最近、毎日のようにお伝えしている気がする「特化型SNS登場」のニュース。今日は「音楽SNS」の番です:
音楽SNS「wacca」正式版を開始--自作曲のアップロードや販売が可能に(CNET Japan)
チームラボビジネスデベロップメントが開発した、waccaというシステムだそうです。日記、コミュニティ、足跡確認、メッセージ送受信というSNSの基本機能に加え、10万曲以上の楽曲をサイト上から視聴・ダウンロードする機能、自分の曲をアップロードする機能を備えているとのこと。
自分の作品をアップロードできるあたりは、デザイナー限定SNS「MYDESIGNS」に似ています(関連記事:エフ・プラット、デザイナー限定の SNS「MYDESIGNS」をオープン--Japan.internet.com)。こちらにはユーザーがオンライン上で個展を開くことができる「ギャラリー・マイデザイン」という機能があるとのことで、同じアート系ということで似た発想になったのかもしれませんね。もしくはMixiのようなオールラウンド型SNSに簡単に真似できない機能を提供し、差別化を図るという戦略が一致した結果かもしれません。
また面白いのは、ユーザー自身がこのSNSを通じて、自分の楽曲を販売することができるようになるという点:
さらに、2006年1月からはユーザー自身の作った楽曲を販売できる「discovery store機能」を予定している。
(中略)
discovery store機能では、ユーザー(アーティスト)が音源と個人情報を含む情報を提供することで、レーベルなどを通さずにエンドユーザーに直接楽曲を提供でき る。アップロード可能なのは、著作権管理団体に信託しておらず、アーティスト自身で著作権を保持し、管理している楽曲のみとなる。また、ダウンロード販売 する楽曲にはDRM(著作権保護機能)を付加し、オーディオプレーヤーへの転送回数、CD-Rへの書き込み回数を制限する設定などができる。
ミュージシャンとSNSというと、以前「SNSを通じてミュージシャンの新人発掘を行う」という発想があることをご紹介しましたが(参考記事:Podcast版スター誕生?)、discovery store機能はそれをもう一歩進めて「SNSを音楽活動の場とする仕組み」と言えるかもしれません。この仕組みを活用すれば、非常に特殊で趣味的な曲(それが何かはあえて指摘しませんが)を作っているミュージシャンでも、自分の曲を買ってくれる人を見つけられるようになるでしょう。それは芸術分野におけるLong tailの活用であり、Web 2.0的なサービスと言えます(Music 2.0もしくはArtist 2.0とでも呼ぶべきか?)。
また記事では特に指摘されていませんが、もしdiscovery store機能を使用したユーザーから料金を徴収する仕組み(得た売り上げの5%を支払う、のような)が実現すれば、SNSの新しいビジネスモデルとなるのではないでしょうか。昨日投稿した記事(SNSのビジネスモデル)をさっそく修正しなくては。というよりもむしろ、これはeBayのようなオークションサイト型のビジネスモデルですね。将来のSNSは、オークションサイトに似た機能も提供するようになるという予兆なのでしょうか。
せっかくなので、僕もwaccaに登録してみました:
残念ながら音楽センスは無いので、曲を売るのは断念しておきます。
アキヒトさん、はじめまして。
daemonjob(デーモンジョブ)と申します。
CNET JAPANのTBから参りました。
趣味で音楽をやっており、Podcastでオリジナル曲とラジオ放送を配信しております。
waccaのことを知りとても興味津々です。
アキヒトさんは早速ユーザ登録されたそうで。
あとmixiもなさっているのですね。
ご職業がSEとのこと。
僕は以前趣味でプログラミングをやっていたことがありました。
daemonjobのdaemonはUNIX系OSの、あのdaemonからとりました。
今は時間が無くてプログラミング等はやっておりませんが、コンピュータやIT関係の興味はあります。
ブログを拝見したところ、SNSやweb2.0、Podcastなどのワードが散見されたので、一言ご挨拶させて頂きました。
それでは失礼いたします。
投稿情報: daemonjob | 2005/12/02 08:58
実はこの分野って↓こういう先行事例があるんですよね。
ソーシャルネットワーキング.jp: YAMAHA プレイヤーズ王国
http://www.socialnetworking.jp/archives/2004/09/yamaha.html
こちらは SNS で直接収益を狙うのではなく、楽器メーカーとして音楽コミュニティを盛り上げようという目的のようですが、ポッドキャスティングもやっていたりなかなか力が入っています。
ポッドキャスティング - プレイヤーズ王国
http://players.music-eclub.com/podcast/
こういうコミュニティから SNS 化したものも含めると SNS の領域ってほんと広いなぁと思います。
投稿情報: tomoy | 2005/12/02 09:13
>daemonjobさん
コメントありがとうございます。ご自身で音楽活動とpodcastingとはすごいですね。僕は記事に書いた通り、音楽センスはゼロなのでうらやましいです。ただWaccaの取組みは面白いと思っています。
僕はエセSEだったので、実はUNIXのことはよく知りません・・・ごめんなさい。ABAPとかSAP Scriptのこととかなら少しは分かるのですが(話についてきてくれる人を見つける方が難しいですが)。いまはSEからも離れてしまっているので、VBすら組めるかどうか怪しいものですが。
とにかく、今後ともよろしくお願いします。
投稿情報: アキヒト | 2005/12/02 10:21
>tomoyさん
情報ありがとうございます。そうか、YAMAHAのプレイヤーズ王国がありましたね。実は古くからあるサービスをチェックしていないのがバレてしまいました(笑)
しかしすぐに情報提供していただけるのも、オープンにブログを書く魅力の1つだと思ってます。
「コミュニティからSNS化したサービス」という点を考えると、以前からあるコミュニティサービスという考え方が、「SNS」というバズワードを得て大流行しているという見方ができるかもしれませんね。今朝はこんなニュースもありましたし:
ウェブジム、格闘技をテーマにしたSNS「格闘技ズキ」を開設(ベンチャーナウ)
http://www.venturenow.jp/news/2005/12/01/1946_010726.html
まだまだSNSの世界は広がりそうです。そのうちコンサルSNSとか登場するかも(これも既に存在してそうですが)。
投稿情報: アキヒト | 2005/12/02 10:30
[レコミュニ]
http://recommuni.jp/
音楽SNSとしては、こちらの方が前からあるのですが、インビテーションの縛りが強かったので、認知度が低い?なんか、事務局が招待するルートができてるし…つい最近サイトの全面リニューアルをしたので[wacca]を意識しているかもしれませんね。
[リリース時の記事]→
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/09/07/4532.html
投稿情報: ヒロツ | 2005/12/27 14:26
>ヒロツさん
情報ありがとうございます。招待制だったのが思うように会員数が伸びず、あわてて事務所紹介ルートを作ったというところでしょうか?これからSNSを立ち上げようとしたら、最初の目新しさで一気にユーザーを集めないと苦しいでしょうから、リニューアルも話題作りの面があるかもしれませんね。
「2006年はより多くのSNSが生まれる一方で、サービスを停止するSNSも増えるだろう」っていう怖い予想もあったりします。どうなっていくことやら。
投稿情報: アキヒト | 2005/12/27 15:43