久しぶりに、封切り間もない映画を観ることができたので少し。『ゼロ・グラビティ』、昭島の映画館で観てきました。小学生の娘と一緒だったので、吹き替え版の3Dで。
とにかく映像表現が素晴らしいという前評判だったので、かなり期待して行ったのですが――そんな高いハードルを軽々と上回るほどの出来映えでした。僕は幸か不幸か3D酔いはあまりしないタイプなので平気でしたが、人によっては影響があるかもしれません。そしてテーマそのものが「宇宙で遭難する絶望感」であり、その辺りを徹底的にリアルに描いているので、これも人によってはホラー映画以上の恐怖を味わうかもしれません。
そんなリアル感を増しているのが、「余計な映像を入れない」という作り方です。ネタバレになるので詳細は書きませんが、「普通の映画でこのエピソードを描くならこんなシーンを入れるよなぁ」と思うようなシーンが一切ありません。基本的に登場人物は2人の宇宙飛行士、ジョージ・クルーニーとサンドラ・ブロックのみ。上映時間が91分という短さにも、そのストイックぶりが現れているのではないでしょうか。変な表現かもしれませんが、サッカーの試合前後半を、CM抜き・ハーフタイム抜きのぶっ通して見せられているような息苦しさを味わいました。
一方で、「これといったストーリーがない」という批判がある理由も何となく理解できます。確かに生中継的な作り方というか、ワイドショーでスポーツを扱う時のような「ここで○○選手の秘蔵VTRを紹介しましょう!」的な場面展開を禁じてしまえば、ストーリーに深さを出すのは難しくなるでしょう。ただ、個人的にはサンドラ・ブロック演じるライアン・ストーン博士に非常に感情移入することができました。これもネタバレになるのであまり言いませんが、語られることが少ないながらも、彼女の心理描写にひどく共感できる部分があったというか。彼女とマット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)が交わす会話に、不覚にも涙してしまいました。
ということで、気になっている方は次の連休で必ず観に行きましょう。最後まで観れば、邦題を『ゼロ・グラビティ』にしてしまったことになぜ批判の声が多いのか、はっきりと分かるはず。ちなみに原題は『グラビティ』。うーん、いろいろ意図はあったのでしょうが……個人的には原題の方が、この映画にさらなる意味を与えてくれると思います。極端に言えば、これ主題をひっくり返しちゃってると思いますよ。もっと極端に言えば、登場人物を一人消しちゃってるぐらいというか……ともあれオープニングがどんな言葉で始まり、ラストがどんな言葉で終わっているか、よく観てきて下さい。
ゼロ・グラビティ [DVD] 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
コメント