以前書いたエントリ、「携帯電話と天気予報」に煽りっぽいコメントをいただいてしまいました。しかしそこから考えさせられたことがあったので、返答コメントを少し延長して記事にしてみたいと思います。
いただいたコメントは、
天気図見たらリアルタイムでどうなるかわかるのでは?
あとは気圧ですね。現在の気圧と1時間前2時間前の気圧でこの後どうなっていくのかを予想したらほぼ自分で天気は予測できます。
という内容でした。つまり「天気図」+「気圧データ」+「知識」さえあれば、自分で天気予報ができることになります。
このうち「天気図」については、例えばtenki.jpといったサイトで簡単に手に入れることができます。また「気圧データ」としてどの程度詳細なデータが必要か分かりませんが、バイオウェザーといったサイトでは、気圧配置予想図が提供されています。最後に「知識」ですが、気象庁のサイトなどで勉強することが可能でしょう。最近は気象予報士を目指す人も多いですから、物理学などに比べれば、天気予報に必要な知識を得ることは簡単なのかもしれません。
そこで考えたのですが、「天気予報サイト」ならぬ「天気予想共有サイト」なんてサービスができるのではないでしょうか(以下、同じようなサービスが既に存在しているかどうか調べずに書いているので、いつものように「それ既出」という点があったらバシバシ指摘して下さい)。
まず適当なサイト(気象庁やWeather Hacksなど)から必要な気象データと、「気象予報をするには」「○○地方の気候の特色とは」的な学習用記事を取得して(ついでにGoogle Mapsなんかも加えて)mashup。天気予報に必要な素材が1ヵ所で手に入るようにします。次に指定した場所(○○地方や○○市など)+指定した時間(今日の午後や明日、来週月曜日など)の天気予想を入力+他ユーザーと共有できるページを設置し、ユーザーからの投稿を促します。さらにユーザーの予想データを集計して表示すれば完成。予想集計ページのイメージは次のようになります:
上位に表示されているものほど、多くのユーザーが予想している天候になります。また各ユーザーがこれまで行った予想がどれだけ正確だったか、過去の気象データとつき合わせて検証し、精度が高いユーザーは「予報士ランキングベスト10」のような形でトップページに表示されるようにしてやれば、予想を投稿するモチベーションを上げられるのではないでしょうか。
以前から紹介している本『「みんなの意見」は案外正しい』では、様々な予測市場が紹介され、そのほとんどが専門家による予測を上回るパフォーマンスを記録していることが述べられています。なぜこの「集合知(Wisdom of Crowds)」形式の予測が上手くいくのか、詳しい解説は本を読んで欲しいのですが、"Wisdom of Crowds"発生の条件として以下の4つが挙げられています:
- 多様性(各自が独自の私的情報を多少なりとも持っている)
- 独立性(他者の考えに左右されない)
- 分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる)
- 集約性(個々人の判断を集計して集団として1つの判断に集約するメカニズムの存在)
これまで天気予報は、「気象データが簡単に入手できなかった」「天気予報に必要な知識を持つ人が少なかった」という点で条件1が阻害され、「個人が行った天気予報を共有する場がなかった」という点で条件2が阻害されていました。しかし上記のような「天気の予測市場」を作ることができれば、「集合知」を発生させ優れた天気予報を生み出す可能性があります。
考えてみると、「これまでは専門家の専売特許だったのが、素人も行えるようになりつつある」という分野は天気予報以外にも存在します。また「個人の判断を集約する場」は現在のWEBサービス技術を活用すれば、簡単に実現することができるでしょう。であれば、天気予報に限らず、今後「予測市場」が活用される分野はますます増えるのではないでしょうか。
おーざっぱな予想ならレーダーアメダスを見ればだれでもわかるのになぁ
投稿情報: k | 2006/08/16 21:48
k さん、まさに「ある程度の予想なら誰でもできる」からこそ、天気予報の"Wisdom of Crowds"実現の可能性が高いのかもしれませんよ。少なくとも、十分な数の投稿・投票者を集めるのは可能なのではないでしょうか。
投稿情報: アキヒト | 2006/08/17 00:00
こんばんは。
最近空を眺めて毎日WeatherNewsにレポートを送っています。
単純に楽しいので毎日続けています。
お天気好きの人なら「天気予想共有サイト」
を楽しめるのではと思いました(*^_^*)
投稿情報: やっこ | 2007/06/06 23:04
やっこさん、コメントありがとうございます。
そうですね、ブログなどWEB2.0型の情報発信は「楽しいから」続けるというのが本質ですよね。予想した結果を利用するというよりも、予想する・予想を通じてコミュニケーションする、という楽しみ方もできるかもしれません。
投稿情報: アキヒト | 2007/06/07 10:37