ニューヨークで開催中のイベント"AD: TECH 2005"の速報記事が投稿されていました:
企業ブログのベーシックな戦略とスキルとは? - nikkeibp.jp - AD:TECH 2005 NY 速報
ちなみにオフィシャルブログはこちら: ad:tech blog
この記事ではパネルディスカッションの模様がレポートされているのですが、そこで気になる記述がありました:
このセッションでは、企業がブログを公開するための戦略や、実際の例、将来予測などが語られた。まず、CoranteのBoyd氏がプレゼンテーションを行った。Boyd氏は、企業ブログのあり方について次のように語っている。
1. 企業という環境下であっても個人として声になること。
2. マーケティングの場ではないことを忘れない。
3. きちんと対話をすること。
4. 真実を伝える声であること。
2番目のポイントで「おや?」と感じた方も多いのではないでしょうか。マーケティングの場「ではない」ことを忘れない、すなわちブログはマーケティングのツールではないということになります。しかし「ブログマーケティング」というという言葉が普通に使われているように、ブログはマーケティングのツールとして有効だという認識が定着しつつあります。これは「マーケティングの場ではないことを忘れるな」とは、どういう意味でしょうか?
どのような文脈で言われたのか分かりませんが、僕は次のように考えました:
- この場合「マーケティング」とは、従来行われていたような、一方通行のマーケティングを指しているのではないか。企業が商品/サービスのポジショニングを決定し、それに沿ったメッセージを一方的に発信するだけという意味で(効果測定もある意味「顧客のメッセージを聞く」という行為ではないので)。だからこそ、3番目のポイントが「きちんと対話すること」になっている。
- ブログは決められたメッセージを発信する場ではない。一方的なメッセージの発信であれば、従来の静的HTMLを使ったプレスリリースで十分。ある意味、個人的な意見と人間味に溢れた文章がブログの魅力。
- またブログは、双方向のコミュニケーションを可能にするという点が最大の特徴。従って、ブログを通じたコミュニケーションは、企業のコントロールを越えたものになる。「周到に計画されたメッセージを一方的に伝える」というスタンスでは、効果的なビジネスブログを運営することはできない。
ということで、マーケティングが「一方的なコミュニケーション」に近い意味で使われているような気がしました。しかし「ブログマーケティング」という言葉が違和感無く使われている背景には、マーケティングそのものが変質してきたことがあると思います。マーケティングという言葉が「マスにどのように訴えるか」を考えるだけでなく、ブログやSNSなどを通じて「どのように個々の消費者とコミュニケーションしていくか」を考えることも含むように、次第に変化しているのではないでしょうか。
ちなみにこの発言をされた、CORANTEのStowe Boyd氏のブログはこちら:
発言の真意を知るには、彼のブログをチェックするしかありませんね・・・。
政党、政治家がブログに乗り出しています。
「ブログマーケティング」で言えば、政治家は民衆の声を聞くのが仕事なのですから、秘書などのフィルタを介してでもよいので、ぜひコメント、トラックバックを閉じないで頂きたいものです。
投稿情報: itochan | 2005/11/11 22:56
コメントありがとうございます。
そうですね、最近はスパムコメント・スパムトラックバックを防ぐ仕組みが備わったブログも多いですから、コメント・トラックバックを市民とのコミュニケーションに活用して欲しいものです。政治家は語るのが本職ですから、コメントやトラックバックも含め、「ブログがどれほど強力なコミュニケーションツールなのか」が分かれば積極的に利用する可能性はあると信じているのですが。
投稿情報: アキヒト | 2005/11/12 01:37