引き続き「第3回社内ブログ/SNS研究会」宣伝ウィークということで、社内ブログのお話を。
今月号の『PRIR』で「企業に活力を与えるインナーコミュニケーション」という特集が組まれているのですが、社内コミュニケーションの分野においても、社内ブログが貢献できる部分は大きいと思います。ブログで知識の共有ができるかどうかという点については、前提条件(社内文化や組織構造など)やブログシステムの位置付け(コンテンツの内容や他システムとの連携など)によって答えが変わってきますが、少なくともブログが新しい社内コミュニケーション用メディアになり得る可能性は高いのではないでしょうか。
一方、今月の『PRIR』にはこんな記述もありました:
社内報をすべてイントラネット化した企業が、活字の社内報を復刊する傾向にある。私の主宰する東京社内報研究会の企業メンバーにも多く見られるが、活字メディアとイントラネットなどデジタルメディアとのすみ分けが進んできたことだ。
イントラネットは、広範囲に瞬時に発信できるという特徴があるが、活字の社内報は、記録性、一覧性に優れ、好きなときに好きな場所で読むことができる。そのため、活字の社内報はイントラネットで流した情報をまとめて紹介したり、より詳しく解説する場合に向いている。CSRやコンプライアンスなど、社員の意識変革をするためには、イントラネットよりも活字の社内報が効果的である。
文中で「私」とあるのは、この記事「社内報とは参加と協働を促し企業価値を高めること」の著者、千葉商科大学教授の藤江俊彦氏のことです。藤江氏はまた、すべての社員がイントラネットを使うことのできる環境にあるわけではないのだから、朝礼や社内放送なども含めた総合的な活用を考えるべきと論じられています。
紙媒体の社内報を復活させる企業が増えている、というのは少し意外でした。僕の個人的な経験ですが、「面白い社内報」というものにはめったにお目にかかったことがありません。リクルートの社内報『かもめ』は有名ですが(参考書:『冒険する社内報』)、ほとんどの社内報は、一度も会ったことも聞いたこともない人の結婚報告・出産報告を見せられたり、新人の一言挨拶が延々載っている・・・というイメージではないでしょうか。
しかし、確かに各メディアにはそれぞれ短所・長所があります。仕事場でイントラネットに接続できても、自宅からは接続できないという人も多いでしょうし、「すきま時間」になんとなくPCを立ち上げてイントラネットを見る、などという人は少ないでしょう。逆に「何か連絡がないか、メールとグループウェアをこまめにチェックする」という行動が習慣化している状況では、紙媒体の社内報にはあまり関心が向かないという可能性もあると思います。紙媒体と電子媒体は、どちらが主というわけではなく「お互いがお互いをサポートする」という関係がベストなのでしょう。
そう考えると、紙媒体の社内報と社内ブログの連携を取る、というアイデアを試してみても面白いのではないでしょうか。「社員が社内ブログを活発に書いている」という状況が前提になってしまいますが、例えばアクセスを集めた記事をピックアップして社内報にまとめ、本人に対する取材を行い「社内報だけの独自コンテンツ」としておまけにつけてあげれば、社内報に対する注目は俄然高まると思います。それが逆に社内ブログへの関心を高め、アクセスや書込みを増やす効果も期待できるでしょう。
普通のブログでも、好評を博したブログに出版社が注目し、書籍として刊行されるという動きはごくあたりまえのものになりつつあります。この現象を社内に置き換えれば、「社内ブログ=社内報のネタの宝庫」と捉え、面白いネタを拾って紙媒体にして社内に流通させるというアイデアも奇抜ではないのではないでしょうか。もしかしたら将来、「社内ブログから生まれた本」なんていうものも生まれてくるかもしれません。
<追記>
第3回社内ブログ/SNS研究会ですが、過去2回を上回る速さでお申し込みをいただいております。お申し込みいただいた皆さま、誠にありがとうございます。またご興味のある方、お申し込みはどうぞお早めにお願い致します。
コメント