Wiki で旅行ガイドを作る -- 既にどこかで始まっていてもおかしくない発想ですが、アメリカでこれに取り組む企業が現れたとのこと:
■ Are Wikis the Best Format For Travel Guides? (TechCrunch)
Wikia, Inc. という会社がそれで、サービス名は World Wikia。見た目は Wikipedia に近く、特に「Wiki で作られた旅行ガイド」という以上の機能は無さそうですね(旅行ガイドなのですから、せめて地図の使い方にもう少し工夫があっても良いと思うのですが)。まだ投稿されているコンテンツのボリュームも小さくて、New York ですらこの程度。Wiki だけに今後の自主的な発展に期待する、といったところでしょうか。
クチコミで作られる旅行ガイドというと、『地球の歩き方』を連想します。『地球の歩き方』の場合、メジャーな観光地(クチコミを投稿してくれる旅行者が多い観光地)には有益な投稿も多いのですが、メジャーでない場所については、残念ながら信憑性の低い投稿も掲載されてしまっています(実際、僕も『地球の歩き方』に載っている情報を信じてひどい目にあった一人だったりするので・・・)。そのアナロジーで考えると、メジャーでない観光地=「十分な目」が揃わない土地で、記事の信憑性を担保することは可能なのでしょうか?
てっとり早い方法の1つは「現地の住民に書き込みに参加してもらう」ことですが、彼らの視点は旅行者ではありません。美味しいレストランを教えてくれることは可能かもしれませんが、良い宿や、○○村からから○○村まで移動する際の最も良いルート、などといった情報を出してもらうのは難しいでしょう(決して不可能だとは思いませんが)。つまり Wikipedia と違い、「目」となる人に立場の違いがあるため、メジャーでない土地で有益な情報を確保するのは難しいのではないかと思います。
また World Wikia の場合、掲載されている情報が誤っていた場合のインパクトは Wikipedia とは比べ物にはなりません。その点も考えると、World Wikia というサービスを人々が安心して使うようになるには、Wikipedia 以上に工夫が必要なのではないでしょうか。もしかしたら、旧式の「編集部が責任を持って取材する」という方法の方が、費用対効果で Wikipedia 方式を上回るかもしれません。そう考えると、現時点では「Wiki は旅行ガイドに最適なフォーマットとは言い切れない」という結論になると思います。
コメント