というわけで、Kindle 2 が発表されたのでこのネタでもう1つ引っ張ります(すみません)。Engadget の発表会実況中継を読んでいたら、「Kindle 利用者の声」としてこんなシーンが出て来ました:
10:31AM
"My local newspaper stopped delivering... and I can download it on my Kindle." We have a feeling this will be a story we start hearing a lot more of.午前10時31分
「私の地元紙は配達を止めてしまいました……でも Kindle にダウンロードすることができます。」こんな話、これからもっと聞くような気がする。
そして画面には発言者とおぼしき女性の姿が。Kindle があれば、どんなに地方に住んでいても安心だよ!というわけですね。
もちろんこんな風に語る人、そう多くはないと思います。Kindle を使いこなせるような人であれば、ニュースはウェブサイトで見るから大丈夫、という反応になる可能性が高いでしょう(ジェフ・ベゾスによれば、Kindle ユーザーには「技術に詳しくないおじいちゃん・おばあちゃんも含まれている」そうですが)。しかも Kindle には簡易ウェブブラウザが搭載されているし……むしろこの寸劇、ユーザーに対してというよりも、新聞社に対してメッセージを放つために挿入されたのではないでしょうか。
ユーザーはワイヤレス機能を無料で使えて、新聞・雑誌コンテンツの自動更新機能も備えている。料金回収は Amazon が行ってくれるので、新聞社はデジタルのコンテンツを提供するだけで良い。となれば、Kindle は新聞社にとって、配達から請求までの機能を代替してくれるものになるでしょう。先日、New York Times に対して「紙媒体で新聞を発行するのを止めて、購読者に Kindle を配った方が安上がりじゃないか?」と述べている人がいることをご紹介しましたが(参考記事)、Amazon 自身が新聞社に対して「記事作成以外の面倒な作業は、僕らが代わりにやってあげるよ」と言っているような気がしてなりません。
もちろん Kindle が全てのエリアで使えるわけではありませんし、以前も書いたように「紙の新聞じゃなきゃ読まん!」という人も出てくるでしょう。しかし一部であっても、既存の新聞をネットを通じた情報配信に置き換えていかなければならなくなる中で、収入を広告に全依存するモデルではなく従来型の「購読料モデル」に近い姿を維持できる Kindle は、新聞社にとって魅力的な存在になっていくのではないでしょうか。
新聞社のために……というわけではないでしょうが、「無料が当たり前」のインターネットとは別の、独自のコンテンツ配信・課金ルートを創り上げてしまった Amazon。新聞社以外にも、このルートを利用したいという企業が出てくるのではないか、などということも感じた次第です。
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