というわけで、昨夜はAMNの『デクスター』試写会イベントに参加してきました。パラマウントさんの試写室はホント、まるでミニシアターのような出来で、こんなところでいち早く映画が観られる業界人(?)が羨ましい、と感じてしまいました。
では本題。『デクスター』は映画ではなく、最近日本でもすっかり定着した感のある海外(米国)テレビドラマの新作です。レンタルは来年2月13日スタートとのことで、日本では現在 FOXCRIME でのみ視聴可能(米国ではシーズン2が終わり、3の開始が予定されている段階とのこと)。今回のイベントでは、シーズン1の第1作目、まさに物語がスタートする回を観させていただきました。
『デクスター』の最大の特徴は、何と言っても主人公の設定につきるでしょう。対テロリストの捜査官、ニューヨークに暮らすセレブ、囚人、数学者などなど、これまで様々な職業の主人公が海外ドラマに登場しましたが、基本的に彼らは「善人」でした。ところが今回の主人公、デクスターは「異常者」。普段は警察官を装いながら、実は人間的な感情を持たず、殺人衝動を抱いている殺人鬼という設定です。ただし彼が殺すのは、ある理由から他の殺人鬼に限定されており、それがかろうじて主人公への感情移入を残せる線になっています。
こう書くと、「ああ、必殺仕事人ね」と感じられてしまうかもしれません。僕も最初、設定だけ聞いた時は同じ感想を抱いたのですが、実際に観てみるとかなり印象は異なります。これまでも猟奇殺人を扱った海外ドラマはありましたが、コミカルな要素があったり死体の描写を避けたりと、軽い感覚で観れるものが多かったと思います。しかし『デクスター』では本気で(という表現もヘンですが)猟奇殺人の場面が再現されており、また主人公を演じた俳優マイケル・C・ホールの演技が素晴らしいことと相まって、本当に異常犯罪者を目の当たりにしているかのような感覚を覚えます。
従って正直なところ、『デクスター』は万人向けの作品ではないと思います(その辺をパラマウントさんも認識していて、どうやってプロモーションしていくべきか熟考されているとのこと)。「猟奇モノかぁ、私はいいや」と敬遠される方も多いでしょう。しかしこの作品は、単純な勧善懲悪やスプラッターを狙っているわけではなく、変な話ですが「殺人鬼であるが故の主人公の悩み」や「殺人鬼の目から見た『おかしな』現代社会」といったこれまでに無い視点を味わうことができます。テーマという点でも、映像という点でも、日本のテレビドラマでは絶対に真似できない(他の有名海外ドラマは何らかの形で日本のドラマが真似するようになっていますよね)作品ですから、興味を惹かれる方は意外と多いのではないかと感じましたよ。
まぁ、何のかんの言っても基本は娯楽作品。実は主人公のライバルとなる謎の殺人鬼も登場するのですが、基本的に第1シーズンは彼(彼女?)との対決をめぐるサスペンスが話の軸になり、謎解きものとして楽しむことができるはず。海外ドラマに興味がある方は、チェックして損はないと思います(僕はとりあえず第1シーズンを最後まで観てみたい、という気になりました)。
ちなみに今回僕らが観た『デクスター』第1話は、ニューズウィーク日本版 2008年 12/17号の付録DVDに収録されるとのことなので、来年2月のレンタル開始まで待てない!という方は是非ご確認を(このDVDには『デクスター』だけでなく、他の新作海外テレビドラマも収録されているそうです)。
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