まずはこちらのページに載っていた、あるアンケート結果をお読み下さい:
社内でのコミュニケーション状況については、「十分」もしくは「大体」とれているとの回答が合わせて全体の45.9%を占めている。一方、コミュニケーション不足を感じる点については、「部署を超えた社員間でのコミュニケーション」が最も多く、次いで、「経営層と一般社員との間のコミュニケーション」と指摘されており、双方ともに6割以上を占める。社内のコミュニケーションでは今後は普段一緒に働く部署以外の人とのコミュニケーションにおける課題解決が求められている。
この調査結果を知って、どんなことを感じましたか?何か行動を起こそうと思いましたか?それを覚えておいた上で、次の文章をお読み下さい:
サッカー日本代表の11人にアンケートを取った。チームでのコミュニケーション状況について、「十分」もしくは「大体」コミュニケーションが取れていると回答したのは11人中5人のみ。残り6人は「どちらともいえない」か「コミュニケーションが取れていない」と回答した。どこにコミュニケーション不足を感じるか、という質問に対しては、11人中7名が「代表メンバー間」と回答し、「オシム監督と代表メンバー間」と回答したのも同じく11人中7名だった。
今回はどうでしょうか?2番目の文章は、上のアンケート結果をサッカー日本代表に置き換えてみた例え話です(100%=11人と置き換えただけで、比率は変えていません)。「サッカーに置き換えてみたって現実は伝わらない」と言われてしまうかもしれませんが、「これは問題だ」と感じる人は増えたのではないでしょうか。
この話、実は先日から読んでいる"Made to Stick"に掲載されていた事例でした(データのみ変更しました)。「議論を受け入れやすくするためには、データによる裏付けが欠かせない」とよく言われますが、果たしてデータを出すだけで十分なのか?という議論です。例えば「日本企業が雇用している従業員のうち、正社員が占める比率は平成10年に比べて5.2ポイント下がり、63.8%となった(※適当に書いています)」と言われても、「なんだかヤバいのかな」と感じるぐらいで、人々に行動を促すのは難しいでしょう。データは単に並べるのではなく、効果的な並べ方を考えなければならないわけです。
Made to Stick では冒頭のように工夫して提示したデータを「身の丈のデータ」と呼んでいます。この例では「サッカー」という分かりやすい事例と、「日本代表」というコミュニケーション不足が深刻な問題となる事例に実際のデータを当てはめてみることで、それが身近に感じられるようにしてあるわけですね(人によっては「データ捏造だ!」と仰るかもしれませんが、僕はこの程度であれば「演出」の範囲内ではないか、と思います -- 元のデータがきちんと示されているのであれば)。このようにスパッと「目的に合致したデータ提示法」を見つけることは難しいと思いますが、「身の丈のデータ」という言葉は心に留めておいて損はないヒントかもしれませんね。
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