クリスマスです。うちは娘がまだ小さいので、特別なお出かけは特に無し。家で過ごす、静かなクリスマス・イブになりそうです。
とはいえ昨日は祝日だったので、近所の喫茶店で開かれたピアノライブに行ってきました(上の写真)。須藤信一郎さんというピアニストの方のソロライブで、クリスマスソングからジャズ、タンゴまで、幅広い曲を聴くことができました。小さいお店だったので音響も何もなかったのですが、やっぱりライブで聴く音楽は違います。
「やっぱりライブが良い」--この言葉を、最近様々な人々から聞きました。それぞれシチュエーションは異なるのですが、あらゆるものがデジタル化・オンライン化される中で、オフラインでしか味わえないものの価値がますます増えているようです。実際に、音楽業界ではラ・フォル・ジュルネなど、ライブを中心に儲けるビジネスモデルの成功例も出始めています。CDというコンテンツだけを売るビジネスモデルが崩壊しつつあるなかで、ライブという「体験」の価値を売るモデルが生まれつつあると言ってもよいでしょう。
「体験」や「経験」という言葉も、僕が今年気になったキーワードです。経験マーケティングという言葉も一般的になりましたし、最近マイクロソフトにリクルートされた、ヒューマンインターフェースデザインの権威であるBill Buxton氏(関連記事:CNET Japan「MS、マンマシンインタフェースの権威B・バクストンを採用」)もインタビュー記事の中で、「体験(experience)をデザインすることの重要性を説いています:
Newsmaker: PC or people--who's the boss? (CNET News)
また個人的な話ですが、WEBデザインを行う際に『ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」』という本を参考にしたりもしました。今後はWEBアプリケーションにおいても、「体験」という要素が重要になってくると思います。
例えばサイボウズの安田さんは、手帳がスケジューラーに置き換わらない理由として、スケジューラーが手帳の持つ「楽しさ」という要素に欠けている点に一因があるのではないかと論じています:
人はなぜ手帳を買うのか?(経営企画室 調査日報)
確かに僕も、ここ数年手帳を選ぶときはデザインを最も重視しています。一時期システム手帳を使ってみたことがるのですが、「楽しくない」と感じてやめてしまいました。毎年この時期になると「来年の手帳はどうしようかな?」とLOFTあたりに繰り出すのも楽しい経験ですし。買ったばかりの真新しい手帳をパラパラとめくり、来年に思いを馳せる--なんて経験は、PC上のスケジューラーでは味わえないことです(将来、それに近い経験を提供するアプリケーションが生まれるかもしれませんが)。
今後は機能性や利便性だけでなく、体験という視点から考えることがますます重要になる。クリスマスライブで演奏以上にお菓子に喜んでいる娘を見ながら、そんなことを考えました。
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