先週のCNETセミナー「次世代ウェブの検索サービスを探る」でも、検索エンジンが私達の生活の一部となってきたことが繰り返し指摘されていましたが、アメリカでこんな調査結果が出ました:
電子メールに迫る検索エンジン(ITmedia)
このリサーチ結果、確かCNETセミナーの中で、Ask JeevesのDaniel Read氏によるプレゼンテーションの中でも使われていたと思います(プレゼン資料は配布されなかったので、違うデータだったかもしれませんが)。ちなみに元の調査報告書はこちら:
Reports: Online Activities & Pursuits -- Search engine use shoots up in the past year and edges towards email
as the primary internet application. (Pew Internet & American Life Project Report)
レポートのPDFファイルへのリンク: PIP_SearchData_1105
うろ覚えですみませんが、確かDaniel Read氏のプレゼンの中では、検索エンジンの利用に費やす時間もEメールと肩を並べている、というような結果も出ていたような。いずれにせよ、検索エンジンがいかに身近なツールとなっているかを物語っていると思います。
「ほとんどの人はインターネットを巨大な図書館と考えており、そこから情報を探し出すために、次第に検索エンジンに依存するようになっている」とPewのディレクター、リー・レイニー氏は述べている。
という一節が記事中にあるのですが、確かにネットは巨大な図書館のような存在ですね。しかもその図書館には、公式/非公式の情報、さらには情報となる前の「単なるつぶやき」のようなものまで満ちているとしたら。図書館司書としての検索エンジンの役割は、ますます重要になっていくでしょう。
しかし心配なのは、ネットがかつての図書館と違い、万人に開かれたものでなくなるかもしれないという点。まずユーザーですが、調査結果を見ると、所得の低い人々がユーザーに占める割合が低いことが分かります。「貧しくてネットできない」「ネットができたとしても、使い方がわからない」などといった理由が考えられると思いますが、Digital Divideという問題を改めて検索エンジンの面からも考えてみるべきだと思います。
また「検索エンジンで情報を引き出す」という行為が当たり前になると、「情報の分類という手間がかかる作業をしない」「情報があることをわざわざ宣伝しない」という態度が生まれてくるように思います。すると、検索エンジンを使いこなすことが、情報を見つける唯一の手段となります。「検索エンジンなんて使えて当たり前」と思われるかもしれませんが、それは大多数の人々には当てはまったとしても、子供やお年寄り、障害者など「検索エンジンの当たり前のように使えない」層が必ず存在することを心に留めておく必要があると思います。
あらゆる情報が詰まった巨大な図書館、しかしそれは弱者には閉じられた施設だった--などということにならないように、検索エンジンについての議論に公共性という観点が含まれるようになることを願います。
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