現代はネットを始めとするメディアで大量の情報が流れ、「情報洪水」や「情報爆発」などと呼ばれるような状況になっていますが、実は17世紀にも同じような状況だったようです:
■ information overload in 1613
バーナビー・リッチ(Barnaby Rich)というイギリスの作家が、1613年にこんなことを書いています(訳はてきとーです):
"one of the diseases of this age is the multiplicity of books; they doth so overcharge the world that it is not able to digest the abundance of idle matter that is every day hatched and brought forth into the world"
今日における病の一つは、書物が無数にあることだ。世界には本が山積みになっており、毎日のように生み出される無意味なものをすべて飲み込むなど不可能だ。
要は本がいっぱいありすぎ!ということですね。17世紀のイギリスでどれだけ書籍が流通していたのかは調べてみないと分かりませんが、当時の人々にとっては対応できないほどのスピードで、情報量が増加しつつあったのかもしれません。
いずれにしても、「情報があり過ぎる」という悩みは現代だけのものではないようで。逆に未来の人々が21世紀初頭を振り返ったときには、「インターネットぐらいで情報洪水なんて言ってたようじゃ、過去の人々はたいしたことないんだねー」なんて言われてしまうかも。
【関連記事】
人間は情報洪水を何度か経験しています。
1.文字の発明
2.紙の発明
3.印刷術の発明
4.通信技術の発明
5.インターネットの発明
3.あたりになると情報洪水が意識されてきつつあったらしく、ある中国史研究者は「禅(=直感を重んじる思想)は書物があふれる時代になったから生まれた」と述べています。言われてみれば、知識の乏しい時代には誰しもが直感に頼るのは自明のことだったのですから、禅のような思想は不要だったんですね。
投稿情報: とおりすがり | 2008/06/23 09:57
とおりすがりさん、コメントありがとうございます。
おお、確かに歴史を振り返ってみると、人間は情報を「爆発させてきた」のですねー。また、
> ある中国史研究者は「禅(=直感を重んじる思想)は書物があふれる時代になったから生まれた」と述べています。
という点が興味深いです。逆に言えば、現代こそ禅の思想が必要な時代になっているのかもしれませんね。
投稿情報: アキヒト | 2008/06/24 12:57