■ 6000人が作ったシステムは必ず動く (ITpro) - はてブの反応
■ (6000)人が作ったシステムは必ずどこか壊れている (404 Blog Not Found) - はてブの反応
■ 「バグの無いシステムは無い」が「開発者は成功してほしい」 (ITpro) - はてブの反応
の一連の記事を読んで。
例の三菱東京UFJ銀行の大規模開発に絡んでの話ですが、
- エールを送る意味で(あるいは皮肉の意味で?)「この開発は成功する」と谷島氏が発言
- それに対し、弾氏が「そんな発言をすべきではない」と批判
- 谷島氏が「そんなつもりの文章ではない。意図を理解して欲しい」と反論
という流れだ、と個人的に理解しています。
はてなブックマークを見ると、「谷島氏の意図を見抜けなかった弾氏が悪い」的な反応が見られます。確かに「ネタにマジレス」的な構図になってしまった感じもしますが、弾さんがもっと理解すべきだったで済む話でしょうか。
言葉だけで表現するというのは恐ろしい行為です。ちょっとした表現の判断ミスで、意図したことが伝わらなかったり、逆に読者の方々を(そんな意図はないのに)傷つけてしまったり。モノを書くことを仕事にしている記者の方なら、その点は十分承知しているはずでしょう。「僕はそんなつもりで書いたんじゃなかった」「意図を理解して欲しい」という反論は、心情的には許されたとしても、記者としては失格ではないでしょうか。
仮に最初の記事が個人ブログに投稿されたものであれば、まだその反論も許されたと思います。しかし記事が掲載されていたのは、日経BPという企業が公式に運営しているサイト、しかもIT系の情報を扱うニュースサイトでした。であれば、読者はどんな意識でそこにある文章を読むでしょうか?
本稿は取材に基づいて客観的事実を伝える報道記事ではなく,谷島個人の考えを書くコラムです。
最新の記事には、冒頭にこんな文章が入っています。逆に言えば、こんな断り書きを入れておかないと、読者に誤解を与える恐れがあるわけですよね。反語や皮肉など、ストレートに意図が伝わらないリスクのある表現を混ぜた文章を「ITpro という場で」書きたいのであれば、こういったお断りを最初から載せておくべきだったのではないでしょうか。
僕もこの個人ブログの他に、ITmedia さんのオルタナティブ・ブログという場で文章を書かせていただいています。オルタナティブ・ブログはあくまでも「ITmedia 公式の見解ではなく、各ブロガーの個人的な意見」であるという位置付けなのですが、それでも「こんな場所で個人的意見を書きやがって」というご批判を受けることが時々あります。それでも「誤解した方が悪い」とは思わず、「itmedia.co.jp という舞台に立ちながら、気をつけていなかった自分が悪い」と理解するようにしています(それでも失敗して非難され、凹んでしまうことがあるのですが……)。
ノートに書いた文章を机の奥にしまっておくのでもない限り、文章はその中身だけではなく、必ずそれが登場した場所・その場所が持つメタ情報とセットになって評価されてしまいます。自分がこれから世に送り出そうとしている文章は、どんな舞台に立ち、観客からはどんな姿で見えるのか。それを十分に注意しなければいけない、と改めて感じた次第です。
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