1週間前のニュースなので、他で紹介されているかもしれませんが。ドイツにある Saarland University の研究者たちが、人間の眼から情報を盗み出す技術を開発したそうです:
■ I spy your PC: Researchers find new ways to steal data (Network World)
眼から情報を盗む、といっても他人の眼に仕掛けを施すわけではなく、目に反射している小さな像を捉え、そこに映っている情報を読み取る技術とのこと。例えばモニタを見ながら作業しているオペレーターを盗撮し、その眼に映った機密情報を抜き出す……ということができるわけですね。別に眼に限らず、グラスやスプーン等でもOKだそうです。
論より証拠、発表された資料(PDFファイル)に掲載されている画像がこちら。モニタを見ている人間の眼を写したものです:
至近距離から撮影されたものだそうですが、確かに目に映っている文字が読み取れます(ちなみに"EFG"が72pt、"HIJKLMNOP"が36ptとのこと)。さすがにまだ小さい文字は無理で、しかも至近距離でないとこの解像度にならないそうですから、「隣のビルから望遠鏡で」というわけにはいかないようです。しかしコーヒーの入ったガラス容器や:
空のペットボトルなどではどうでしょうか:
さらにこちらは、ティーポットに映った Word ドキュメント。12pt の文字で書かれています:
これらは全て、5メートル離れた場所にあるカメラで撮影したものとのこと。それでも5メートル近づくのは難しいですが、こうした物体に反射した画像なら普通の資料の内容まで読み取れそうですね(ちなみに湾曲したものでも読み取れる上に、逆に反射する範囲が広くなってスパイ対象として望ましいのだとか)。しかもティーポットであれば、10メートル離れた場所からでも 18pt の文字を読み取ることが可能で、さらに300万円近くする高性能望遠鏡を使えば、30メートル離れた場所からでも同じ解像度を得られたそうです。
ということで、僕もいま窓際の椅子に座ってPCに向かっているのですが、向かい側にあるビルのどこかから狙われている……という時代が来てしまうのかもしれません。情報漏洩を防ぐために、会社で「PCの作業中はグラスやペットボトル、スプーンなど、反射するものを周囲に置かないこと」というルールが設けられたりして。それでも眼に映る画像を防ぐわけにもいかないですから、「PCを作業するときは窓のない部屋で!」が究極のセキュリティ対策になったりして?
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