妻が映画『サンシャイン・クリーニング』の試写会に当選し、僕も便乗して行ってきました。試写会後、配給会社の方から「ブログで書いてくださぁーい!」と言われたので(笑)ちょっと書いておきたいと思います。ちなみに映画は7月11日(土)から公開とのこと。
ストーリーはこんな感じ。舞台は現代のアメリカ、主人公は30代シングルマザーのローズ。彼女はまともな暮らしをしようと努力しているのですが、息子は学校で問題行動を起こし、妹はいまだに親元で生活するパラサイト・シングル。さらに父親もいい加減な事業に手を出してばかり、不倫中の恋人は奥さんと別れる気がサラサラない、という絵に描いたような閉塞状況に陥っています(ちなみに彼女の母親については、ストーリーの重要な部分を占めるのでちょっと伏せておきます)。そのローズが「殺人や自殺があった現場を清掃する商売はカネになる」と聞き、妹と一緒に清掃業者を始めるのだけれど……という話。こう書くとものすごく悲惨な映画のように聞こえてしまうかもしれませんが、一応ジャンルは「ハートフル・コメディ」というやつなので、コミカルな場面を挟むことでサラッと観れる作品になっています。
とはいえ、ローズの境遇の不幸なこと。現在の状況だけでも十分不幸なのですが、彼女は幸せな少女時代を送っていたという設定になっていて、「こんなはずじゃなかった」という辛さがことさらに強調されて描かれます。さらに学生時代の友人はみな幸せな暮らしを送っていて、それを見返してやろうと思う気持ちがさらに不幸を招くという悪循環。女性視点の映画ですが、「思い描く自分とのギャップ」「友人を妬んでしまう気持ち」は、男の自分にもキリキリとした痛みを感じさせるものでした。
で、そんなローズを救うのが(ちょっと特殊な商売の)起業だった、というのがアメリカ的かも。今までの情けない自分を振り払うかのように、彼女は新しい仕事に打ち込んでいき、意外な交流も生まれます。仮に日本を舞台にした作品だったら「やっぱり社会の壁は高かった」で終わっていたことでしょう。もちろんアメリカだって起業して成功する人は少ないですし、映画的なご都合主義も多分に混ざっているのですが、こういう方向性で「救い」が提示できるアメリカという国がちょっと羨ましく感じてしまったり。
ラストシーンでローズがつぶやく、ある一言。いわゆるおとぎ話的なハッピーエンドではなく、しかし希望を感じさせるラストで、個人的には非常に好きな締め方でした。僕も明日からまたがんばるぜー。
……ところで先日『ターミネーター4』も観てきたのですが、こちらは完全な駄作。莫大な宣伝費を注ぎ込んで客を呼び込んでも、肝心の中身がこれじゃあねぇ。ウソか本当か分かりませんが、『サンシャイン・クリーニング』は「たった4館の公開から、全米で奇跡の口コミ大ヒット」とのこと。ハリウッド作品が売れないのはどうでもいいのですが、良い作品の評価がちゃんと広まるような世界になっているなら嬉しいですね。
言い忘れましたがこの『サンシャイン・クリーニング』、アカデミー賞の脚本賞を受賞した映画『リトル・ミス・サンシャイン』の製作スタッフによるものとのこと。まぁ、僕は『リトル・ミス・サンシャイン』が未見なので比較できないのですが。
最後に YouTube にアップされている予告編をどうぞ:
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