今日は新橋を歩いていました。そこでふと気になったのが、このANA「旅割」の広告:
大きな柱に「旅割」の広告が巻きつくように貼られています。ここは新橋から汐留方面に向かう地下道で、かなりの人通りがある場所(写真は人ごみが一瞬途切れた瞬間を撮りました)。ほとんどの人が足早に汐留方面、あるいは新橋方面に歩いているのですが、スピードを緩めてこの広告を読もうとする人はほとんどいませんでした。たとえいたとしても、「旅割」という文字と「ANA」のロゴ以上を読み取るには、柱をぐるっと半周しなければならなかったでしょう。
この効果が「?」な広告を目にして、今朝読んだ記事を思い出しました。スポーツ機器メーカーのアメアスポーツジャパンが、映像配信装置付きのフィットネス機器を販売するとのこと:
運動中に独自映像 -- 配信機能付きフィットネス機器 アメア、製作も受注(日経流通新聞 2006年3月13日第7面)
記事の写真を見るとよくわかるのですが、座ってトレーニングするタイプのフィットネス機器にモニタが備え付けられ、トレーニング中に画像が見れるようになっています。映像データはスポーツクラブ内に専用サーバを設け、そこから各機器に配信するとのこと。映像はアメアがクラブの要望に応じて編集、提供し、環境映像の他にもイベント告知・新商品告知など販促情報も製作するそうです(※)。
記事中ではトレーニング中の映像配信について、「フィットネス機器の利用者の間ではトレーニングをしながら映像や音楽を楽しみたいという需要は多い」という点が指摘されています。確かに黙々とトレーニングするよりは、お気に入りの音楽が聴けたり、ミュージッククリップが見れたりしたら楽しいでしょう。既にiPodなど携帯用オーディオで音楽を聴いている人も多いでしょうが、トレーニングの種類によってはそういった機器を携帯できない場合もあると思います。また○○クラブでトレーニング中しか楽しめない音楽/映像なんていうものがあれば、さらに利用者の興味を引くことができるはずです。
それ以上にこのフィットネス機器+広告用(あえてそう呼びます)モニタというアイデアが優れているのは、広告を「見てくれる」時間を狙っていることでしょう。現実世界/デジタル空間を問わず、身の回りには広告が溢れているように感じます。しかしその多くは、「見ないという選択ができるところ(テレビCMなど)」や「見る時間がないところ(通勤/通学に使う駅の構内など)」に存在しているように思います。その点トレーニング中であれば、広告を見る時間はたっぷりある上に、「飛ばそう」という動作もしにくいはずです。
「トレーニング中に広告を」と言ってしまうと単純なアイデアのようにも感じますが、誰も注意して見ないような広告を貼る人びとがいることを考えると、「見てもらう」工夫をすることは案外見過ごされているのかもしれません。もしかしたら、思いもよらない場所・時間が広告スペースに最適だった、という発見がまだまだ隠されているのではないでしょうか。
※ちなみにこのシステム、もともとはアメリカにあるクラブコム(ClubCom)と いう会社(2004年にアメアのフィンランド本社が買収)が開発したもので、アメリカでの販売・運用実績をもとに日本市場向けの仕様が開発されているとの こと。ちなみにサーバ設備は100万円弱、フィットネス機器は1台25万円前後という価格設定で、この他に月々のメンテナンス料がかかるそうです。
ほぼ同じ業態で中国のFocusMediaという会社を先日知りました。
http://japan.internet.com/wmnews/20060111/8.html
投稿情報: rehash | 2006/03/14 22:30
情報ありがとうございます。エレベータ広告でシェア90%の企業ですか。逆にニッチな市場にアピールしている企業がいるかどうかも気になりますね。
投稿情報: アキヒト | 2006/03/15 11:04