今朝も電車が遅れました。電車に付いている「非常停止ボタン」が押されたとかで、途中駅でしばらく停まっていたようです。まぁそれじゃ仕方ないか、と思っていたのですが、いけないのは遅れてきた電車の車内放送。
「あ~途中駅で非常停止装置が作動したために~少々停車しておりました~申し訳ございませ~ん」
僕が仕事でミスったとして、お客様にこんな謝り方をしたら二度と使ってもらえないでしょう。電車は(大抵の場合)代替手段がありませんから、こんな謝罪でもお客は逃げない(逃げられない)わけですが、もうちょっと何とかならないのでしょうか。
電車が遅延・停止した時の車内放送がイラつかせるのは、主に次の3つが原因だと思います。
- 何が原因かはっきりしない
- 防止策を言わない
- この先も遅れが続くのか言わない
今回の場合、電車の遅れは「誰かが非常停止ボタンを押した」ということで、防げなかったものでしょう。しかし「非常停止装置が作動した」と言われると、何が悪かったのかよく分かりません。またボタンが押されたために停止していたのだとしても、押された目的はなんだったのか、イタズラだったのか急病人だったのか分かりません。
ひどい場合になると、以前こんなアナウンスを聞いたことがあります:
「え~この電車は5番線に到着の予定ですが~5番線に電車が停まっていますので~少々停車します~」
前に電車がつかえているのは分かった(このまま突っ込めば大惨事を招くということも)。しかし乗客が知りたいのは、「なぜ既に出発しているはずの前の電車が停車したままなのか」「この電車はいつまで駅の手前で停車したままになるのか」「こんなミスが起きることはもうないのか、もしくは頻繁に起きる前提でスケジュールを組んだほうがいいのか」といったことでしょう。それを言わずに「トラブルが起きた」とだけ伝えられるので、不快に感じるのだと思います。
しかし電車の運転中、もしくはトラブルが起きた現場から遠く離れた駅で的確な謝罪放送をするというのも難しいでしょう。それならば、IT技術を活用して謝罪を行うというのはどうでしょうか。
例えば、「トラブル情報サイト」のような携帯電話向けサイトを用意しておいて、遅延などが発生した場合には原因・回復状況・他の交通手段を使う場合のアドバイスなどを掲載しておけば、車内放送だけでは分からない情報を手にすることができるでしょう。駅で発行してくれる「遅延証明書」にQRコードを用意しておき、後で「何が遅延の原因だったか・防止策として何を行うか」を解説したサイトに誘導しても良いかもしれません。
最近はモニタ付き車両も増えましたし、携帯電話が手元にないお客様のために、遅延情報をモニタに表示するということも考えられるでしょう(既に始めている鉄道会社がありそうですが)。さらに改札口にネットワークにつながったプリンタを用意しておき、遅延の理由・対策をまとめたビラを印刷して遅延証明と一緒に持ち帰れるようにしておけば、携帯電話やモニタで情報提供できない場合にも対応できるはずです。
もし防ぎきれないトラブルで遅延したのだとしたら、こうして正確な報告を行うことが、鉄道会社の利益にもなるのではないでしょうか。最近、松下電器がFF式石油暖房機の障害問題で誠意のある対応を行ったことが、逆に松下のブランドイメージを高める結果につながったというケースもありました。正確な情報を伝えることと同時に、伝えようとする姿勢を見せることも、非常に重要なことだと思います。
JRにせよ私鉄にせよ鉄道は公共交通です。首都圏では1日に数千本の列車と数十万人の旅客が鉄道を利用しています。確かに一企業としては自らの鉄道というサービスに責任を持たねばなりません。あくまでもお客様第一です。しかしながら、世界的に見ても日本の鉄道ほど遅延の少ないダイヤに正確な鉄道はないとも言われています。これほどの首都圏の人間が自分の目的地までおよそ希望の時間に違わず行けるのも鉄道会社のこれまでの努力の結果です。日々起きる様々なアクシデントへの対応には精一杯取り組んでいます。例えば今回の遅延への列車運行対応は見えないところで秒単位で刻々と行われています。運転見合わせや大きな遅延ならまだしも、今回のお話のような、列車が停車しただけとか、数分の遅れでイライラしているのはちょっと理解できません。
投稿情報: | 2007/07/10 18:07
名無しさん、コメントありがとうございます。
仰る通り、日本の鉄道ダイヤは非常に正確ですよね(ただ最近の中央・総武線は酷い。以前暮らしていたボストンと比べてはかわいそうですが、まだボストンの地下鉄の方がキチンと走っていたように感じます)。その点については、企業努力を認めてあげなければいけないと思います。
しかし「企業は努力しているんだ!文句を言うな!」というのは少し筋違いのようにも感じます。少なくとも日本の電車はダイヤ通りに走ることが期待されているわけで、「キチンと走ることが期待できない」と最初から分かっているのであれば、ユーザーは他の鉄道(私鉄や地下鉄)やバス等を利用することでしょう。従って、「ユーザーの期待には沿えないけれど企業努力をしている」ということでは非難を免れないと思います。
また今回の件(といっても1年以上前ですが……)で僕がストレスを感じたのは、毎日のように遅延が発生しているという事実に加えて、それに対する説明が十分になされていなかった点。たとえ自社に非がないトラブルだったとしても、企業であれば「○○という理由でトラブルだった」という説明をお客にするのが普通だと思うのですが、いかがでしょうか。
投稿情報: アキヒト | 2007/07/10 19:01