僕は携帯電話の天気予報サービスを契約しているのですが、解約を考えています。理由は簡単、当らないから。大まかな方向(天気が下り坂だとか、上り坂だとか、そんな程度)は分かるのですが、とにかく当らない。午前と午後で予報がまるっきり変わるなんてこともしょっちゅう。これでは天気予報の意味がありません。
しかしよく考えると、天気予報ってそんなものです。テレビの天気予報だってしょっちゅうはずれてるし、他の予報と比較して「より正確ではない」と確認したわけではないですから、携帯電話の天気予報だけ責めるのは酷というもの。しかしなぜか、この予報だけは信頼できないのです。
その理由を考えてみたのですが、どうやら絵文字と文体にありそうだということが分かりました。例えばいま表示されている内容はというと:
東京
1/25(水) 【太陽マーク】
最高気温7℃
(前日比 -3℃)
降水確率 10%
沖縄は桜【桜マーク】満開!!ココは日差しが届いても寒いのに…。
【電球マーク】沖縄の鮮やかなピンクの桜を1度見たら、人に【携帯電話マーク】見せたくなる
(以下省略)
こんな感じ。【 】の部分に、実際には携帯電話の絵文字が表示されています。「フレンドリーな感じが良い」という人もいるかもしれませんが、僕は違います。天気予報に求めるのは正確性であって、エンターテイメントではありません。軽いノリで表現されていることが、逆に情報の信頼性を(少なくとも僕に対しては)失わせてしまっているのです。
携帯電話のサイトは、基本的にテキストと簡単な画像のみで構成されるため、信頼性を得るのが特に難しくなっているのかもしれません。最近『人を動かすテクノロジ』という本を読んだのですが、この中ではWEBサイトの信頼性を、次の4つに分類しています:
- 仮定型の信頼性(「有名な企業・団体が運営している」など、推測から生まれる信頼性)
- 評判型の信頼性(「2005年ベストWEB大賞を受賞」など、他者の保証・推薦などから生まれる信頼性)
- 表面型の信頼性(「プロのデザイナーがデザインしたように見える」など、表面的に感じられる信頼性)
- 獲得型の信頼性(「欲しい情報が簡単に得られた」など、そのWEBを通じて経験した内容を通して得られる信頼性)
携帯電話専用のサイトでは、3.表面型と4.獲得型の信頼性を得ることが難しいのではないでしょうか。例えばPC向けのWEB天気予報では、天気図や気象衛星からの画像を表示させたり、気圧の移動をインタラクティブに表示させるなど、様々な追加情報・機能を提供することができます。しかし携帯電話のサイトで実現できるデザイン・機能は限定されているため、十分注意されて設計されていないと、簡単に信頼性を失ってしまうわけです。
少ない情報(コンテンツ)と限定されたデザイン・機能でどうやって信頼性を獲得するか。携帯電話専用サイトの設計には、もっと配慮が必要だと思います。
<追記>
ちなみにこの『人を動かすテクノロジ』という本ですが、「いかに人の行動を変えるコンピュータ(ソフトウェア/WEBアプリケーション)を設計するか?」という点で参考になります。ただ訳が変な部分があるので、お読みになる際はご注意を。
いつもながら、日常の中からのスルドイ視点。いろいろと考えさせられます。ご指摘のように、情報端末としてみた場合に画面の領域、メモリーの領域、制約だらけのデバイスだと思います。その代わりに、携帯電話だけがもつ優位な部分があると思うんです。その辺を考えることで、信頼性もカバーできる??と思ったりします。提示された類型の4つ目、「獲得型の信頼性」にあてはまるかわかりませんが、ユーザーとのコミュニケーションがあげられるかもと。たとえば、WEBの閲覧などでは、情報に変化あった場合などに知らせる手段に乏しいわけですが、常に傍らにあるという前提が成立する携帯電話にたいしては、メールなどの手段で即時に周知することが可能になるのではないでしょうか。そういった、情報提供のフォローのような反復が信頼性につながりうるのでは??
おもいつきなのですが…
投稿情報: p-article | 2006/01/25 13:24
ありがとうございます。
実は『人を動かすテクノロジ』ではその辺も触れられていて、携帯端末の優位性は「カイロス(最適なタイミングで説得を試みること)」にあることが論じられています。つまりPCのように「場」に限定されないので、例えば特定の時刻にメッセージを発信するなど、最も効果の高いタイミングを探ることができるわけですね。
ただ携帯性については、逆にユーザーの生活に土足で踏み込むこととなり、逆効果を及ぼす懸念も指摘されています。ユーザーにとって心地よい距離感を探ることも、携帯端末に載るアプリケーションには求められているのでしょうね。
投稿情報: アキヒト | 2006/01/25 14:15
『人を動かすテクノロジ』を読んでいなかったものですから、エラそーに書いてしまって、いやはやお恥ずかしい(笑)
>>ユーザーにとって心地よい距離感を探ることも、
結局ここに帰着するのですね。で、結局 [DAILY ME]フィルタに…
話は戻ってしまうのですが、携帯電話の有料コンテンツって着メロやゲームといったエンターテインメント系を除くと、ニュースや天気予報がなんだかんだいって人気あるんですよね。で、その次くらいが乗換案内のような路線系。月額ナニガシかの対価を払うサービスとしては受け入れられる素地はあるんですよね。類型の2-4の信頼性というのは、リテンションにおける要件なので、この信頼性を意識するだけでも(ニーズはあるわけですから)、CPとしてはまだまだ収益が見込めそうですね。
投稿情報: p-article | 2006/01/25 14:55
天気予報に関して
天気予報に関してあたらないとコメントがありましたが、
天気予報を信じるよりも天気のことを勉強したらいいのではないでしょうか??
私は天気予報を購入していないのでどうかわかりませんが、
天気図見たらリアルタイムでどうなるかわかるのでは?
あとは気圧ですね。現在の気圧と1時間前2時間前の気圧でこの後どうなっていくのかを予想したらほぼ自分で天気は予測できます。
天気の信頼性?君の人間性手感じですね^^;
投稿情報: king | 2006/03/04 18:34
舌足らずだったかもしれませんが、天気予報が当らないことを責めているわけではありません。僕が使っている携帯電話の天気予報サービスを例に、携帯電話で配信される情報の信頼性を高めるためにはどうすれば良いか、を考えてみた記事でした。
残念ながら天気は勉強したことがありません。しかし「天気図が見れる」「現在の気圧が分かる」「今後の気圧変化が予想できる」の3条件が揃えば今後の天気が占えるのであれば、「天気図/気圧データを配信する」+「気圧変化の予想方法をレクチャーする」の2つの機能を提供する新しいサービス、なんてものが考えられそうですね。集合知の考え方を取り入れれば、「天気図と気圧データだけを配信して、後はユーザーからの天気予報を集約するサービス」なんてものを作れば、けっこう信頼性の高い天気予報サイトとなるかもしれません。
投稿情報: アキヒト | 2006/03/05 01:34