最近読んだ記事の中で、たまたま同じテーマについて触れていたものがあったので少し。まずは今日の日経産業新聞から、使用可能容量最大級の無料オンラインストレージサービスがスタートしたとの記事:
オンボードのファイル共有サービス 2ギガバイトまで無料保管 -- サイト製作会社・出版社向け 超過分に段階料金(日経産業新聞 2006年3月6日第15面)
例によってまだWEB上の記事が見つからなかったので、要点をまとめておくと、
- ファイル共有サービスを提供する株式会社オンボードが、中堅規模のウェブサイト製作会社や出版社を対象に、オンラインストレージサービスを開始。サービス名は「Filey(ファイリー)」。
- 2GBまで無料で、類似の無料サービスの中では最大級の容量。
- 2GBを上回る部分については段階的に課金。現在の料金体系は、10GB(月額使用料8,000円)、30GB(同20,000円)、100GB(同50,000円)の4種類。また10GB以上は別途導入費用が必要とのこと。
- サムネイル表示機能(以下のスクリーンショットを参照)、500MBまでの一括アップロード機能などを持つ。
- 初年度の顧客企業数1,000社、売上2,000万~3,000万円程度を目指す。
といった内容です。仮登録ができたので、スクリーンショットを貼っておきます(クリックで拡大):
左サイドバーにフォルダ構造が表示され、右側にファイルが表示される形式で、エクスプローラーと同様ファイルをファイル名/サムネイルで表示することができます。カーソルを写真の上に合わせると、上のスクリーンショットのように簡単なファイルプロパティが記載されたバルーンが表示されます。またシェアフォルダという形で、権限設定をした上でユーザー以外の人にもフォルダを公開することができます(ちなみに上記のフォルダへは、こちらからアクセスできます:パスワード不要)。
オンラインストレージサービスは既に様々なプレイヤーが登場していますが、何と言っても気になるのはGoogleの動きでしょう。既にGmailをディスクドライブのイメージで使用可能にする"Gmail Drive"というソフトも登場しており、事実上無料オンラインストレージサービスを始めているとも言えますが、正式に「オンラインストレージ」としてサービスを始めるのではないかという記事がありました:
Google GDrive is not a rumor (ZDNet: Googling Google)
ここでも「ビジネスモデルはどうするのか?」という議論があり、
The question of course is how Google will monetize a service like this. I cannot see how file storage using a network share could be used to serve up advertisements — so maybe they won't. In some screenshots of Gmail for domains, it appears there are different "account plans" that I assume provide additional email addresses. Could a similar system work for online storage? For example, 1GB free and pay $5 for each additional.
というように、広告に頼るのではなくユーザーに直接課金するのではないか、と予想されています。ちょうどFileyと同じように、ある一定容量までは無料+その後段階的に課金、というモデルです。
段階的課金については「まあそれが普通だよね」という程度なのですが、面白いのはこんなモデルもアイデアとして述べられている点:
Another way to generate income from this service would be to provide users a DVD backup of their data for a small monthly fee. Depending on how often a GDrive is used by someone, it could make sense to receive a backup on a regular schedule — while they are at it, why not include some "cool" extras on those DVD's?
バックアップDVDを定期的に作成してくれるサービスを有料オプションとしてはどうか、というアイデア。確かに数GBを必要とするユーザーは少ないでしょうから、こういった「どんなユーザーにとっても利点があるような」サービスを有料オプションとして用意しておくことは重要でしょう。
そういえばFlickrでも、アップしてある画像ファイルのプリントアウト+デリバリー、バックアップDVDの作成サービスが始まっています。ファイルをウェブ上に保管できるだけでなく、さらにWEB上のストレージならではのサービスを提供することで、ユーザーから直接売上を得ることができる可能性は十分にあるのではないでしょうか。Fileyにも、何かこれまでにない新しい機能・サービスが追加されることを期待したいと思います。
会社概要をみていたら、見覚えのある住所だったのですが、アノ会社ですね。(深い意味ないですよ)
この辺の事業というのは、簡単な設備投資(利用者のスケールにあわせた段階的設備投資)で行なえるためか、一時期サービスとしても過当にたちあがった時期があると記憶します。そういったなかでの、このアドバンスというビジネスモデルではやはり市場獲得において継続的な業としてはキビシイんじゃないの?というのが率直な意見です。
http://internet.watch.impress.co.jp/static/link/2004/03/26/strage.htm
いったん落ち着きはじめたこの時期(2004年あたり)と比べても、なにかこうピリッとしないというかなんと言いますか…
実際、環境的な変化(進化)により、利用用途の拡大やインターフェースの改善など、サービス自体も向上しているのですが、ビジネスモデル自体の改善が望まれるところかと思います。
投稿情報: p-article | 2006/03/06 14:08
TechCrunch の大容量 online storage のまとめ記事 (see also http://at-aka.blogspot.com/2006/02/online-storage.html) によると、海外の GB 超サービスは 10。そのうち無料サービスが 8 つ。特に Streamload (http://www.streamload.com/) は 10 GB で無料。と、2 GB クラスの無料サービスは当たり前になりそうな予感です。個人的には、有料無料のボーダーがどの位いになるのかに興味があります。
投稿情報: @aka | 2006/03/06 15:07
>p-articleさん
そう、その会社ですw
と隠すほど深い意味もないのですが。
そうですね、参入障壁が低いという点で、いつでも過当競争になる可能性がある市場だと思います。ただp-articleさんもおっしゃるように、利用用途の拡大、それにブロードバンドの普及といったインフラ面の向上、インターフェースなど機能面での改善もあって、市場自体は広がりを見せているというところでしょうか。いち早く生き残れるビジネスモデルを見つけた企業が勝ち、ということなのでしょうね。
投稿情報: アキヒト | 2006/03/06 19:45
>@akaさん
確かに日本においても、2GB無料は当たり前の世界になっていくのでしょうね。Googleが本当にストレージサービスを始めた時に、どの容量まで無料を打ち出してくるかが、1つのキーポイントになるのでは?
投稿情報: アキヒト | 2006/03/06 19:47