DellとGoogleの提携が話題を呼んでいます:
「ツールバー戦争」本格化か--デル、グーグルとの提携を検討(CNET Japan)
ご存知の方も多いと思いますが、いちおうどんな提携か引用しておくと:
Dellは現在、Googleとの提携を検討しているという。これはDell関係者が正式に認めたものだが、この提携が実現した場合、Dellは自社製の 新しいPCに「Google Toolbar」や「Google Desktop Search」といったプログラムのほか、GooglがDellユーザー向けに用意する専用ホームページを盛り込むことになるという。
とのこと。この提携により、Googleは最大10億ドルをDellに支払う可能性があるそうです。
この提携はGoogleのプラスになるのでしょうか?ブログを見ていると「これでGoogleのシェアがさらに磐石になった!」「マイクロソフト危うし!」といった意見もありますが、ウォール街の反応は違います。次の記事によれば:
GoogleとDellの「実験」で、MSのデスクトップ覇権に暗雲(ITmedia)
Google株価はNASDAQの7日午後の取引で5%(19.23ドル)下げて365.87ドルとなっている。同社がPCメーカー各社との契約を勝ち取るために多額の前金支払いに同意し、新規顧客獲得経費の激増が予想されることへの懸念があると、アナリストは指摘する。
とのこと。GoogleがPCメーカーに多額のお金を払わなければならなかったことを、懸念材料と見ているわけです。
既にネットを使いこなしているユーザーは、「別にGoogleがデフォルトじゃなくても使う/Google SidebarがプリインストールされてなければWEBからダウンロードする」と思うでしょう。しかしRough Typeは次のように指摘しています:
Revenge of the middlemen (Rough Type)
Software may increasingly be supplied as services over the internet, but as long as accessing those services requires some kind of device, the device makers will have considerable power to extract rents from companies like Google, Yahoo and Microsoft. The laziness of users - their reliance on the default - means that it's much easier to secure control of the user's online habits by controlling the initial defaultt settings than by trying to change those setting later.
ユーザーの多くは「怠惰」であり、デフォルト設定を変えようとしない--その結果、端末メーカーはGoogleやYahoo!といった会社から、多くの「デフォルト設定料」をせしめる力を得る可能性がある、というわけです。デフォルトがいかに重要かは、世界的に見れば検索サービスのシェアが「1位Google、2位Yahoo!」なのが、日本において逆転している現象を見れば一目瞭然でしょう。
OSの場合、Windowsという揺るぎないスタンダードが存在していました(Macユーザーの方々ごめんなさい)。その結果、PCメーカーはWindowsを搭載するために、Microsoftに対してライセンス料を支払わなければなりませんでした。しかし検索エンジンはそうはいきません。多くのユーザーにとっては、検索サービス/アプリケーションのデフォルトがGoogleだろうが、Yahoo!だろうが、気にならないわけです。その結果、PCメーカーはサービス提供者に対して、優位な地位に立つことになります。
果たして今後、Google(や他の検索サービス)と端末メーカーのどちらが強い立場に立つかについては、様々な要素を検討する必要があるでしょう。「蝶のはばたき」のようなちょっとした要素が、将来のシナリオをガラッと変えてしまうかもしれません。しかし今回のDell-Googleの提携は、PCメーカーの復権があり得ることを示していると思います。またPCよりもさらに「デフォルト設定」を換えづらいモバイル端末のケースについても、考慮が必要ではないでしょうか(Googleが携帯電話に「Googleにアクセス」ボタンを付けてもらうために、NECに多額の手数料を支払うとか)。
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