これはまた議論を呼びそうなアプリケーションですよ。政治などの世界で、自分に有利な詭弁を展開することを英語で"spin"と呼ぶのですが、そんな"spin"が含まれている記事を発見してくれるという Firefox 用アドオンが登場しました:
■ Media Bias? Not if This Web Site Can Help It (BusinessWeek)
Firefox にインストールして、適当なニュースサイトの記事にアクセスすると、問題のある表現にマークを付けてくれるというツールバー"Spinoculars"について。ちなみに公式サイトはこちら:
本当は実験してみて、「こんな感じになりました」とお見せできれば良かったのですが……Firefox へのインストールは成功したものの、問題のある文章を含む記事に遭遇することができませんでした。なので、BusinessWeek の記事&公式サイトから得た情報だけをまとめると、こんな動きをしてくれるはずのようです:
- ツールバーの機能をオンにした状態でページを表示させると、Spinoculars がその内容をスキャン、バイアスがかかった表現がないかチェックする。
- 問題のある表現が見つかった場合、その部分がハイライトされ、さらに"S"をかたどったアイコンが表示される。また当該部分が他のユーザーによって訂正された場合、訂正された表現を確認することも可能。
- 問題があるかどうかの判断は、SpinSpotter が設定したルール(ジャーナリスト組合が作った倫理規定等を参考にしているとのこと)とアルゴリズムによって行われるが、ユーザー自身が報告することも可能。
- "Spin だ"と判定された部分については投票が可能で、投票結果によって判断ルールが修正される。
ということで、文章の偏りを発見することに特化したオンライン版(+参加型)記事校正ツール、とでも呼べるでしょうか。ちなみに「偏っている」と見なされるのは以下の場合とのこと:
- レポーターの意見(証拠をサポートすること以上の目的で使われる形容詞)
- 消極的な意見(主体者や責任の所在を明確にせず、起きたことのみを報じること)
- バイアスがかかった情報ソース(引用された言葉がどんな党派・グループに属する人物のものかが明示されない)
- コンテクストの無視(ある事実が発生した際のコンテクストを解説せず、結果のみを報じること)
- バランスの欠如(論争の一方の当事者しかサポートしない)
うーん、これはぜひ実際に「Spin だ!」と判定された記事を見てみたいのですが……某国のマスメディアなら、そんな記事が簡単に見つかりそうなのにねぇ。
まだどこまで有効なのかは分かりませんが、例えば最近も「ビデオを撮影して職員の仕事ぶりをチェックすること」に「盗撮」という言葉が使われることの是非が論じられました。その言葉の使用が正しいかどうかは別の問題として、少なくともそれが「ある特定の結論を導く可能性がある」と示されれば、もっと注意深く記事に接するようになりますよね。個人的にはなかなか面白いアイデアだと思うのですが、まだ気づいていない危険性があるようにも感じます(特にこれといった根拠は無いのですが)。日本語のテキスト解析は難しいので、同じようなツールが日本でもすぐに登場する可能性は低いと思いますが、皆さんはどう感じますか?
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気になるニュースですね!
投稿情報: 社内SE | 2008/09/17 09:49