『企業内人材育成入門』を読了。昨日のエントリでも書いたように、特に狙いがあって買ったわけではないのですが、自分自身がスキルアップ・キャリアアップする上で参考となる情報が数多く含まれていました(もちろん本来の目的=人事系のお仕事をされている方々へのアドバイス、も数多くありますよ)。例えばこんな一節:
たしかに、仕事で成功した人の自伝などを読むと、そこには、よい上司やプロジェクトとの出会い、よい仲間との出会いなど、あとから振り返ると「運」としか言いようのない出来事が多く見られる。本人自身、こうした偶然の積み重ねによって、今日があると言う。しかし、キャリアとは本当にこうした「運」に左右されるもので、自分から主体的にキャリアを開発していくことはできないものなのだろうか。
(中略)
こうした関係性の中での偶然を積極的に捉え、キャリア開発においてその偶然性をうまく活かすことを提唱したのが、米国スタンフォード大学のクランボルツ教授である。クランボルツは、キャリアにおけるこのような偶然のことを、「計画された偶然(planned happenstance)」とよぶ。計画された偶然に関する理論が、「計画された偶然理論(planned happenstance theory)である。
確かに成功体験の中には、「偶然○○さんと知り合った」「ちょうど良いタイミングで○○という情報を得た」といった話が出てきますよね。それがキャリアアップにつながった、などと聞くと「それじゃ恵まれない環境にいるオレはどうなるんだ、全て会社が悪い」とやさぐれてしまいそうですが、「計画された偶然」理論では、「運も実力のうち。幸運が訪れたときに逃さないように感度を高めたり、幸運が訪れるような努力を行うことが大切」と説くわけです。で、「偶然に出会い」「それを自分のキャリアに活かす」ために、次の5つの行動が必要になると解説されています:
- 好奇心 : 新しい学習機会を探求すること
- 粘り強さ : 失敗にくじけず努力すること
- 柔軟性 : 計画にとらわれず、態度と環境を変えること
- 楽観性 : 新しい機会を、可能で到達できるものだとみなすこと
- リスクテイキング : 結果がどうなるか分からない場面でも行動すること
意に反する状況に置かれても「まぁなんとかなるさ、この仕事も面白いかも」と考えて、逆に積極的にリスクを取り、最後までやり抜いてみてはということですね。理論というよりも、「仕事に臨む際の態度」と言えるかもしれません。そういえばこの『企業内人材育成入門』に出会ったのも好奇心からですし、自分のキャリアアップにつながるタネは、いたるところに転がっているということなのでしょう。要はそれに気づき、つかめるかどうか。
この「計画された偶然理論」、実は日本でも人気のある理論なんですね。同書では、偶然からキャリアをつくることを強調する『偶キャリ』という言葉が登場していることも紹介されています(全然知らなかった……)。やっぱり、たまには畑違いの分野で良書を探してみるものだ。
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