昨夜のNHKの番組『日本の、これから』、テーマは「テレビの、これから」でした。既にシロクマの方で感想を書いたのですが、長くなってしまったので削った部分をこちらで改めて。
NHKの関係者だけでなく、民放各局のプロデューサー・ディレクター、さらには糸井重里さんや夏野剛さん(ドワンゴ取締役)などを招き、一般人代表も含めて討論するという形式で行われた「テレビの、これから」。若干議論が分散してしまい、面白いポイントが深まらなかった感もあるのですが、民放でありがちな「ネット不審論」に終わらない意欲的な番組だったと思います。ちなみにテレビ関係側の参加者は以下の通り(公式ページ上でも確認できるのですが、パーマリンクではないですので念のため転載しておきます):
【スタジオ生出演】(敬称略)
- 民放連会長 広瀬 道貞
- ジャーナリスト 嶌 信彦
- コピーライター 糸井 重里
- 慶應義塾大学特別招聘教授・ドワンゴ取締役 夏野 剛
- 日本テレビ「世界一受けたい授業」プロデューサー 福士 睦
- TBSテレビ編成局長(元「朝ズバッ!」プロデューサー) 吉﨑 隆
- フジテレビ「新堂本兄弟」プロデューサー きくち 伸
- テレビ朝日「相棒」プロデューサー 松本 基弘
- テレビ東京「ガイアの夜明け」プロデューサー 加増 良弘
- 朝日放送「探偵!ナイトスクープ」プロデューサー 松本 修
- 北海道テレビ「水曜どうでしょう」ディレクター 藤村 忠寿
- 放送作家(「SMAP×SMAP」ほか) 鶴間 政行
- NHK副会長 今井 義典
- NHK「日本の、これから」プロデューサー 松尾 雅隆
放送時間中、Twitter と2ちゃんの実況板を並行して見ていたのですが、これだけのメンバーが集まり「テレビはどうなるか」というテーマについて議論するということで、言及する書込みがかなり多かったように感じます。例えば以下は、20:30~21:30の間のテレビジンでの集計です:
異常なほどのNHK総合の盛り上がりっぷり(笑)仮に「リアルタイムのネット言及率」などという数値があったら、NHKがダントツだったことでしょう。こういう番組こそ、ネットで観れるようにしておけばいいのにね。しかもNHKであれば、CMを気にする必要もないのだから。
……という揶揄はさておき。議論の中でいろいろと気になった部分があったわけですが、1つ意外だったのはテレビ関係者側に「放送時間に観て欲しい」「放送時間に観てくれるような番組をつくらなければ」論が強かったこと。ドワンゴの夏野さんに「その思いは分かるけど、現実にはいろいろ忙しくてテレビの前にいれないわけだし」といったツッコミを入れられても、あまり明確な反応が返ってきていなかったように感じます。それどころか、民放連の会長(広瀬道貞氏)が「テレビの大きな役割の1つは『広場』や『ベクトル』をつくりだすこと(=人々の間に共通の話題をつくること)」といった発言をするなど、旧態依然とした「テレビのあり方」にこだわっているテレビ関係者が多かったのは意外でした。
まぁCMを観てもらうことがビジネスモデルの大前提となっている(従って視聴者が放送時間にテレビの前で観るというのが一番)のがいまのテレビ局ですから、それが崩れるようなことはあまり考えたくないということもあるのでしょう。しかしテレビ関係者の大部分はディレクターやプロデューサーの方々で、いわば番組というコンテンツ制作の責任者なわけですから、「いつ観られるか」は別にして観てもらえば嬉しいという人が何割かいても良かったはず。「違法でも YouTube にアップされて何万回も再生されるというのは、コンテンツ自体の魅力は失われていない証拠」ぐらいの発言が出て欲しかったなぁと。
そもそもこの番組で最初に掲げられた質問が「テレビはこれからも茶の間の主役であり続けるのか?」というものだったのですが、この質問自体がテレビ側の奢りというか、ノスタルジーが現れたものではないでしょうか。「茶の間」という概念は変化しつつありますし、その中で「主役」の座を占める存在がいまの時代に現れ得るのか、「ながら見」されているような存在が主役と呼べるのかといった側面を考えなければならないでしょう。メディアとしてのテレビが消え去ることは考えにくいにしても、「夜になると家族が一室に集まって、何かを囲みながら団らんする」といった光景は確実に変化するはずです。その変化を先取りして視聴者を惹きつける何かをつくりだす(コンテンツだけでなくそれを届けるシステムも含めて)、というのがメディアに関わる人々の姿勢であるべきだと思うのですが、それにはあまり積極的でないように見えたのが昨夜の番組でした。
もちろんノスタルジーだけではなくて、「アメリカではこんな先進的な取り組みが!」としてネットとテレビが融合したモデルが紹介されたり、夏野さんが「テレビでの放送後に、一定期間でいいからネット上でも番組を観れるようにしては」といった提言をされたりなど、将来を感じさせる場面もありました。しかし放送時間という制約のあるテレビ番組のため、建設的・将来的な議論へと発展していかなかったのが残念なところ。NHKはこういう番組にこそネット上のフォーラムを用意したり、パート2や3といった形で定期的に同じテーマを扱うことが重要だと思うのですが、流石にそこまで期待するのは難しいか……。
……全くの余談ですが、番組内のディスカッションでは「ニコニコ動画」という単語が平気で飛び交っていました。しかしニコ動を説明抜きで理解できる人はまだまだマイノリティだと思うのですが、昨日の番組はいったい誰に観て欲しいと思ってたんだろ。
それを言うたら流行りの芸人や流行りの歌手も知ってる人数はマイノリティじゃないでしょうか? そういう意味では1000万人は確実に知ってる人がいるという意味では、そんなもんだと思いますけどね~。
本題としては、この番組を今知って、今晩Spiderで見ようとしているこの行動とテクノロジーとコンテンツパワーについて、ですねww
投稿情報: wa-ren | 2009/03/22 12:28