イントラブログセミナーの感想、どうまとめようか悩んでいるのですが、自分が一番強く感じたことを書こうと思います。
「(社内)ブログで情報共有が進む」。今回のセミナーに限らず、これまで何度も繰り返されたフレーズです。セミナーではお題目にとどまらず、導入事例もたくさん紹介されました。成功事例が出ているのは分かります。けど結局、いまいち運用のイメージが掴めない・・・というのがユーザー側の印象のような気がします。
僕の勝手な印象なのですが、社内ブログ/イントラブログを説明する時って、「どんな情報が共有されるのか?」という最も重要な視点が欠けているように思います。営業日報システムなら営業員の日々の活動の把握、CRMなら顧客情報の把握と、明確な姿を思い描くことができます。しかし社内ブログの説明になると、「これまでできなかった情報共有ができるようになります。具体例は○○○です。」という話が出るだけ。自社ではどのように活用できるんだ?という疑問が残って当然です。
ブログは情報共有のプラットフォームにすぎない、運用は各ユーザーが考えれば良いこと、という意見は確かにその通りです。ブログのもつ可能性を狭めないために、あえて使い方をオープンにしておくという考え方もあるでしょう(余談ですが、セミナーではこの「ブログの拡張性」という点を重視しているという発言が複数の方からありました)。しかしブログには得意とする分野-扱われる情報の特徴や、情報共有の方法-があるはずです。その点を啓蒙していかないと、ブログになじみの薄い企業に社内ブログを売り込むのは難しいのではないでしょうか。
実際に会場では、「複数のメンバーが考えをまとめる際に、ブログが効果を発揮するというケースは分かったが、後からそれを成功例として参照するにはどうすれば良いのか?」という質問がされていました。あえて割り切った言い方をすれば、それはブログじゃなくて他の方法を考えるべき、というのが僕の考えです。ドリコムの安藤さんが指摘されていましたが、ブログの利点は、これまで「フロー」として交わされていた情報-Eメールなどを通じた議論-が「ストック」として蓄積され、他の人からも参照できるようになることです。ブログは言わば、様々な情報が寄せ集められた「スクラップブック」で、それを各自が自由にアクセスし、得た情報から自由な発想をすることで、形式化された知識を(個人として)生み出すというのが正しい使い方でしょう。だからこそ、ブログにはカテゴリやタグ機能があったり、全文検索できたりと、ある記事へさまざまな方法を通じてアクセスできる-逆に言えば、アクセスの順序は決まっていない-のです。
一方、既に形式化された知識-ERP導入のメソドロジーや、顧客にインタビューする際の効率的な方法など-については、きちんと製本(時系列で議論を並べ直したり、公式な解釈や注意書きなどを挿入すること)して、分かりやすく分類して本棚に納める(既存のデータベースに保管する)ようにすれば良いのです。ブログというツールがどんな情報を扱うのに適していて、どんなアクセス方法で情報を取り出す仕組みになっているのか、その辺りの理解が進まないと、既存のシステムとの住み分けや導入の際の正しいアプローチを考えることは不可能ではないでしょうか。
なんか批判っぽいですが、批判ではないですので念のため。パネルディスカッションは楽しめましたし、takeawayもいろいろとありました。ただ、ブログはいみじくもSix Apartの河野さんがおっしゃられていたように、企業内でどのような場面にフィットするのかを模索している段階だと思います。認識がバラバラのユーザーたちを集めて、レクチャー形式でセミナーを行うというのは、非常に難しいのではないでしょうか。「ブログ導入を既に決めていて、プロダクトを探している人たち向けセミナー」「ブログをプロジェクト管理に活用したい人たち向けセミナー」のように、目的を限定・明確化して掘り下げるのもありなんじゃないかなぁと感じました。
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