Web 2.0に直接関係した話題ではないのですが、ちょっと気になったニュースを:
シャープ、トナー消費量3割減のカラー複合機を発売(NIKKEI NET)
シャープが複合機市場でのシェア拡大を目指して、次のような特徴を持つ複合機を発売したとのこと:
- トナー消費が3割少ない
- トナー容器も小型化、トナー梱包容積は従来比で8割減
- 技術使用を外部に公開、制御も複合機外部から可能になり、制御ソフトを独自開発しやすくなる
- FAX待機時の消費電力は96%減の1ワット以下
- 12機種の設計共通化により、金型を使う部品数を51%削減
従来、複合機やプリンタと言えば、本体を安くしてメンテナンス料金やトナー代で稼ぐというビジネスモデルが取られてきました。キャノンやHPが再生インクカートリッジを販売している企業を相手取って、裁判を起こしたというニュースは記憶に新しいところです(参考記事:「修理」か「再生産」か インクカートリッジで法廷論争/米HP,再生インク・カートリッジの豪Cartridge Worldに特許侵害を警告)。消費者にとっては「安い」「環境に優しい」という利点を持つ再生インクカートリッジも、企業にとってはやっかいものでしかないのです(参考記事:ZDNet Japan Blog「エンタープライズニュースの読み方」)。
シャープは複合機市場では後発組であり、既存のビジネスモデルにはとらわれない戦略を仕掛けることができます。それが今回のような「型破りな」複合機の発表につながったのでしょう。
この複合機で、シャープはどのようなビジネスモデルを打ち立てるのでしょうか。ちょっと考えてみると、以下のような可能性があります:
- 「ランニングコストが安い」「環境に優しい」「ユーザーが自分でカスタマイズできる」といった点を複合機の新たな評価軸としてアピールし、複合機本体の売上で稼ぐ
- 流通/在庫コストの削減(カートリッジの小型化による)、メンテナンスコストの削減(部品の共通化による)により、利益率を上げる
- サードパーティーに独自の複合機制御ソフトを開発させて、それをバンドルする/個別販売することで手数料収入を得る
いずれにせよシャープの新しい複合機は、「メンテナンス料金/トナー代で稼ぐ」という従来のビジネスモデルを壊そうとする動きなのではないでしょうか。今回は法人向け市場の話ですが、一般消費者向けにも同じような複合機/プリンタをぜひ発売して欲しいと思います。
--- 同じようなビジネスモデルの破壊を、多くのWeb 2.0企業が試みています。しかし「ルールが変わった後の世界」できちんと稼ぐ仕組みを構築できる企業が、果たしてどのくらい存在しているのでしょうか?
トラックバック有難うございます。
やはり、ビジネスモデルの破壊は失うものがない人たちが始めるのですね。期待したいところです。
それにしても、オフィス・パーティがプリンター・メーカとコンプリメンタリーな関係にあるとは知りませんでした(笑)。。。
投稿情報: e-Tetsu | 2005/12/04 12:49
飯田さん
コメントありがとうございます。歴史的に見ても、後発組がビジネスモデルを破壊した例は多いですよね。シャープにはぜひ頑張ってもらって、「本当に安い」プリンター/複合機を世に広めて欲しいと思います。
僕もオフィス・パーティーがプリンターの設計にまで影響を及ぼしているとは、驚きでした。意外なところにビジネス・チャンスは転がっているのかもしれません。
投稿情報: アキヒト | 2005/12/04 13:10