WEB2.0やオープンソース開発に代表される「ユーザー/消費者参加型ビジネスモデル」は、様々な分野に導入されつつあります。先日の New York Times にも、こんな記事が掲載されていました:
■ To Charge Up Customers, Put Customers in Charge (New York Times)
途中でヒッペルの『民主化するイノベーションの時代』が紹介されていることからも分かる通り、ユーザー/消費者を商品開発に参加させるモデルが解説され、このモデルを採用している企業がいくつか紹介されています。例えば最初に登場するのがこちら:
ユーザーが自由に靴をデザインして、それをWEBサイト上で公開、投票を受け付けるというもの。実際に投稿されたデザインは、こちらのページで確認することができます。中には商品化が不可能なデザインもあるそうですが、消費者はさらに参加の度合いを深めている、とのこと。他にも消費者が投稿した写真をボトルラベルとして使う企業(Jones Soda)や、Tシャツのデザインを受け付けるサイト(Threadless T-Shirts)などが紹介されています。
記事中、Threadless T-Shirts の創設者の一人である Jacob DeHart が、彼らが守っている4つのルールについて言及しています。それはどんなものかというと:
- コミュニティにコンテンツを創造させる。
- コミュニティに自らを構築させる -- 広告は掲載しない。
- コミュニティがビジネスの役に立つようにする -- ユーザーからのフィードバックを基に機能を開発する。
- ユーザーがコミュニティへ参加してくれたことに報いる。
以上の4つです。4つのルールすべてにおいてコミュニティに言及されているのは、いかにユーザーに当事者意識/オーナーシップを感じさせるかを重視していることの表れではないでしょうか。これは DeHart の意見であり、彼らのサイトだけに通用するルールかもしれませんが、同じく「ユーザー/消費者参加型商品開発」モデルを採用しようという際の参考になると思います。
一方で、ユーザーを深入りさせ過ぎることへのリスクにも気を配らなければならないと思います。ユーザーの利益はかならずしも企業の利益と一致しないでしょう。誤解を恐れずに言えば、両者の利益が対立する事態が起きた場合に、いかに企業側の利益が優先されるようにするか -- あるいは企業側の利益が失われることを最小限にとどめるか -- を考えておく必要があるのではないでしょうか。
とは言え、今後は靴やTシャツ、ボトルラベルに限らず、様々な分野でユーザー/消費者の商品開発への参加を求める企業が増えそうですね。最近買って読んでいる本"The Ten Faces of Innovation"に、子どものアイデアから「フローズンゼリー」なるお菓子が開発された話が掲載されているのですが、食品の分野でも消費者参加が進んだら面白いかもしれません。
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