日本でも「図書館日和」というアプリが登場しているように、「アプリを使って図書館の利用をより便利に」という発想が出てきていますが、ニューヨーク公立図書館(NYPL)は、同図書館を利用する上での様々な手助けをしてくれる専用アプリをリリースしたとのこと:
■ Putting the Library on Your Smartphone (New York Times)
僕は東京に住んでいて、ニューヨークに行く予定などまったく無いのですが、意味なく自分のiPhoneにダウンロードしてみました。結論から言うと、いくつかの機能をお遊びで使っているだけでも、本アプリの便利さを感じることができますよ。
こちらが起動画面。マークになっているのは、ニューヨーク公立図書館のシンボル、ライオンですね。
こちらは起動された直後に表示されるホーム画面。ご覧のように最近レビューが加えられた本の表紙が並んでいます。その下には「新着図書」「ニューヨークタイムズ紙ベストセラー」などのメニューが。こういった切り口から、新しい本との出会いが生まれるわけですね。さながら入り口近くの棚に今月のオススメ本が並んでいるイメージでしょうか。
そもそもそういった偶然の出会いも、リアルな図書館の重要な機能だったわけですが。本アプリはどうやら、「読みたい本の貸し出し状況を調べる」といったストレートな目的だけに特化したものではないようです(もちろん下のメニューバーからも分かるように、特定の本を即座に検索することも可能なのですが)。
試しに「最近レビューが加えられた本」に並んでいた"SWAY"(邦訳『あなたはなぜ値札にダマされるのか?―不合理な意志決定にひそむスウェイの法則』)を開いてみました。で、出てきたのが上の画面。ご覧のように本の詳細情報はもちろんのこと、他のユーザーによるコメントや評価(星5つ)の平均なども確認することができます(もちろんユーザーアカウントがあれば、自分もコメントや評価を投稿することが可能)。
もしレビューや内容詳細を読んで「いますぐ読みたい!」となったら、その場で貸し出し状況をチェックすることができます。詳細画面の上にあるリストアイコンをタップすると、ご覧のように、選択されている本の在庫・貸し出し・予約状況が表示されます。この場合、在庫は19箇所(ニューヨーク公立図書館は分館があちこちにあります)にあり、7箇所で借りることができるようですね。また図書カードを持つ住民であれば、本アプリのアカウントとの紐付け設定を済ませた上で、この場で予約をすることも可能。いいなー便利で。
これは分館の1つを選択してみたところ。ご覧のように、開館時間や休館日の予定、所在地などといった情報が掲載されているのに加え、電話をかける・メールを送信するといった機能もついています。
もちろん所在地に関係する情報は、地図を通じて確認することもできます。自分の現在地から確認する機能もついているので、例えば「オフィスで急に参考図書を確認する必要が生じたので、在庫検索して貸し出し中になっていない分館のうち、オフィスに一番近いところに駆けつけた」といった行為が可能になるわけですね。
そして極めつけがこちら。自分のアカウントがあれば、前述のように図書カードとの紐付け設定を行った上で、貸し出し状況や予約状況を確認することができます。なんと貸出期間の超過等で科せられた罰金まで!
というわけで、これだけでもかなり便利そうなのですが、NYTの記事によれば、電子ブックを直接このアプリ上から借りて読む機能も検討中とのこと。ここまで至れり尽くせりのアプリを提供している図書館の方が珍しい存在に違いありませんが、なかなか羨ましい。
公共サービスは市場競争にはさらされないため、どうしてもこういった利便性の向上というものが生まれにくい分野です。そのために民間企業によるサービス、それこそ「図書館日和」のようなアプリが活躍する領域が生まれてくるわけですが、図書カードの情報と紐付けるなどといった対応はそもそも図書館側でも手を打ってくれないと実現できません。直接アプリを運営するのが民間、自治体のどちらになるにせよ、より高度な機能を実現するためのインフラやプラットフォームの整備といったものが日本でも進められて欲しいですね。
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