてみては？
• 時間切れになったらマスが爆発するように。
• XBOX 360のコントローラーで動くように。
• フルモーションビデオを追加するように。
• 数字を入力した時のサウンド効果を付けるように。
• マーケティング担当がマルチプレイヤー版を望んでいる。
• 銃は出てこないの？
• Web 2.0化しよう！マッシュアップ用にAPIが必要だ。

とこんな感じ。〆のセリフも利いています：

Frankly, we're a little baffled that your original design was so... simple.
（率直に言って、我々は困惑している。君のオリジナルデザインは何というか・・・シンプル過ぎる。）

ところが現実の世界では、シンプルな「数独」が大流行しているわけで。アイデアを「これでもか」と追加しても面白いものになる保証はない、時にはシンプルなものが一番、ということですね。

これはあくまでもネタなわけですが、今の時代、意味も無く「Web 2.0化しよう！」という声が上がる企業は多いのでは・・・。けっこう笑い話で済んでいないのかも。

指揮者になれるゲーム「Wii MUSIC：ORCHESTRA」

休日ってことで、単にいま自分が欲しいと思ってるゲームの紹介を：

■ 夢がかなった？　マエストロになったり丸くなったり粉砕してみたり（ITmedia +D Games）

ゲーム機のネーミングという意外なところで話題を呼んでしまった「Wii」ですが（高い価格設定＋それに対する幹部の開き直り発言で物議をかもしている某マシンよりいいけど）、このゲームはおもしろそう。記事の一番最初に紹介されている「Wii MUSIC：ORCHESTRA」です。

詳しい内容はリンク先を読んでもらうとして、簡単に言えば「Wiiのリモコンを使って、指揮者気分を味わえるゲーム」です。プレイの最後に点数も表示されたりと、言ってみれば「指揮者版カラオケ」でしょうか？デモ版は2曲だけですが、発売時には多数の楽曲が用意されるようです。

『のだめカンタービレ』やラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンなど、このところクラシックに関する話題が盛り上がっています。それに触発されて楽器を始める人や、昔習っていたのを再開する人などが増えていますが、さすがに指揮者になるのは難しいでしょう。しかしオーケストラでカッコイイといえば、やっぱり指揮者・・・そんな高まりつつある（？）ニーズにうまく対応するかもしれないのが、この「Wii MUSIC：ORCHESTRA」ではないでしょうか。

実際プレイしてみないとなんとも言えませんが、個人的にすごく期待しています。「太鼓の達人」のように、楽曲追加も可能な息の長いシリーズになってくれると良いですね。ちなみに僕はモーツァルトの「レクイエム」を指揮してみたいと思っているのですが・・・先日のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで、井上道義さんのカッコイイ！指揮っぷりにすっかり虜になってしまったので。あと、ミーハーだけどベルリン・フィルの指揮者、サイモン・ラトルのマネもしてみたいなぁ。

米マクドナルド、運動ゲームを配布

30日間マクドナルドのファーストフードを食べ続けるとどうなるか？を実験した「スーパーサイズ・ミー」なんて映画がありましたが、「マクドナルド＝不健康」というイメージがアメリカでも定着しつつあるようです。そのイメージを払拭するために、米マクドナルドがこんなキャンペーンを始めました：

■ 米マクドナルド サラダセット購入者に・・・運動ゲームを配布 -- 「肥満イメージ」返上狙う（日経産業新聞 2006年5月2日 第4面）

アメリカで発表された新しいメニュー"Asian Salad lunch"の購入者を対象に、自宅で運動するためのビデオゲームを提供するキャンペーンを開始したとのこと。ビデオゲームはフィットネス・ゲームの専門メーカー、レスポンスデザイン社が特別に制作し、ヨガ編・筋肉トレーニング編など4種類あるそうです。狙いはもちろん「マクドナルドは肥満の元凶」というイメージの返上にあるのだとか。

こっちはプレスリリースですが、これを読むと、900万枚近くのソフトを配布することを計画しているようですね。また2004年にも"Stepometer"という万歩計を1500万個配布していたそうです：

■ McDonald's Offering Virtual Fitness DVDs with Meals (Yahoo! Finance)

フィットネスゲームを配布すると、逆に「この商品は食べた後に運動しないと太りますよ」と宣伝しているようなもの---という気もするのですが、「マクドナルドは健康に気を配る企業である」とアピールするのが狙いなのでしょう。万歩計キャンペーンに続くものですから、健康グッズ配布がある程度の効果を持つことを認めているのかもしれません。

しかし「ヘルシー」という方向性と、「安い」「濃い味付け」という方向性の両方をずっと追い続けるわけにはいかないでしょう。米マクドナルドがモスバーガーやフレッシュネスバーガーのようなヘルシー系・スローフード系ファーストフードを目指すようにも思えませんから、このような小手先の「健康にも配慮してますよ」キャンペーンで不健康イメージによる悪影響を緩和しつつ、「不健康だけど安くて美味しい」ファーストフードという路線を追い続けるのでしょうね。

ゲームの面白さは何が決めるのか--カーネギーメロン大学の実験

今日は忙しくて、まだ深く考えていないのですが、1つ非常に面白い内容の記事がありました：

直感に従い４ヵ月で50作を開発――実験が示したゲームの可能性�デジタル家電&エンタメ-最新ニュース:IT-PLUS.

カーネギーメロン大学の４人の大学院生が始めた、「実験的ゲームプレープロジェクト（experimental gameplay project）」についての記事。これは以下の3つのルールに従って、ひたすらゲームを作るプロジェクトだったとのこと：

1. それぞれのゲームは７日間以内に開発しなければならない
2. それぞれのゲームは完全に一人で開発しなければならない
3. 重力や、進化や、跳ねるといったような一般的な法則をテーマに持っていなければならない

中には14日間を費やした「ルール違反」の作品もあったそうですが、概ね上記のルールを守り、4ヶ月で50以上のゲームが生みだされたそうです。プロジェクトの実際のサイトはこちら：

experimental gameplay project

この実験の結果、以下のような教訓が得られたとのこと：

1. ゲームの面白さと開発期間には関連性が無かった
2. メンバー共同でのブレインストーミングは創造性を生みだすことは無かった
3. 最初のコンセプトの段階で、はっきりとしたテーマを生みだせているかどうかが最も成功する条件である

教訓1は、ゲームにハマった経験のある人なら「そんなの当然」というものではないでしょうか。莫大な費用と期間を開発されたゲームなのに「クソゲー」と呼ばれるものは多いですし、反対にテトリスのように、シンプルながらもハマってしまうゲームはいくつも挙げることができます。

ただ、この結果から記事では

彼らの開発方式から、今の日本企業が考えさせられることは多い。巨大な開発体制がなければおもしろいゲームができないというのは間違いであり、ゲームの持つ魅力や発見されていない可能性はまだまだ存在しているとこのプロジェクトは示唆している。

と論じていますが、これはちょっと視点がずれているのではないでしょうか。日本のゲーム開発はむしろ映画制作に近いと思います。ゲーム業界は多くの関係者が存在する産業となってしまったために、彼ら全員が「稼げる」ようにするため、大型開発プロジェクトを続けている--というのが僕の仮説です。

映画型の大型プロジェクトであれば、CG制作やキャラクターデザイン、プログラマー、ミュージシャンなど様々な人物が関わる余地があり、ゲームそのものがつまらなくても関連商品（CDやキャラクターグッズ）の売り上げを見込むことができます。短い開発期間・コストで「ゲームとしておもしろい＝そこからキャラクターグッズなどのビジネスに波及して行かない」ゲームを開発するという方向性に転じたら、極端な話、日本のゲーム産業は大幅な構造変革を迫られるのではないでしょうか。それが分かっているから、多くの企業が「構想○年！開発費○○億！壮大なスケールでお送りする×××！」というゲームを作り続けているのだと思います。

門外漢の勝手な仮説はこのくらいにして、教訓2と3も興味深いですね。優れた創造性というものは集団からは生まれない、個人のひらめきに依存するのだ--という意見は、よく考えてみたい示唆です。もしかしたら、独立した個人が独力で開発を行うという環境がそうさせたのかもしれませんし、ブレインストーミングの方法が悪かったのかもしれません（余談ですが、「良い」ブレインストーミングの方法については、『発想する会社！』という本の解説が参考になります）。

いずれにせよ、時間があるときにexperimental gameplay projectのサイトももっとよく見てみたいと思います。このプロジェクトを分析した記事も、きっとすぐに現われてくるでしょう。

Webサイト取引ゲーム -- alexadex

Alexaと言えば、メジャーなWEBサイトのトラフィックなどを調べることができるサービスですが、Alexaが提供するアクセス数情報を株価と見なし、WEBサイト（＝株）の擬似取引をしてしまおうというサービスがTechCrunchで紹介されていました：

The Web 2.0 “Stock” Market (TechCrunch)

"alexadex"というサービス（ゲーム？）で、ユーザー登録すると、まず元手として$10,000が渡されます（当然このサイト内だけの話）。後は好きなサイトの取引を行うだけ。サイトの価格（株価）は、「サイトへのアクセス数÷100万×$1」という式で導き出されます（毎日更新）。例えばyahoo.co.jpはというと：

ということで、現在の株価は$48,550となります。残念ながらユーザー登録したばかりなので、元手の$10,000だけでは購入できませんでした。

というわけで、代わりにtechcrunch.comを10株ほど購入してみました（クリックで拡大）：

さらに最近Fresh Readerを発表して話題を集めている、サイドフィード株式会社さんを１００株購入（クリックで拡大）：

さてさて、どうなりますか。ちなみに上記のような基本の売買以外に、指値買い/売りも可能で、取引にはメモやタグを付けておくこともできます。

このゲーム、単に楽しむという以外に活用法があるかなあと考えてみたのですが、「次に流行するサービスを見抜く力がある」という証明になるかもしれないですね。alexadexにはちゃんとユーザーのランキングを紹介するページがあり、下の画像のように、良いパフォーマンス（＝優れた予想）を残しているユーザーTOP100を確認することができます：

ちなみに各々のユーザーにコメントを送信することや、SNS的にグループを作成することも可能です。優れたトレーダーを見つけたら、「このサービスどう思う？」なんて相談を持ちかけるなんてこともできそう。逆に「あの人は偉そうなことをブログに書いてるけど、alexadexの成績は悪いんだね」なんて事態が起きるかもしれません。

このゲームはWEBサイトの取引だけですが、化粧品や家電製品、書籍を取引できたら面白いですね。その場合何を株価にするか難しいですが、例えばマツモトキヨシやビックカメラが自社内での売り上げ成績を株価として提供することが可能ではないでしょうか（そしてマツキヨやビックがalexadex的なサイトを運営する）。そしたら、「○○さんは化粧品/家電製品のトレンドを予想するのが上手い」という風に活用されるかもしれません。

WEB担当者会議に出席中

今日はグループ企業全体での「WEB担当者会議」に出席しています。グループ全体なので、出席者は100名程度もいるでしょうか。 ほとんどスーツの方ばかりなので、いつものように私服で来た自分はちょっと浮いている気がします。

今回の会議は、グループとして足並みの取れたセキュリティ対策・ブランド戦略を実施することが目的です。 これらは1つの会社内でも徹底することが難しい問題ですが、それをグループ全体で実行しなければいけないわけで、 担当者の方の苦労がうかがえます。配布資料やWEBサイト上の情報には、知識を浸透させるためのさまざまな工夫が凝らされています。

夕方、最後のセッションでは、とある有名企業のWEBマネジメント担当者から「デザインコンセプト」 というテーマでスピーチがある予定です。こちらも参考になりそうで、楽しみです。