「ブログは死にゆく技術か?」という議論から、
■ 「Twitter > Blog」論
■ 分散したコトバは議論を生むか
というエントリを続けてみたのですが、もう1つだけ書ききれなかったことを。
「ブログがネットで(簡単に)情報発信するのに最適なツールである」という状況はすでに終わり、SNS やミニブログ、SBM でのコメントなど様々なツールが登場しているわけですが、それでは以前としてブログでしかできないこととは何でしょうか。
個人的には、前回も書いたように「情報のノードとなる」ことだと考えています。情報を発信するだけでなく、他の情報と接続したり、あるいは情報を保管しておいたりといったイメージですね。例えばトラックバックが良い例ですが、誰かの記事(最近はマスメディアの記事にもトラックバックすることができますが)とつながって、そこから議論を進めることができます。またテキストだけでなく、画像や動画もまとめることができますから、「ネット上でこんな面白いものを拾った」という記事を書くことも可能です(さらに FeedBurner などでは、del.icio.us に登録したブクマ+コメントをブログの RSS と一緒に配信が可能:サンプル)。「まとめサイト」的な情報発信は、今後もブログが中心となっていくのではないでしょうか。
さらにブログは「つながりやすい」「見つかりやすい」という特徴を持っています。これはブログそのものの性質だけでなく、それを取り巻くツール/サービス類まで含めたシステム全体としての話。例えばブログ検索が良い例ですよね。またこんな風に:
- はてなブックマークに“「Twitter > Blog」論”を登録する。
- 登録されたページを読む。
- “「Twitter > Blog」論”を引用している記事として“Twitter / Tumblrの敷居の低さとメタデータについての話 - Relax S...”というものがあることを知る。
- “Twitter / Tumblrの敷居の低さとメタデータについての話 - Relax S...”に対するはてなブックマークの登録ページを読む。
- 「twitterをやらない人間からすればtwitterってチャットみたいな感じがして、お仲間じゃないと入りづらいく敷居の高さを感じるんですけど。」というコメント(ID: lakehill)があること知る。
のように、能動的にトラックバックという仕組みを使わなくても、他の記事/他のコメントとつながっていくことも(ブログを取り巻くシステム全体として)できるようになっています。他にもパーマリンクや RSS などといったポイントがありますが、以上のような意味で「情報のノードとなる」というのはブログの重要な側面だと思います。
こうした機能を、ブログ以外のツールがどこまで肩代わりできるようになるのでしょうか。例えば上記の lakehill さんのコメントのように、Twitter には「をやらない人間からすればtwitterってチャットみたいな感じがして、お仲間じゃないと入りづらいく敷居の高さを感じる」という面があるでしょう(実は僕も Twitter を始める前に同じような思いを抱いていました)。言いっぱなしで放置しておいても、誰かが見つけて反応してくれるという確率は、Twitter の場合はブログほど高くありません(僕の知らないツールがあって、「そんなことはない」という場合には指摘して下さい)。「ミニブログまで対象としたブログ検索エンジン」あるいは「ブクマコメント検索エンジン」などというものでも登場しない限り、「発信した情報を別の情報とつなげる/見つけてもらう/つないでもらう」といった機能は当面ブログが担うのではないか、と感じています。
もちろん「情報は必ず別の情報と紐付いていなければならない」という考えではありません。「メモ的に思いつきを書いただけ」「好きな人に読んで欲しいだけ」といった場合も当然あるでしょう。そういった情報発信はそれぞれの目的に特化した、別のツールが担っていくようになるだけで、ブログは「他の情報とつながる/他の情報をつなげる情報発信がしたい」という場面に使われるようになっていくのではないかと思います。
問題は複数のツールを使い分けることが普通になるのか、どれか1つのツールで満足する人が増えるのか、という点ですが……個人的には「思いつきは Twitter で!/深く考えたことはブログに!/他人の記事への感想はブクマコメントで!」などというタイプは(社会全体から見れば)例外的な存在に止まるのではないか、と思います。冒頭に戻りますが、「ブログは死にゆく技術か?」で指摘されていたように、一言コメントや SNS 内での発信で満足してしまう人は多いのではないでしょうか。それが問題だと言うのではなく、その人にあったツールが SBM/SNS だったということだけであって、逆にこれまではそういった人たちまでブログを「使わざるを得ない状況だった」のだと思います。ブログからコンテンツが減ってしまうのは寂しいですが、逆に個々の目的にあった最適なツールが揃い始め、ブログ本来の価値が再認識されるという結果になっていくかもしれません。期待も込めて。
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