バーチャル・リアリティというとデジタルの専売特許のようなイメージがするのですが、実はアナログでも十分対応ができるようで。
【事例1】 Philips のフラットパネルTV
IDEOのトム・ケリー氏の本『イノベーションの達人!』の中には、チラシでフラットパネルTVの原寸大広告(広告自体が製品とまったく同じサイズでできている)を作り、家庭に配布したという Philips の事例が登場します。これを手にした子供たちが、リビングでチラシを開き「ホラお父さん、ここにテレビを置けばちょうどいいよ!」と親に訴えかけ、購買意欲をあおる -- という寸法です。
【事例2】 シャープのエアコン
雑誌『販促会議』の2006年10月号から。シャープがエアコンの販促用に、家庭訪問時の販促グッズを揃えた「訪問バッグ」を用意したのだとか。その中に「バーチャル設置写真シート&設置イメージシート用製品シール」というものが入っているのですが、これは透明のシートに製品をイメージしたシールが貼れるというもの。これをお客様に見せながら(設置予定の場所に製品シールが重なるように掲げて)「ホラ、あの角にエアコンを設置しても、お部屋にはぜんぜん違和感がありませんよ」と説得できる -- という寸法。(ちょっと舌足らずな説明で申し訳ないのですが、販促会議10月号 p.29 に掲載されている写真を見ていただければ一目瞭然だと思います。)
【事例3】 松下電工のシステムバスルーム
同じく『販促会議』の2006年10月号より。松下電工がシステムバスルームの販促用に用意した「コンセプトブック」は、「持ち歩くショールーム」というイメージで作られていて、中には3Dメガネをつけて立体的に製品(+設置されたバスルームのイメージ)を確認できるコーナーがあるそうです。これで実際にショールームに来れないお客様にアプローチしたり、あるいはショールームを見たお客様に後で再確認してもらうことが可能になった、とのこと。
こうして見てみると、アイデア次第で「もし○○が家にあったら・・・」「○○の実物を目にしたら・・・」というイメージを簡単に作り出すことできるのかもしれませんね。しかもこれらの例は、PCがなくてもいつでも・どこでもバーチャル・リアリティが実現できるという利点を持っています。手軽さという点では、デジタルのものよりも優れているでしょう。
もしかしたら、デジタルの側でもデジタルだけでバーチャル・リアリティを完結させようとするのではなく、リアルに延長するアイデアを考えてみても面白いかもしれませんね。簡単なところでは、上記の【事例1】をマネして、「印刷するだけで実物大の○○が確認できるPDFファイル」などを準備しておく、などといった仕掛けが考えられるでしょうか。【事例3】も印刷で対応できるでしょうし、意外にデジタル→リアルをまたいだ仕組みがあり得るのかも。
【事例1】 に似たもので、SONYでもこれとほぼ同じようなものを電機店で配布していました。大きさの検討に重宝しました。
こういったシュミレーション用のPOPって面白いですよね。コンタクトレンズのアキュビュー・ディファインでは、WEB上でシュミレータを公開していますが
http://acuvue.jnj.co.jp/product/define/simulator/step1.htm
店頭でも販促展開をしていて、透明なプラスチックのカードにコンタクトレンズの形が印刷されていて、モデルの目にあわせるとどういうように見えるかを確認できるものを配布していたのをもらったことがあります。これもけっこう面白いなーと思いました。
投稿情報: p-article | 2006/09/25 10:42
ほほー、アキュビューの例も面白いですね。こうした姿勢は、別に消費者にモノを売る会社でなくても見習わなければなと思っています。さすがにバーチャルなコンサルタントを作り出すことはできませんが・・・(ある意味ブログがその代替となる?)。
投稿情報: アキヒト | 2006/09/26 01:14