というわけで、長い記事はシロクマ日報に任せつつ、こちらは感想などをつらつらと。
昨夜はレノボさんのプレス向け発表会ということで、新しい製品が次々と紹介されていたわけですが、タブレットだのスマートフォンだのが注目される中で個人的に気に入ったのがコレ:
というわけで、長い記事はシロクマ日報に任せつつ、こちらは感想などをつらつらと。
昨夜はレノボさんのプレス向け発表会ということで、新しい製品が次々と紹介されていたわけですが、タブレットだのスマートフォンだのが注目される中で個人的に気に入ったのがコレ:
投稿情報: 02:09 カテゴリー: ウェブ・技術 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
というわけで、ラスベガスへとやってきました。理由はもちろんCES。実はレノボさんが現地でブロガー向けイベントを開催するということで、AMNさん経由でお話があり、一も二もなくお願いして連れてきていただいたという次第です。感謝感謝。
開催は1月10日から13日までということで、まだ現地は準備モードといったところ。昨夜はレノボさんのブースで参加者の歓迎会を開いていただいたのですが、こんな感じで設営作業が続けられていました。目玉の1つは、やはりUltrabookのようです。
まだデモ画像が流れるだけで、アプリケーション類を動かしてみることはできなかったのですが、デザインは洗練されていてなかなか良さげ。さっそく映像や記事などが出てきていますね:
■ CES: Lenovo unveils IdeaTab Android 4.0 tablet and two ultrabooks (V3.co.uk)
明日から徐々に関連イベント等々が開催されて行くので、出来る限り見てきたものをお伝えしようと思います。
【余談1.】
飛行機の中で流れる"All electronic devices must be turned off"(全ての電子機器類は電源をお切り下さい)というアナウンス。今回はデルタ航空で米国まで来たのですが、何気なく聞いていたら、その電子機器類の例の1つにKindleが含まれていました。向こうでは普通に名前が挙げられちゃうぐらい普及してるのか、と少し羨ましかったり。
【余談2.】
昨日はお昼に到着して夜まですることがなかったので、部屋で仮眠したりテレビ見たりと引きこもっていたのですが、TVCMにやたらスマホのアプリが出てくることに驚きました。大手のブランドからローカルビジネスっぽいのまで、「ウチのアプリを使うとこんなことが……」的なCMを流しているのが目につきます。機能的にはそれほど驚くようなものはなかったのですが、これも普通に「スマホのアプリ」という存在が一般的に語られていることに感心した次第です。
【余談3.】
実はラスベガスは子供の頃に連れてきてもらったことがあり、実に30年ぶり(!)の訪問でした。30年前は怪しげなネオンとカジノの街、という印象しかなかったのですが、すっかり巨大なエンターテイメントの街に生まれ変わっていることにビックリ。そりゃテレビ番組等々で紹介されているのは見ていたのですが、本当にピラミッドの形したホテルがあるよ!てかローマ遺跡風とかもあるのかよ!と間近で目にして改めて驚いてしまいました。
夜になれば普通に花火があがるし、こんな大道芸人風の人もいるし……
なんか青い電飾を体中に巻いて、竹馬のようなものに乗っています。夜なのに周囲には人だかりが。
てかコッチが見られてる?
うわー捕まった!ということで、大道芸人以上にアヤシイ、小脇にクマを抱えた男が明日からウロウロさせていただきます。CESでラスベガスに来てるよ-、という方はためらわずに声をかけて下さいませ。
投稿情報: 23:52 カテゴリー: ウェブ・技術 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
明日から出張なので、"Juice Pack Plus"を吉祥寺ヨドバシで購入。残念ながら色が青とピンクしかなかったので、ピンクを選んでみました。どこまで活躍してくれるかな……
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投稿情報: 17:25 カテゴリー: Apple | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
ネットへの接続や位置情報など、様々な機能が盛り込まれたスマートフォン。日本では普通の携帯電話で一足早く実現されていた状況ですが、世界でも一般的になったことで、それを活用した様々なアイデアが生まれてきています。そして身の回りのありふれたものでも、こんな進化を遂げることができるという話:
■ Boondoggle – Winter Wake-up app
意訳すれば「冬の朝用目覚ましアプリ」といった名前が付けられているiPhoneアプリなのですが、その名の通り基本的は目覚まし時計のアプリとなります。では何が新しいのか。それは以下の設定画面を見れば明らかでしょう:
一番上はアラームが鳴る時間ですね。これは当然のメニューですが、その下にある2つのメニューは、ある条件になった時に「設定された時間よりもこの分数だけ早くアラームを鳴らしてくれ」を設定するためのものとなります。その条件とは、「霜が降りた時」「雪が降った時」の2つ。つまり霜や雪の朝には、クルマを使うためには雪かき等々を行わなければならないため、その分早く起こしてくれると。
気が利いている(?)のは一番下にあるメニュー。このチェックボックスをチェックしておくと、「凄く雪が降った時には土曜日に雪かきするので、アラームは鳴らさない」ことが可能。そもそもそんな日は、学校や会社も機能停止状態でしょうからね……。
当然ながらこのアプリ、自分がいま居る場所の位置情報を取得して、その場所の天気予報データを取得>いつアラームを鳴らすか決める、という仕組みになっているようです。ですので対応地域が決まっており、先ほど自分のiPhoneに入れてみたのですが、残念ながらエラーが出てしまいました。しかし日本でも普通に実現できそうなアプリです(既に似たようなアプリが存在しているかも?)。
また「条件付き目覚まし」という発想では、例えば「交通機関が乱れている時に早めにアラームを鳴らしてくれる」「一限が休講の時にはアラームを1時間遅くしてくれる」などといったアプリへと展開可能かもしれません。個人的には「朝のミーティングがキャンセルされた時にアラームを遅らせてくれる」なんてアプリが欲しいところですが、そうなると逆に「会長の視察がある日は社員のアラームを強制的に午前6時にセットするアプリ」なんていう社員管理ツールへと進化する恐れがあったりして。
投稿情報: 11:13 カテゴリー: ウェブ・技術 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
年末ですが空いた時間を利用して、積ん読状態だった本を少しずつ片付けています。今回の"Demand: Creating What People Love Before They Know They Want It"もその一つ。『ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか
』などの著作がある、エイドリアン・スライウォツキーの新刊となります。
タイトルを訳すとすれば、「需要:消費者が求めるものを、消費者自身が気付く前につくり出すには」となるでしょうか。ウォークマンやiPhoneなど、世の中には「求められていなかったけれど世に出てみたら大ヒット」という商品/サービスが存在しています。そんなヒットを生み出すにはどうすれば良いのか、本書は数多くの事例を基にケーススタディ形式で考察して行きます。
誤解を恐れずに言えば、そこから得られるいわゆる「成功するための~のポイント」的な話は平凡なものが多く、どこかで聞いたことがあるアドバイスだな、と感じることも少なくありませんでした(それだけ奇をてらっていないということにもなりますが)。しかし本書の良い点は「これを実行すれば大ヒット間違いなし!」というような万能薬を提示して終わりではなく、結局のところ、地道な対策の積み重ねを続けて行くことが「隠れたデマンド」への道であることを示している点です。フィードバックを繰り返す中から成功への道を掴むという点では、今年読んだ2つの本、"Little Bets"と"Adapt"を彷彿とさせるところがありました。
いやいやそんな当然の結論じゃ読む意味ないし、と思われてしまうかもしれませんが、本書の価値はその当たり前の重要性を、ケースを詳細に解説することで追体験させてくれるところにあります。特に冒頭のZipcarや、繰り返し登場するNetflixの事例は、彼らの成功が単に「素晴らしいビジネスモデルを思いついたこと」にあるのではないと教えてくれるでしょう。もちろん素晴らしいアイデアも必要なのですが、消費者の欲求を引き出すという最終ゴールの前では1つの要素に過ぎず、むしろ他の要素の重要性から注意を奪ってしまうという危険性も持ち合わせています。それはベンチャー企業のビジネスモデルを表層的になぞっただけの大企業が、力業では負けるはずのないベンチャー企業に圧倒されるという事例が多いことからも明らかです。
「デマンド」が潜在的なものに留まっているということは、逆に言えば何が消費者の支持を得、ゲームに勝つポイントなのかが明らかになっていないということを意味します。その段階で「この製品はより美しいディスプレイを搭載し、処理速度も速く……」といったスペックを論じても意味がありません。しかし未だに企業内だけでなく、専門メディアですらスペック論の視点からある製品/サービスの成否を占うということが続けられています。本書"Demand"で描かれる様々な企業の物語は、それがいかに短絡的な発想であるかを教えてくれるでしょう。
ということで「ロングテール!」「フリー!」的な目玉コンセプトが軸になる、「売れやすい」本ではないと思うのですが(タイトルからして「デマンド」だけだし)、事例集と思えば使える一冊だと思います。手にする機会があれば是非。
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投稿情報: 19:15 カテゴリー: 書籍 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
先日、恵比寿にあるブライトコーブ(Brightcove)さんのオフィスにお邪魔し、同社の製品であるコンテンツアプリプラットフォーム「AppCloud」の説明を受けてきましたので感想を少し。
インターネットブラウザが誕生し、普及してからというもの、インターネットといえばウェブサイトのことでした。しかしスマートフォン時代になり、様々な機能がアプリを通じて提供されるようになってからは、次第にアプリがブラウザとウェブサイトの地位を奪い去ろうとしています。以前から「ウェブは死んだ」や「インターネットが死ぬ日」などといった言葉で語られてきた状況ですが、もっと直接的に「アプリ・インターネット」という表現も使われるようになってきました。
しかし「アプリ・インターネット」への移行が急速なために、肝心のアプリ制作を担う技術者の数が足りないという状況が起きています。しかもiOS、Android(×メーカー毎のバリエーション)、BlackBerry OS、Windows MobileなどなどOS毎の対応を行う必要もあり、「十代の若者がアプリ制作で大儲け!」などという景気の良い話が飛び交う一方で、企業としてアプリ提供を行うには大きな労力がかかるという現実があります。こうした状況に対して、海外ではアプリ制作支援ツールを提供する企業や、アプリ制作技術者を派遣する企業などが現れてきました。
そしてブライトコーブのAppCloudも、そんな支援ツールの1つ。HTML5をベースにiOSおよびAndroid向けのアプリを開発することができ、さらにテンプレートのカスタマイズによる開発も可能なため、社内にいる既存の人材でもアプリ化対応を進めることができます。またアプリ内にある各種コンポーネントの最適化や、モバイル広告プラットフォームであるAdMobの埋め込みなども可能とのこと。ただツールの優位性や使い勝手の良さについては、僕自身が開発者ではないため、公式サイトをご覧になって判断していただければと思います。
ただ1つ言えるのは、こうしたツールが発展することによって、企業はより付加価値の高いアプリ開発へとリソースを振り分けができるという点でしょう。どんなに開発支援ツールが発展したとしても、エンターテイメント系の分野で見られるような、アーティスティックなアプリを作ることはできません。逆にツールが普及すればするほど、そこでは開発できない、オリジナリティのあるアプリを生み出そうというニーズが高まるはずです。しかし全てのアプリが、そのようなオリジナリティを要求するわけではありません。イベントやキャンペーンのような、とにかく注目を集める必要のある場合には、熟練の技術者やデザイナーによる手作り開発のアプリで。日常的な告知を行う場合には、平凡でも手間をかけず、必要十分なアプリで。開発リソースが貴重な状況では、そういった切り分けが進むのではないでしょうか。
AppCloudは海外で先行して提供が始まっており、これを利用して実際に作成・配布されているアプリを見せてもらいました。あるテレビドラマをPRするアプリなのですが、奇抜さはないものの、番組に関するお知らせ(当然ながらアプリ提供側で動的に更新が可能)など必要な部分がきちんと押さえられています。さらにごく僅かなリソースでこの程度のアプリが作れるのであれば、番組やブランド単位でアプリを提供するなど、横への展開という可能性を感じさせるものでした。
さらに重要なのは、AppCloudに作成したアプリのリアルタイム分析機能が設けられているという点です。
アプリ開発者のリソースが足りず、また支援ツールもない状況では、アプリは「作りっぱなし」という結末を迎えがちです。ウェブサイトは充実しているのに、アプリで提供されているのは申し訳程度の機能やコンテンツ、という企業を目にしたという経験がある方は多いのではないでしょうか。しかし作り込んだキャンペーン用アプリはさておき、日常的なコミュニケーションを行うためのアプリを簡単に開発・コンテンツ更新・メンテナンス可能になれば、次は「いかにリリース後の運用面で効果を上げて行くか」という面に注目が移るはずです。その際にアナリティクス系のツールが用意されているというのは、大きなポイントになるのではないでしょうか。
ちょうどブログが登場した時にも、それによってウェブサイトが「頻繁に更新するもの」へと変わり、運用における効果測定を行うためにアクセス解析ツールが注目される、という流れがありました。ウェブ・インターネットに対してブログが与えたのと同じような影響を、アプリ支援ツールはアプリ・インターネットに対して与えて行くのかもしれません。
アプリ化の傾向は、今後テレビの世界にも及ぶと考えられています。少なくとも企業にとって、アプリ対応はますます避けることのできないテーマになるでしょう。開発支援ツールに対する注目もさらに高まり、その優劣は「対応OSの数が多いかどうか」といった開発フェーズにおける機能面だけでなく、「効果測定が支援されているか」「コンテンツ更新を効率化する工夫があるか」など、運用フェーズにおける機能面でも競われるようになるのではないでしょうか。
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投稿情報: 12:14 カテゴリー: ウェブ・技術 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
先日住友スリーエムさん(以後3Mと略します)とのブロガーイベントが開催され、何名かのブロガーさんと一緒に同社の用賀オフィスにお邪魔してきました。この記事はそれに基づく記事広告となります。
*****
「3M」と言われた時に、どんな製品やサービスが頭に浮かぶか。それは恐らく、回答者の属性によって大きく異なることでしょう。例えばオフィスワークをしている人なら「ポスト・イットの会社」、家事をしている人なら「スコッチ・ブライトの会社」、医療関係者なら「あの医療用品の会社」といった具合です。それも当然、実は3Mが現在扱っている製品/サービスの合計は、3万種以上にもなるとのこと。正直な話、僕もポスト・イットとスコッチ・ブライトぐらいは知識があったものの、ここまで幅広い商材を扱っているとは思いもしませんでした。
当日はその中から数分野の担当者の方々が集まり、最新製品や現在進行形の新企画等々についてご説明いただきました。1つ1つの製品/サービスに関する開発秘話や、そこに使われている画期的な技術を聞いているだけで、何本も記事が書けそうです。もったいない。
例えば案内していただいた展示スペースの中に、「口の中にセンサーを入れるだけで歯並びを3Dで把握、データ化して別の装置に送ると自動的に義歯を作ってくれるマシーン(正式名称不明)」なんてものがありました。これなんて歯科技工の役割を根本から変える可能性もあるというのに、さらっと触れられただけで通り過ぎてしまったり。
歯科技工のビジネスモデルを変える(かもしれない)マシーンが無造作に。
非常に贅沢というか、自らの魅力に気付かないまま無邪気にふるまう女の子というか、まぁそんな喩えはどうでもいいんですけど、とにかく「それ1つ1つ掘り下げようよ!」感満載のイベントだったわけです。もったいない。
で聞いてきた話を全部共有したいところなのですが、そんなことをしていると3日間ぐらい寝ずに記事を書かなければならなくなるので、以下で象徴的な話を1つだけ。
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「電子聴診器」という機器をご存知でしょうか。読んで字のごとく、聴診器をデジタルにしたもので、デジタルであるが故に拾った音の増幅・記録・転送といった機能も実現されているというもの。まだ普通の聴診器(機械式聴診器)100に対して2~3程度の普及率ということですが、聴診器を使った医療行為に新たな可能性を開くものとして注目されています。で、この電子聴診器も手がけているのが3M。いろいろ書くと薬事法に抵触してしまうので慎重な表現にしておきますが、Littmann(リットマン)のブランド名で電子聴診器の開発を進めており、2011年度のグッドデザイン金賞を受賞するなど業界をリードする活動を行っています。
実は3Mでは機械式聴診器も同じ「Littmann」ブランドで扱っていて、その経験が電子聴診器にも反映されているとのこと。例えば電子聴診器はデジタル機器ですので、やろうと思えば先端部分だけのコンパクトな形にもなるそうなのですが、耳から伸びるクダに聴診器独特の重低音を出す秘密があるということで、あえてそのままの形状にしてあるのだとか。またお医者さんにこれまで通りのスタイルで診察してもらうことを可能にするという点でも、従来の形にこだわる意味があるのだそうです。
で、この電子聴診器が普及すると何が嬉しいのか。先ほど音の増幅・記録・転送が可能になると書きましたが、ここからすぐに思いつくのは遠隔医療への応用でしょう。お医者さんがいない地域であっても、患者さん自らが聴診器を胸に当てることで、離れた場所にいるお医者さんにデータを送信して確認してもらうことができます。実際にこの「離れた場所にいる人の心音をリアルタイムで聴く」「録音された心音を聞く」という体験をさせていただいたのですが、まるで目の前に相手がいるかのような感覚を受けました。
実はこの「遠隔聴診」、今年の9月6日に、当時軌道上に滞在していた古川宇宙飛行士に対して実施され、宇宙と地球を結んで診察を行うということが実現されています:
まさに究極の遠隔医療といった感じですが、個人的にそれよりも感銘を受けたのが被災地における利用の話。例えば避難所で診察を行うといった場合、きちんとした診療スペースが設けられていない場合もあり、その場合は大勢の人々がいる場所で聴診を行わなければなりません。従って音が聴きづらい上に、服を脱いでもらうのもためらわれるという状況があったわけですが、それを解決したのが電子聴診器の「拾った音を大きくする」という機能であったと。これは単純なようで、実は非常に大きな電子聴診器の価値と言えるのではないでしょうか。
また「記録」という機能を応用すると、聴診教育に利用できる可能性もあるのだとか。つまり実際の患者さんの心音を記録・共有することで、同じ情報をベースにあれこれディスカッションができるわけですね。これを進化させれば、医師によって診断が異なるといった事態を防ぐことに繋がってゆくのかもしれません。
*****
このようによくよく話を聴いてみると、ある製品が生まれてきた背景、そしてそれが生み出す世界といったものが、深く広がっているのを感じられるのが3Mの製品たちであるように感じます。その辺が知らされてないのって、非常にもったいない。
余談ですが、これは別の意味で広がりを見せた例:
■ パリのオフィス街で「ポスト・イット戦争」 窓一面に巨大アート (CNN)
とはいえそういった深さや広さといったものを感じろといっても、なかなか感じられないよというのが実際の話でしょう。先ほどの例のように、僕も初めて聞いたという話が山のようにありましたし、「そこもっと聞かせてよ!」という部分があったことを思うと、実は3Mの中の人であっても気付いていない側面が多いのかもしれません。ましてや「ポストイット戦争」のような展開については、誰も想像できないわけですし(これを宣伝に活用するわけにもいかないでしょうが)。
じゃあ埋もれている魅力、自分でも気付いていない魅力をどうやって発掘するの?という話ですが、自分で分からないなら他人に聞いてしまえば良いということで、社外とのコミュニケーションを活性化するというのが1つの方向性になるでしょう。今回のイベントにも、そういった要素が含まれていたと思います。集められたのはブロガーという特殊な人々ではあったものの、社員の方々が「面白いはず」と考える部分と、参加者が実際に「面白い!」と感じる部分のギャップがハッキリと浮き上がっていました。
ただ社外の人々とコミュニケーションする際に重要になるのは、質問者である企業の方で情報をコントロールし過ぎない、ということになるのではないでしょうか。今回のイベントでは企業秘密(当然ながらブログやツイッターでは書けません)に関わる部分も含め、かなりの情報を共有していただいたと感じています。だからこそ、3M側で「これは話しても面白くないだろう」と感じている部分まで参加者に伝えられ、その中から僕らが「これは面白い!」という発掘ができたわけです。仮に「この製品のスペックはこうで、ハイテクなのはこの部分で……」という解説だけであれば、興味が沸かずにフーンで終わっていたでしょう。
自分がカッコイイと思っている服装、カワイイと思っている化粧ほど他人には響かなくて、逆にそれが崩れる中で魅力が現れてくるように、企業もカッコイイ宣伝文句を捨て泥臭い話を明らかにして行く中で「これを伝えて来なかったなんてもったいない!」という部分が見えてくるように思います。もちろん社外秘まで全世界に発信しろとは言いませんが、企業にはまだまだ「パブリックにできるけれどパブリックにする意味がないと勘違いされている情報」が隠れているのではないでしょうか。何を出すのかではなく、何を出さないかを決めて、それ以外の領域に外部の人々が飛び込んでくることを許容してみる。今回の3Mイベントで見られたように、そんな発想の転換が求められるのかもしれません。
*****
最後にオマケを1つ。このように今回はいろいろな情報を共有していただいたのですが、実は12月9日に発売された以下の製品を、いち早くお借りすることができました:
■ 3M|ビデオカメラにプロジェクター機能を搭載した3M(TM) ビデオカメラプロジェクター CP45が新発売
小型のプロジェクタにビデオカメラ(静止画/動画の撮影が可能)をくっつけて、1つの製品にしてしまったというガジェットです。先日京都に行く機会があり(理由)、こんな感じで撮影を行ってきました:
あいにくの雨天+カメラマンの腕が悪い、という悪条件にもかかわらず、このくらいの画像は普通に撮影可能。プロジェクタにオマケでカメラが付いている、という感じではありません。
僕個人の印象としては、むしろ「デジカメにプロジェクタというオマケがついている」といった感じでしょうか。オマケという表現を使ってしまいましたが、もちろん普通に楽しむ分には申し分のないプロジェクタ性能です。自動○○補正といった高度な機能はありませんが、「いま撮った写真/映像、そこの壁(もしくは天井/テーブル/冷蔵庫などなんでも可)に写してすぐ見てみようよ!」という楽しみ方をするには十分でしょう。
で、この「すぐにみんなで見てみよう!」という体験の楽しいこと。僕は最初、京都の写真を家族に見せびらかすというイヤミな使い方をしてしまったのですが、すぐに娘に取り上げられて「その場で家中を撮影して即席上映会を行う」という使い方に変更させられてしまいました。しかし見慣れている家にもかかわらず、投影される映像というコンテンツにその場で置き換えられ、しかもそれを皆で共有するという体験になると、一気に楽しさが増すわけですね。「カメラとプロジェクタが一緒になった訳の分からないもの」だからこそ、生まれてくる世界なのでしょう。
ということでこのCP45、「カメラとしても使える小型プロジェクタ」「プロジェクタとしても使える小型カメラ」という捉え方で使うのも良いのですが、新しいエンターテイメント・ツールとして遊ぶのが一番ではないかぁという印象でした。デザインも洗練されてるし、仕事まわりでだけ使うというのはそれこそ「もったいない!」でしょう。
投稿情報: 00:40 カテゴリー: ウェブ・技術 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
スウェーデンには国の公式Twitterアカウント"@sweden"があるのですが、これが一版のスウェーデン国民によって更新されるという企画が開始されたそうです。名付けて"Curators of Sweden":
■ Swedish Citizens Now Control @sweden Twitter Account (Mashable)
"No one owns the brand of Sweden more than its people. With this initiative we let them show their Sweden to the world," says Thomas Brühl, CEO of VisitSweden, the tourism ministry that had been updating the @sweden account since January 2009.
Curators of Sweden is based around the idea that no single voice can represent the country, so a slew of guest Swedish curators will do the best job to portray the national character.
「スウェーデンというブランドを、国民以上に体現できる人はいない。この企画を通じて、彼ら自身の『スウェーデン』を世界に発信したいと思う」とVisitSwedenのCEO、Thomas Brühlは言う。VisitSwedenは@swedenアカウントを2009年1月から運営してきた組織だ。
一人の声だけではスウェーデン全体を示すことはできない、という考えが"Curators of Sweden"のベースとなている。そこで多くの国民がキュレーターとなり、スウェーデンがどのような国なのか表現する予定である。
具体的には1週間に1人のスウェーデン国民が登場し、彼/彼女がキュレーターとなってツイートを投稿する、という形式になるようです。実際に現在はJack Wernerさんという男性の方が更新されているようですね:
ツイートの方もご覧の通り:
彼がキュレーターに任命されたのは12月10日。ということはそろそろ次のキュレーターに交代することになるようです。今後登場予定のキュレーターとして、教師や司祭といった人々が既に決定しているとのこと。企画を運営しているのはNSUというスウェーデンの観光促進を担当する機関で(VisitSwedenはその一部)、彼らがキュレーターを認定しています。
まぁ穿った見方をすれば、キュレーターの人選は政府系の組織が行っているわけですから、その時点できちんとしたツイート(=スウェーデンのイメージを落とさないようなツイート)を投稿してくれそうな人が選ばれているわけですが。ある程度「こんなことは書かないでね!」的な指針は与えられているでしょうし。とはいえ国の名前と同じアカウントを一般人に更新してもらおうという試み、大胆なアイデアであることは違いありません。果たしてどのような反響を呼ぶことになるでしょうか?
< 追記 >
「どうせ政府側で投稿を事前チェックしてるんじゃね?」と感じて仕方がない方、次のツイートをどうぞ:
https://twitter.com/#!/sweden/status/146227297752588288
Do you think my girlfriend is trying to tell me something?
僕のガールフレンド、何かを伝えたいんだろうか?
……って下ネタかよ!
投稿情報: 09:35 カテゴリー: Twitter | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
これは凄いかも。KLMオランダ航空が画期的な座席指定システムを来年開始とのことです:
■ In-flight dating? Using social media to find a seatmate (USA Today)
従来も「座席マップから座席を指定する」などといった機能が各社で提供されていますが、KLMのシステムではそれを一歩進め、既に座席を確保している搭乗者のFacebook/LinkedInプロフィールを参照可能にするとのこと。つまり「この人とは趣味が同じだから会話が弾みそう」「この人は同じカンファレンスに参加する予定なのか」といった情報を確認した上で座席が選べる、ということですね。
Travelers will be able to link Facebook and LinkedIn profiles to their check-in information; though KLM says the service will be available to all passengers checking in online, travelers can choose whether or not to make their profiles publically available.
旅行者はFacebookもしくはLinkedInのプロフィールをチェックイン情報にリンクすることが可能になる。このサービスはオンラインでチェックインする全ての搭乗者に提供されるとのことだが、プロフィールを公開するかどうか選択することが可能。
ということで、当然ながらプロフィールを非公開設定にすることも可能ということなので、全員のプロフィールを参照できるわけではありません。そもそも予約が先の方だと、隣りに誰が座るか分からないわけですし(どうやら「こういうプロフィールの人は隣を予約させないで!」といった拒否機能はないようですw)。しかし先のように「海外のカンファレンスに参加するために移動する」などといった場合、積極的にネットワーキングに活用しようという利用者が増えるかもしれません。
ただこんなシステムが定着すると、自分の隣の席がなかなか埋まらない……という悲しい思いをする人も出てくるのかも?いやそれなら逆に、嫌われるプロフィールにしておいて隣は空席にしておく!などという高等テクまで駆使する人が現れたりして(笑)。それから先に予約した人には、隣の席が埋まったら「あなたの隣りに座るのはこんな人」という形でプロフィールへのリンクをお知らせしてくれる、なんて機能も出てきたら良いなぁ。
ちなみに以前、こんな話もありました:
■ 出張SNS
PairUpという特化型SNSの話なのですが、以下のような機能が提供されていました:
基本的な機能はこんな感じ。まずは出発日と帰宅日、出発地と目的地(どちらも空港名での指定)、出席するイベントや見本市などを入力します。次に「同じ時間帯に目的地にいる人々」「同じイベントに参加する人々」「同じ日に同じ空港から出発する人々」など探したい人の条件を入力して実行すると、それに合致するユーザーが表示されます。また旅程をシェアしたり、ミーティングをセットアップするためのツールとしても使えるとのこと。
4年前、しかも特化型SNSということでユーザー数が少なく、あまり話題にならなかった記憶がありますが……FacebookやLinkedInなどをベースにすることで、こうした「旅行や出張をソーシャルにする」という取り組みも進んで行くのかもしれません。それはそれで良いことですが、「一期一会」や「袖すり合うも多生の縁」などという言葉が残る世界であって欲しい、という気持ちもあったりして。
投稿情報: 10:22 カテゴリー: SNS/ソーシャルメディア | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
データを処理する技術の発展により、データから様々な価値を生み出すことが可能になりました。それによって「素材」や「資源」としてのデータの潜在的価値は、これまでにないほど上昇しているといえるでしょう。その一方で、大量のデータを収集・保管するという作業においては、未だに公的機関や大企業が優位性を維持しています。
そこで公の利益を実現するため、データを持つ組織がそのデータを寄付するという「データ・フィランソロピー」の概念を広めてはどうか、という意見が出てきているそうです:
■ Data Philanthropy: Open Data For World-Changing Solutions (Fast Company)
この言葉は世界経済フォーラムのCTO、Brian Behlendorf氏がダボス会議で提唱したもので、国連も支援しているのだとか(実際に国連ではGlobal Pulseというサイトを設置、データ活用とツール提供に乗り出しています)。具体的にどのような内容かというと:
The basic concept, writes Global Pulse’s Robert Kirkpatrick, is a global data commons. Companies, governments, and individuals contribute anonymous, aggregated datasets from all over the world. Kirkpatrick points to the work of researchers who are pushing the boundaries of thinking about open data: Georgetown University Professor Michael Nelson’s ideas about how companies can benefit from greater transparency through "strategic leaking," as well as Jane Yakowitz’s The Tragedy of the Data Commons, which warns against the idea of personal data as property, arguing that it should be considered a protected public asset to enable public policy research (you can see her present on the topic here).
Global Pulseのロバート・カークパトリックは、世界規模でのデータコモンズを実現することが「データ・フィランソロピー」の基本コンセプトであると述べている。企業や政府、あるいは個人が、個人が特定できない形で集約されたデータセットを、世界中から提供するのだ。またカークパトリックは、オープンデータの可能性を追求している研究者たちの研究成果を紹介している。その一人、ジョージタウン大学のマイケル・ネルソン教授は、企業が「戦略的リーク」を通じてより大きな透明性を実現し、利益を手にすることができると主張している。またジェーン・ヤコビッツは「データコモンズの悲劇」と題された論文の中で、「データは個人の所有物である」という概念に対して警告を発し、データが保護された公共財であり、公共政策研究を可能にするものとして捉えられるべきだと論じている(彼女の主張はこちらで確認することができる)。
ということで、当然ながら個人情報が漏れないことを前提としつつ、社会全体の利益を達成するためにデータを「パブリック」な存在にしていこう、というのがデータ・フィランソロピーの発想と言えるでしょうか。例えば東日本大震災の後、自動車メーカーが自社が持つ車両走行実績データを提供、「通れた道マップ」が実現されるということがありましたが、これなどはデータ・フィランソロピーの典型例と言えると思います。
通常の資源の場合、使ってしまえばそれっきりで終わってしまい、その価値は使用者しか手にすることができません。しかしデータの場合、誰でも・何度でも使うことができ、また利用者が多ければ多いほど、より優れた利用方法=利益が生まれてくることが期待できます。実際にオープンガバメントが推進されている米国においては、公的機関が公開したデータを基に、「犯罪発生マップ」などといった様々なアプリケーションが民間から生まれています。従って、むしろ積極的に皆が使える状態に置いた方が、データという「資源」の価値が高まると言えるでしょう。
繰り返しになりますが、もちろん公的な価値が実現されるからといって、個人情報の漏洩というマイナス面が無視されて良いというわけではありません。しかしジェフ・ジャービスが新著『パブリック―開かれたネットの価値を最大化せよ』の中で、確信犯的に「パブリック」の擁護者を演じているように、データを公開する・共有するという行為のプラスの側面についても積極的に目を向けて良いのではないでしょうか。そしてデータが生み出し得る価値は、技術の進化によって何倍にもなろうとしています。データ・フィランソロピーの旗印のもと、政府や企業が公共財としてデータを扱い、公のために積極的にデータを提供するという文化を促進しても良いのではないかと思います。
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投稿情報: 21:38 カテゴリー: ウェブ・技術 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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