いつものように、週末なので軽いネタで。以前「ポーズを取ることが記憶を呼び覚ますきっかけとなる」というエントリを書いたことがありましたが、それと関連しているような話。ゼスチャーをしながら勉強すると、通常よりも理解が進むという実験結果が公表されたとのこと:
■ Hand Gestures Dramatically Improve Learning (ScienceDaily)
タイトルを直訳すると「手のゼスチャーが学習を劇的に改善する」。算数を勉強中の子供にゼスチャーを取るように命じたところ、ゼスチャーを行わなかった場合よりも学習内容を覚えている率が3倍になったそうです。行われた実験がいくつか紹介されているのですが、その中の1つを具体的に解説すると:
- 小学3年生・4年生を84人集め、3つのグループに分ける。
- 全てのグループに対し、口頭による説明とゼスチャーを使って同じ授業を行った。その後、生徒に習った内容を表現してもらった。
- 第1グループには、口頭での表現のみ許可し、ゼスチャーは禁止した。
- 第2グループには逆に、口頭での表現を禁止し、ゼスチャーのみ許可した。
- 第3グループは両方を許可した。
- 3週間後、生徒たちに対してテストを実施。第1グループの生徒は3分の1しか習ったことを覚えていなかったのに対し、第2・第3グループでは90%が正しく覚えていた。
ということで、ゼスチャーと何かを組み合わせるのではなく、ゼスチャーのみでも効果が現れたわけですね。実験者の Susan Wagner Cook さん(ロチェスター大学)は、「そもそも話の内容とどう関係しているか分からないゼスチャーでも、他人に情報を伝えることをサポートする効果があるのだから、何かを覚える際にゼスチャーを行えば、新しい情報を記憶に留めておく効果が期待できるのではないか」と考えて一連の実験を行ったとのことです。ゼスチャーというのは、得た情報を解釈・取得するのをサポートする機能を果たしているのかもしれません。
理由はともかく、習ったことを復習する際には、ゼスチャーを混ぜることで身につく確率がアップするということですね。しかし誰かが机に座り、無言で手を振り回している様を見かけたら相当怖いですが……。ただ何か機材や用意が必要なテクニックではありませんし、気になった方は実験してみても良いかも。
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