日本のAR(拡張現実)アプリの代名詞的存在だった、頓智ドットの「セカイカメラ」が来年1月22日にサービスを終了するとのことです。
■ セカイカメラは2014年1月22日に全てのサービスを終了します (Sekai Camera Web)
ちなみに自分が投稿したエアタグのデータは、KML形式のファイルとしてダウンロード可能とのことですので、保存しておきたいデータがあるという方はお早めに。
という驚きのニュースですが、最近は目立った動きがありませんでしたし(公式Twitterの更新は昨年6月27日が最後)、ある程度予想していたという方も多いと思います。よく持ったほうだ、なんて意地悪な声も聞こえてきたり。確かにオランダ発のARアプリ"Layar"のように、明確なビジネスモデルを描けていなかったことも事実ですから、今回の流れは仕方の無いことかもしれません。「セカイユウシャ」なんて話もありましたね……。
ただ、個人的にはセカイカメラほどの衝撃を受けたiPhoneアプリは他にないので、終了してしまうのはやはり残念です。「現実空間にデジタル情報が浮かんでいる」(しかも自分がそこに参加できる)というエアタグの概念とビジュアルは、本当に衝撃的でした。エアタグテロなんて、SFが現実化したように感じられたし:
これからGoogle Glassや、それこそ井口尊仁さんの「テレパシー」のようなウェアラブル・デバイスが普及してくれば、もっとセカイカメラ型のサービスが受け入れられる余地が広がるでしょう(やっぱりスマートフォンを掲げてグルグル回るっていう行動は受け入れがたいですし)。それだけに、登場するのがちょっと早かったのだと言っておきたいと思います。
とはいうものの、やはり技術やコンセプトが画期的だからといって、ユーザーの支持やビジネスとしての成功を約束するものではない、ということが繰り返されたに過ぎないのかもしれません。セカイカメラ以外のARアプリ、ひいては先端技術を活用したあらゆる製品/サービスについても言えることですが、どのようにパッケージ化するのかが成否を分けてしまうわけで。実際、いまやすっかり定着したGoogleのストリートビューが登場する(2007年)以前、2005年にアマゾンが"Block View"という類似サービスを提供していたそうです(島田範正さんが書かれた記事に詳しいです)。しかしこちらは20ヶ月で終了し、存在すらも忘れ去られようとしています。いちはやくサービスを立ち上げた企業が先行者利益を享受することもあれば、ノウハウ不足から失敗し、後を継いだ企業が大成功を収めることもあり、難しいところですが……。
少なくとも、セカイカメラは歴史に名を刻むアプリであると感じています。関係者の皆さま、素晴らしいセカイとミライを見せてくれてありがとうございました。
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