Amazonが知らぬうちに、作家向けブログ・ホスティングサービスを始めていたのですね。その名も"Amazon Connect Program":
Amazon Hosting Author Blogs (ClickZ News)
先月から始まっていたようで、いつものようにBeta版のサービスです。以下のページで、詳しい解説を読むことができます:
既に何人か作家さんが、このプログラムを通じてブログを書いているようです。その中の一人、Meg Wolitzerさんの"The Position"のページ:
The Position (Amazon.com)
このページを下にスクロールして行くと、"Amazon Connect"とタイトルが付いたコーナーが見つかると思います(以下のスクリーンショットを参照、クリックで拡大)。もしくは作家のプロフィールページからも、ブログを読むことができます。
残念ながらClickZの記事にあるように、コメントもトラックバックもできません。RSSフィードの提供もなし。用意されているのはPermalinkだけ。従ってこれをブログと呼ぶかどうかは微妙ですが、サイトに集客する仕組みとしては面白い機能でしょう。
ただ問題は、Amazon Connectでブログを書くような人なら、既にブログを始めているのではないか?という点。Amazonのユーザーにとっては、同じサイトの中で作家自身の言葉を読むことができるというのは利点ですが、作家にとっては制約(コメント/トラックバックで読者とコミュニケーションすることができない、デザインもAmazonのフォーマットに従わなくてはならない、など)がある中でブログを書くことになりますから、さほど魅力は感じないように思います。ただしAmazonという集客力のあるサイト上に自分の声を載せることができるという点は、売り出し中の作家にとっては利点かもしれません。
まだ改善点のあるサービスですが、これまでは出版社と読者の声しか反映できなかったブックレビューに、作家という真の当事者が参加することが可能になるわけです。Amazonは「本」という商品を核にしたコミュニケーションのプラットフォームとして、読者にとってますます魅力的なサイトになるでしょう。以前から書いているように、米Amazonのサイトは相次ぐ機能追加で「ゴチャゴチャ感」が増す一方ですが、消費者が欲しいと思う情報はおおよそ網羅しているメディアに成長したのではないでしょうか。後は個々のユーザーが欲しい情報だけを画面上に並べることができる「カスタマイズ機能」さえ充実すれば、デジタル・マーケットプレイスとして揺るぎない地位を確保するようになると思います。
<追記>
こんなのブログじゃない(っていうかAmazonはブログなんて言ってない)っていう反応がやっぱり出ています:
Amazon Connect program not an author blog hosting experiment (Make You Go Hmm)
This seems more like a place for book-related announcements than anything else: “I’ll be doing a book signing at ___ on this day/date ___ … ”
だって。確かにコメントもトラックバックもない、RSSもないone-wayメッセージであれば、簡単なアナウンスメントとして使うところから始まるかもしれません。
コミュニケーションではなく、パブリッシングだと捉えるのが正しいと思いますよ。
”作家向け”ですよね。
となるとゴールは一つ。
投稿情報: SW | 2005/12/30 00:52
なるほど、パブリッシングと捉えられますね。ということは、Amazon.comは自社でコンテンツを持つことを目指しているのでしょうか(流通業→出版業への進出)?それとも、あくまでもAmazon.comで書籍を売るためのマーケティングの一環?
投稿情報: アキヒト | 2005/12/30 13:18
Amazon=大型書店と考えると、いわゆる作家さんのトークショーやサイン会のようなものに該当するのかもしれませんね。現状は、おそらく、Amazon→書籍→Amazon Blog というパスだとは思いますが、Amazon Blog →書籍→Amazon(Store)というパスが新しくうまれることによって、Amazon Blog というコンテンツが集客装置の役割も果たすのではないでしょうか。作家側としてもより効果的な「場所」でのプロモーションを期待しますよね。
そもそものネットにおけるコンテンツの持つ役割ということを考えると、意外とシンプルなのではと思ったり。
(いずれにしても何かヒトツの効果だけを考えてというよりは、すでに成熟したサービスではヒトツのことが複合的な効果を生むことを期待していると考えた方がいいのだとは思います。)
投稿情報: ヒロツ | 2005/12/30 15:13