いきなりですが YouTube です。
5月25日に投稿され、現時点(5月31日午後12時)で既に17万5千ビューを記録しているこの動画。そんなわけでご存知の方も多いと思いますが、小島義雄という芸人さんで、ハイテンションな芸で話題をさらっています。
この現象が面白いのは、彼が(メジャーな)テレビ番組には『ぐるナイ』と『笑いの金メダル』にしか出たことがない(しかもそれぞれ1回ずつ!)という点(※僕が知りうる限りですので、もしかしたら他にも出演しているのかも)。にも関わらず、前述のように YouTube 動画が急激にアクセスを集め、mixi で立ち上がったコミュニティは開設3日で600人を超えるメンバーが集まるという人気ぶり。さらに彼の決めゼリフ(?)「そんなの関係ねぇ」は、テクノラティのグラフからも分かるように、多くのブログに書き込まれています:
過去30日間に書かれた、そんなの関係ねぇを含む日本語のブログ記事
このグラフをブログに貼ろう!
この現象、やっぱり YouTube が大きな要因となっていますよね。僕は偶然、クルマの中で『ぐるナイ』を見ていて彼のことを知ったのですが、チラッとしか見なかったので全体を見たのは YouTube の動画によってでした。さらに『笑金』の出演シーンも YouTube で。うちの奥さんに至っては、たまたま YouTube にアクセスした時に、Japanese の Most Viewed の上位にいて気付いたという具合。また以前アジャイルメディア・ネットワークでブログ読者アンケートを取った際に、1日のテレビ視聴時間を「1時間以下」と回答したのは実に全体の6割以上でした。『ぐるナイ』『笑金』という人気テレビ番組に出たから、というだけでは彼の人気を説明できないでしょう。
彼の芸は3分ぐらいで、YouTube で見るにはちょうど良い長さ。彼が何者か、どの事務所に所属しているのかといった背景情報を一切知らなくても、パッと見て笑うことができます。まさしく「YouTube 時代に最適の芸人」といった感じがするのですが、それに加えて、
- 「そんなの関係ねぇ!」というフレーズが素人でも使いやすい(ブログを書いた時に、オチとして書きやすい)
- もう1つの決めゼリフ「オッパッピー」は意味のない言葉ではなく、「実はオッパッピーって・・・」というクチコミを書きやすい(ちなみにオーシャン・パシフィック・ピースの略とのこと。結局意味のないフレーズなんですが)
という特徴も、CGM時代というか、ブログ/クチコミ時代にピッタリでしょう。仮にレイザーラモンHG(今となっては懐かしい!)が今のタイミングで出てきたとしても、
- 「フォー!」の部分だけ、数十秒の動画をアップされても、一瞬過ぎて笑いが持続しない
- 「フォー!」のフレーズだけでは、ブログで使いづらい
ということで、小島義雄ほどの成功は収めなかったのでは、と思います。
と勝手なことをグダグダ書いてしまいましたが、今後は日本でも、彼のような「YouTube 芸人」がいっぱい出てくるのでしょうね(博多華丸あたりも YouTube 芸人に含めても良さそう)。YouTube にテレビ画像を違法アップされても、すぐに削除依頼をせずに事務所+テレビ局が手を組んでしばらく放置するとか、そんなことも起きそう(もう起きてるのかも)。「テレビが登場したために、古典芸能や舞台での笑いが廃れてしまった(すなわちテレビに合う笑いが生き残った)」とよく言われますが、今度は YouTube が日本の笑いを変えてしまうのかもしれません。
笑いを解説するなんて、ちょっと無粋でしたかね。でもそんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!
はじめまして!
大変楽しく読ませていただきました!
無粋じゃなくって、物凄い的確な分析だと思います!!!
それに、ようつべに関しても、たくさんの人に見てもらえることって提供する側としても結局無料でCMしてもらうようなもんなんだから、ある一定の期間をキャンペーン期間にして3ヶ月とかは取り締まらないっていう法律でも作ってほしいですね・・・
投稿情報: 頼むよ~! | 2007/06/03 10:25
頼むよ~!さん、コメントありがとうございます。
無粋にならずにホッとしました。
「取り締まらない」という法律はなかなか難しいかもしれませんが・・・テレビ局の側でもYouTubeを有効活用する道を模索して欲しいですね。
投稿情報: アキヒト | 2007/06/04 23:43