ボストンで行われている TiECON East 2006 というカンファレンスで、"Future of Software"というパネルディスカッションが行われ、そこで「ITベンチャーが守るべき7ヶ条」なるものが提言されたそうです:
■ Kleiner Perkins 7 rules for software start-ups (Don Dodge on the Next Big Thing)
ベンチャーキャピタルの Kleiner Perkins のパートナー、Ajit Nazre 氏の意見とのこと。7ヶ条を翻訳してみるとこんな感じ:
- ユーザーがすぐに価値を手にできるようにせよ -- 初めて使った瞬間から、何か問題が解決できたり、価値が実現されるようにしなければならない。
- クチコミを利用しろ -- プッシュ型ではなく、プル型で利用者を増やせ。営業部隊は必要ない。
- 追加で必要なIT技術(ソフト/ハード)はできるだけ少なく(ゼロが望ましい)。SaaSがベストだ。
- シンプルで直感的なユーザーインターフェースを。トレーニングなしでも操作できるように。
- カスタマイズ可能にして、各ユーザーがパーソナライズされた経験ができるようにせよ。
- テンプレート等を活用し、コンフィグレーションが簡単に行えるようにせよ。
- コンテクストを意識せよ -- 使われる場所、グループ、端末など、状況に応じて最適なサービスを提供するように。
Kleiner Perkins の経験では、少なくとも上記のうち5つのルールをクリアしていないと、ビジネスモデルを再考した方が良いとのこと。
どれも大切なルールで、これまでも様々な方々が主張されていることだと思いますが、7つ目のルールはユニークなのではないでしょうか。確かにブロードバンド網・ワイヤレス接続が一般化し、様々な端末が普及した現在では、これまで以上に「ユーザーがどのような場面でどのようにサービスを使うか」を想像するのは難しくなっています。しかしそのようなコンテクストを無視するのではなく、積極的に対応して初めて、ユーザーを満足させることができるというアドバイスではないかと感じました。
また個人的にですが、この7つ目のルールは『発想する会社!』の中にある「動詞で考える」という発想に近いのではないかと感じました。例えば写真共有サービスをデザインするとしたら、「写真共有」という名詞で考えるのではなく、それを様々な形で動詞化して考えてみる -- 「写真共有にアップロードする」「~からダウンロードする」「~で遊ぶ」「~で儲ける」「~で誰かを楽しませる」などなど -- ことで、「サービスが使われる場面=コンテクスト」を幅広く把握することが可能になるのではないかと思います。
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