検索サービスと言えばGoogle、Yahoo!、MSNなど、米国企業が市場の大部分を占めていますが、これに対抗するために「産学官連携」で日本発の検索エンジンを開発しようという動きがあるようです:
松下や東大など、映像ネット検索技術を共同開発・グーグルに対抗(日本経済新聞、2005年12月19日朝刊1面)
松下・NTT・NHKが経済産業省、主要大学と手を組み、検索エンジンの開発を行うとのこと。既に日立、NEC、富士通、東京大学、東京工業大学などの参加が決まっているようです。記事によると映像検索への取り組みが中心になるようですが、
「過去の検索の履歴を基に、利用者ごとの好みを反映させた検索結果を出す技術も研究する」「技術開発と同時に、その技術を広告などと連携させて収益に結びつけるための事業モデルの考案も対象にする」(紙面より抜粋)
とのことで、単なる基礎技術の開発ではなく、事業化を視野に入れた研究となるようです。期間は2007年度から3-5年間、予算は数十億円規模とのこと(1年あたり、という理解で良いのでしょうか?)。国家プロジェクトという割にはのんきに構えているような気がするのですが、これでGoogleを超えられるのでしょうか?
気になるのはこのプロジェクトに参加するのが、「20以上の企業、大学」になるという点。「船頭多くして」の例えのように、あまりの参加者の多さで、意思決定に時間が取られてしまうという恐れはないのでしょうか。特にスピードが要求されるインターネットの世界で、これだけの参加者が一丸となって迅速に行動する、というのは非常に難しいような気がします。
いずれにせよ、このプロジェクトがきっかけとなって、日本企業の「コンテンツがあれば利用者はやってくる」という態度が変わっていくことを願います。コンテンツで稼ぐことができなくなった世界で、ビジネスが成り立つのは「コンテンツが流通する仕組み」だけなのですから。
<追記>
CNET Japan Blogで、渡辺隆広さんがこの件についてコメントされていました:
日本が産学官連携で検索技術を開発(サーチエンジン情報館)
渡辺さんは
iPodなどのデジタルオーディオプレーヤー、HD DVDレコーダーなどが取り扱うマルチメディアデータの検索については十分な技術革新の余地が残されており、まだ追いつける可能性はあります。
とのことで、マルチメディア分野でのキャッチアップを予想されています。あと可能性がある分野としては、「自然文検索」でしょうか。参入障壁の代名詞ともいうべき「日本語の壁」が、この分野でも日本企業の盾となる可能性は十分にあります。できれば今回の産学官連携プロジェクトで、この辺も研究してくれると良いのですが。
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