米SNS大手の MySpace が、同社のサイトで性犯罪者による犯罪行為が行われるのを防ぐために、新しい対策を行ったとのこと。その中には「親が自分の子供のメールアドレスを申告すれば、そのアドレスでは入会できないようにする」という対策も含まれているそうです:
■ MySpace to Let Parents Block Their Kids From Joining (New York Times)
■ MySpace Agrees to Youth Protections (New York Times)
MySpace と米国49州の司法長官との間に交わされた合意について。これまでも MySpace は「性犯罪者への対策が甘い」と糾弾されてきたわけですが、さらに対策を強化するという内容になっています。以下、主要な対策をまとめてみると:
- 親が自分の子供のメールアドレスを申告すると、そのアドレスでは入会できないようになる
- 18歳以下のユーザーのプロフィールは、自動的にプライベートモードに(現在は15歳以下のユーザーが対象)
- サイト内に違法なコンテンツが掲載されていないか、チェックを強化する
- 他の企業や団体と協力し、安全対策ツールを開発する
といったところ。ただし New York Times の記事でも指摘されている通り、いくらでも抜け道が考えられる対策ですから、「政府と協力して対策をしてますよ」という宣伝が目当ての発表かもしれませんが。
ただちょっと気になるのは、「親の合意」的な発想が入ってきたところ。近い将来、「未成年者がSNS的なウェブサービスに入会するには、親の合意がなくてはならない」というような規制が行われることが当然になり、それが日本でもマネされるようになる……といった状況を想像してしまいました。
確か Danah Boyd 女史の意見だったと思うのですが、MySpace は若い人々にとって一種の自己表現の場となっている、という分析を読んだことがあります。若者がそういった場を求めるのは自然なことであり、従って規制してもそのエネルギーが失われることはない。むしろ行き過ぎた規制はアンダーグラウンドへと若者を追いやることになり、さらに問題のコントロールを難しくする……という感じの内容だったのですが、「親の合意」を持ち込むことでこういった状況を生む危険性はないのでしょうか。「これならママもOKさ!」的なイメージを与えることで、安全にしたはずのSNSから逆に若者が逃げていくという可能性もあるでしょう。また誰にでも思いつくような抜け道のある対策は、モラルハザードを招く――つまり「親には○○というメールアドレスを使っているように見せかけて、別のアドレスを用意しよう」というようなきっかけが、「どうせ隠れてるんだから、もっと隠れて他のこともやろう」というような行為につながる、といったことも考えられると思います。
もちろんSNSを舞台にした犯罪行為は防がれなければなりません。しかし日本の場合にも言えることですが、「問題が起きそうな場所には子供を入れさせない」という方法では根本的な解決にはならないのでは、と感じます。むしろどうやって犯罪に巻き込まれないか、という教育を強化する方が、見せかけの安心感を得るより重要なことだと思うのですが……。
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