お笑いを真面目に解釈することほど無粋なものはないのですが、ちょっとだけ。先々週の『サラリーマンNEO』で、「金の企画書 銀の企画書」というコントが放送されていました。タイトルから分かるように、イソップ童話「金の斧」のパロディ。誤って企画書のファイルを消してしまった男の前に(正確にはPCの画面の中に)、女神が現れて
お前が無くしたのは金の企画書か?それとも銀の企画書か?
と尋ねます。金・銀の企画書には「この発想は無かった!」というもの凄い企画が書かれているようなのですが、男は「自分の企画で勝負したい」と考え、結局自分の企画書を提出して玉砕。ここまではまぁ、予想できるストーリーです。
で、こっからが核心。その様子を見ていた別の男(入江雅人)がわざとファイルを消して女神を呼び出し、まんまと金の企画書を手に入れます。これで株が上がること間違いなし、と上司のもとに持ち込むのですが……上司は「なんだかよく分かんねーな!」と一蹴。「どんなに良い企画書を書いても、上司に見る目がないとダメ」というオチでした。
このコント、確かに「バカな上司っているよねー」と笑えるのですが、もう1つ別の教訓も引き出せるのではないでしょうか。それは、「企画書はあくまでも読み手がいて成立するもの」という、ある意味で当然の話です。僕らはともすれば、「こんな風に企画書を書けば必勝!」というようなアドバイスを求めてしまいます。確かに様々なテクニックというものはありますし、ある程度有効だと思いますが、誰が読み手であっても通用するような「銀の弾丸」などは存在しないでしょう。読み手のことを考えずに作成された企画書など、どんなに美しくてもただの自己満足です。
テクニックについての知識を集めることがムダだとは言いません。しかしそれだけで安心してしまい、読み手にまで意識が向かなくなってしまっては本末転倒でしょう。これはあくまでも個人的な経験ですが、テクニックなど持たない人の方が「どうやって書けば○○さんに理解してもらえるだろう?」とじっくり考え、結果としてよいものが生まれる傾向にあるように感じているのですが……どう思われるでしょうか。
お笑いを真面目に解釈することほど無粋なものはないのですが
一度、吉本隆明の「マス・イメージ論」を熟読してはどうですか。知の岩窟王が語るお笑いブーム考察を熟読するべきです。
以上。
投稿情報: 新HN冷やし中華終わりました | 2009/06/28 01:26
いえ、「新HN冷やし中華終わりました」さん、お笑いを考察したいわけではありませんので……悪しからず。
投稿情報: アキヒト | 2009/06/28 07:37
そうなんですよね。
私もサラリーマン時代に、役員向けの資料を作った際に、「もっと分かりやすくしろ」と上司(部長クラス)に言われた口なんですが、結果、決裁を取りたい側に都合のいい数字だけが残ってしまい、「ほんとにこんなんでいいのか?(半分ダマしではないのか?)」と思うことしばしばでした。
でも、鋭い役員は、「判断材料が不足している。こういうデータはないのか?」と訊いてくるんですよね。
そういう上司っていますよね。
投稿情報: 鷹司堂後 | 2009/06/28 19:24
次は「金の上司か、銀の上司か」と尋ねてほしい。
投稿情報: ふりすく | 2009/06/29 14:24