電気自動車(EV)普及のためには、充電器の普及が必要。しかしEVがある程度普及していないと、充電器を設置しようというモチベーションは高まらない――ということで、従来この問題は「ニワトリが先か、タマゴが先か」に喩えられてきました。しかしここにきて、顧客サービスの一環や企業イメージアップの施策としてEV用充電器を設置する例が増えています。例えば:
■ EV発売で充電器設置が相次ぐ、スーパー、コンビニにも広がる (MSN産経ニュース)
イオンでは昨年10月オープンした大型ショッピングセンター「イオンレイクタウン」(埼玉県越谷市)に急速充電器を導入。大手コンビニのローソンも8月以降、横浜市内の店舗に充電器を順次設置する計画だ。EVは急速充電器なら30分で80%の充電が可能なため、買い物中に充電してもらう。
また、時間貸駐車場「タイムズ」を運営するパーク24では、東京都と神奈川県内で運営する駐車場に19基の充電器を設置し、利用客の増加を見込む。
一方、昭和シェル石油では、神奈川県内の一部給油所に急速充電設備を設置するほか、コスモ石油も今年度中には神奈川県内の一部に充電器を配置する。
とのことで、スーパーやコンビニ、駐車場、そして当然ながらガソリンスタンドも設置に乗り出したことが報じられています。さらに海外では、単に充電器を設置するだけでなく、無料充電サービスを開始する企業まで出てきたとのこと。例えば以下の記事では、マクドナルドの取り組みが紹介されています:
■ Free car charging at new, green(er) McDonalds's (Springwise)
ノースカロライナ州の Cary という町にあるマック(店舗公式ページはこちら)がその第1号店。この動きがどこまで広がっていくかは分かりませんが、例えば「バリューセットをお買い上げのお客様は10分間充電無料!」みたいなサービスとして展開されていくかもしれません。もちろん電気代だってタダではないわけですが、EVの電気代はガソリン代に比べて5分の1程度になるそうですから、ある程度限定されたサービスでもEVユーザーにとっては魅力的なサービスになるのではないでしょうか(さらに店舗の屋根に太陽光発電設備をつけて、より安い電力をまかなうという方向性も考えられますしね)。「家に帰るまでに電気がなくなりそう->マックに寄って少し充電するか。ついでにメシも食えるし」的な流れを生みだすことを狙って、無料サービスを始めるというのは十分考えられる話だと思います。
日本においても、単に充電器を設置するだけではなく、無料充電サービスの提供が始まっていくかどうかは分かりません。しかし自動車関連業界については動きの速い日本のことですし、いずれ「充電無料!」を唄って客寄せしようという企業が出てくるように思います。そうなればEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)を購入しようという人も増え、さらに充電器の設置が進む……なんて好循環、意外と早く進む可能性もあるのではないでしょうか。いずれ自動車メーカーが需要拡大のために、充電器つきコンビニやスーパーとタイアップして「~なら充電1ヶ月間無料!」なんてキャンペーンを始めたりして。
ところで「無料」戦略といえばクリス・アンダーソンの最新作"Free"ですが、ネットで無料版が公開されています。しかしIPアドレスでアクセスを米国内に限定しているらしく、そのままだと日本からは読むことができません。しかしエンベッド版であれば日本からも閲覧可能ですので、ご興味のある方はこちらからどうぞ(右上にあるフルスクリーンボタンを押せば、大きくして読むことも可能です):
FREE (full book) by Chris Anderson実はこれがやりたかったエントリだったりして。
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