「子供にビデオゲームをやらせるのは良くない」というのが世間一般の意見だと思いますが、一方で『ダメなものは、タメになる』のように、ゲームがプラスになることを指摘する声もあります。いったいどんな方針でゲームとの関係を保ったらよいのやら――という方はこちらをどうぞ:
■ Teaching Kids To Make Games (A VC)
お馴染み Fred Wilson のブログ"A VC"からのエントリですが、彼は子供たちがゲームをする時間に制限を定めつつ、「ゲームをしてそれをマスターしてしまう」ように勧めているそうです。やるなら本気でやれ!という感じでしょうか(ノーマルモードだけではダメで、ハードモードでクリアしないと許さん!とか言われたらイヤですが)。
さらに彼は、
But this year we went one step further. We got our son Josh a young teacher who came over in the evening once a week and taught him how to write code and make a rudimentary computer game.
今年はもう一歩進んでみた。息子の Josh に週1回の家庭教師をつけ、コードの書き方と、初歩的なコンピューターゲームの作り方を教えてもらうことにしたのだ。
とのこと。子供にゲームで遊ぶことを許すだけでなく、その作り方まで身につけさせようとするとは!日本のPTA団体が聞いたら卒倒しそうですが、FORTUNE の記事からこんな言葉を引用しています:
But some educators are going a step further, teaching kids to make the games themselves. It turns out to be perhaps the ultimate form of liberal arts. In order to create a computer game you have to think about the content. You have to write a script. The programming involves logic, math and science. And to understand how you distribute a game you have to get into issues of marketing, sociology, and Internet culture.
しかし一部の教育者達は、さらに先に進んでいる。子供たちが彼ら自身でゲームを作れるように教育しているのだ。それはもしかしたら、リベラルアーツの究極の姿かもしれない。コンピューターゲームを作るためには、内容を考えなければならない。脚本を書かなければならない。プログラミングにはロジックが必要だし、数学と科学も含まれる。そして作ったゲームをどうやって広めるかを考えるには、マーケティングや社会学、インターネット文化について理解することが必要だ。
確かにゲームで遊ぶよりも、それを作り出す方が数倍大変で、同時に数倍楽しいでしょう。ダンジョンズ&ドラゴンズで、プレーヤーとして遊ぶよりも、ゲームマスターになる方が大変だけど楽しいのと一緒……という例え話に何人の方がついてきてくれるか心配ですが、とにかく「ゲーム製作を通じて教育を」という意見には一理あるように感じます。
FORTUNE の記事から、もう1つ面白い箇所を引用&翻訳しておきたいと思います:
Panelist Zakiyyah Kareem, from a program called Girlstart in Austin, Texas, directed a program called Project IT Girl which last year brought together 44 high school girls there. It was jointly funded by the NSF and chipmaker Advanced Micro Devices (AMD, Fortune 500), which has begun its own nonprofit Changing the Game initiative to fund socially-conscious gaming.
The Girlstart girls conceived, wrote, designed, programmed, and produced their own games using the Python programming language and entirely open source and non-copyrighted materials. The games were intended for the XO computers created by the One Laptop Per Child initiative, which itself has been devoted from the beginning to the notion that its machines should be used by children not only to view media but also to create it themselves.
テキサス州オースティンで実施されているプログラム、Girlstart を代表して参加したパネリスト、Zakiyyah Kareem は、昨年44名の女子高校生が参加した Project IT Girl というプログラムを監督した。このプログラムは NSF と AMD からの共同出資を受けたもので、ちなみに AMD は社会問題に関係したゲームに出資する"Changing the Game"という非営利プロジェクトもスタートさせている。
Girlstart では、女子生徒が彼女たち自身でゲームを考案し、デザイン・プログラム・プロデュースを行った。プログラミングにあたっては Python が使用され、その他のオープンソースの資料・道具等も使われた。ゲームは One Laptop Per Child 計画で開発された XO コンピュータ上で走ることを想定しているが、XO コンピュータ自体も、子供たちがメディアを閲覧するだけでなく、創造のために使われることを想定している。
Girlstart で製作されたゲームの一部は、こちらでプレイ可能とのこと。CGバリバリのPS3用ゲーム並……とはいきませんが、アイデアに溢れたゲームがありますね。これ、ネット広告と組み合わせて公開したら、けっこうな収入になるんじゃないかなぁとか思ったり。
もともとゲームは人を楽しませるためにあるのですから、興味を持つな!という方が無理な話でしょう。実際にゲームの作成&配布まで行うのは難しいとしても、「ゲームは面白いよね。それじゃ、こんなことも考えてみない?」という風に意識を誘導していく方が論理的ではないでしょうか。まずは「ゲーム=悪」という偏見が消えてくれると良いのですが、マスコミが偏見を煽っているような状況では無理な願いかな。
【関連記事】
コメント