今日は検索エンジン関係で、もう1つ面白いニュースがありました。Yahoo!が検索技術を応用して、クチコミ情報から商品を検索できるモバイル通販サイトをオープンさせるというニュース:
ヤフーとインデックス、消費者の評判で検索できる携帯通販(日本経済新聞朝刊、2005年12月19日第11面)
ヤフー、インデックスなど、携帯電話向け販売サイト「カイコミュ!」を開設(CNET Japan)
利用者が入力したクチコミ情報を基に、年代や性別といった様々な切り口で商品検索が可能なサービスとのこと。従来の商品検索と言えば、価格や性能といった面が検索条件になっていたわけですが、これに「人気」という条件を加えることができるのが新しい点です。記事の通りであれば、例えば「20代女性が恋人から贈って欲しいと思っている商品」などといった条件で検索することが可能になります。
クチコミ情報はインターネット上からクローリングしてくるのではなく、独自DBを作成するようです。従って利用者にクチコミを登録してもらう必要があるわけですが、
データベースを充実させるため、消費者から欲しい商品や、購入した商品についての意見を集める。「誰からもらいたい」「どんなときに」といったデータを提供した人には、登録した商品を抽選で当たるようにし、情報提供を促す。商品購入のきっかけになった情報提供者が仲介手数料を受け取れるようにすることも検討している。
(日経新聞紙面から引用)
とのことで、アフィリエイト的な仕組みを作ることも想定しているようです。ちなみにターゲットユーザーは10代~20代女性、サービス開始1年で100万ユーザーの獲得を目指すとのこと。売上げは2007年3月期に4億5千万円、3~5年後には20億円~30億円を目指すそうです。
これまでも商品レビューを購入促進に用いるという仕組みはあったわけですが、統計的な情報に加工して検索に用いるという点が新しいですね。確かに僕もAmazonのレビューを参考にして書籍を買うことは多いのですが、「この意見ってこの人だけがそう感じただけでは?」と不安に思うことがあります。そんな時、例えば「ネット広告について基本的な知識が得られる本」などといった切り口で意見が統計化されていれば、より安心して購入ボタンを押すことができます。上記のように「女性が贈って欲しいと思う商品」という検索が可能になるのであれば、ユーザーには当然男性も含まれてくることでしょう。
しかし問題が2点。まず、そもそもクチコミデータが集まるのか、という点。上記の通り様々なインセンティブを用意しているようですが、長文を入力しにくい(と若くない僕が思っているだけかもしれませんが)携帯電話でデータを入力してくれるユーザーがどれだけ集まるでしょうか。ただこの点については、商品ジャンルを限定し、Quick Winを出してその効果で集客する、という戦略を取ることができるかもしれません。
もう1つは「不特定多数の一般消費者の集合意見」(ちょっと難しい言い方にしてしまいましたが)を参考に買い物できるジャンル、ってある程度限定されてくるのではないかという点。アクセサリーなど、逆に他人が持っていないものが欲しいという心理が働く分野もあるでしょうし。このサービスで売上が伸びた分野、それほど変わりがなかった分野など、研究できたら面白そうですね。
<追記>
「集合知 vs. 権威」という点で、次の記事が参考になるかもしれません:
The Probabilistic Age (The Long Tail)
何か買おうと思ったとき、できるだけ多くの人から意見を聞くか、信頼できる「権威」一人だけの意見を聞くか。つきつめれば個人の好みの問題になってしまうかもしれません。しかし両方とも技術的に可能になりつつあるいま、どの分野でどちらのモデルを適応した方が良いのか、じっくり考えてみても面白いでしょう。
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